肌のクリニック院長の肌ブログ

東京でニキビ治療・シミ治療・調剤化粧品・プラセンタ療法外来をしている医師のブログ

日焼け止め考察3~手作りではSPFが出ない

time 2016/08/09

参照記事
日焼け止め考察1~肌に優しい日焼け止め
日焼け止め考察2~酸化セリウム

手作り日焼け止めでSPFやPAを出すのは難しい

紫外線散乱剤として使用される酸化チタンや酸化亜鉛は、インターネットで一般の方向けに販売されています。原料を販売する会社のHPでは、「〇%配合するとSPF30/PA+++となります。」などという説明書きがあり、手作りの乳液やクリームに、酸化亜鉛・酸化チタンを混ぜて、日焼け止めを自作している方もおられると思います。

ただ、実際にそのSPFやPA値は出ないことがほとんどです。

分散性

その原因として最も大きなものは、「分散性」です。

酸化チタンや酸化亜鉛は、紫外線が肌に当たった際に、それを跳ね返す(散乱させる)ことで、紫外線を防ぎます(微粒子の場合紫外線吸収剤としての効果もあります)。しっかりとSPFを出すには、肌の表面が酸化チタンや酸化亜鉛の粒子でムラなく覆われていることが重要です。つまり、日焼け止めクリームの中で、酸化チタンや酸化亜鉛がダマになっていたり、凝集していたりせず、均等に分散している必要があります。

しかし、この「均等に分散させる」というのは、手作りではほぼ不可能に近いです。

もともと酸化チタンや酸化亜鉛は、その性質上、非常に凝集しやすくなっています。化粧品製造メーカーでは、分散させるように、基剤の選定や粘度の調整を行いながら、高温下で、ホモミキサーを用いて数十分~、場合によっては数時間かけて撹拌、混合して分散させています。

手作りでは、せいぜい人力やミキサーで数分程度撹拌する程度で、均一にうまく分散させることはできません。実際に、SPF30・PA+++が出るというレシピで自作をして、SPFアナライザーで分析をかけると、SPF5・PA+程度の数値しか出ないことがよくあります。

粉体と分散体

化粧品製造メーカーにとって、「分散性」を如何に保つかというのは、長年の課題でした。原料メーカーは、粒子同士の凝集を防ぐために、表面処理方法などをいろいろ開発してきました。

分散性を改善する手法として、近年は分散体が主流となりつつあります。

分散体は、分散剤を均一混合した溶媒に、表面処理した粉体を分散処理することで作られます。粉末の状態ではなく、液体の中にすでに酸化チタンや酸化亜鉛が分散された状態の原料で、分散体を使用すれば、分散性が保たれた日焼け止めを作製することが可能です。

分散体は、表面処理や溶媒の種類により、ジェル、乳液、クリーム、O/W処方に適したもの、W/O処方に適したものなど、様々な種類があります。

分散体

→日焼け止め考察4~酸化チタン・酸化亜鉛へ

肌のクリニック

院長 岩橋 陽介

院長 岩橋 陽介

東京の調剤化粧品とニキビ治療専門皮膚科 肌のクリニック高円寺院の院長ブログ。Twitterではスタッフ全員でつぶやいています。 [詳細]