肌のクリニック院長の肌ブログ

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日焼け止め考察5~VCエチル日焼け止め

time 2016/08/18

参照記事
日焼け止め考察1~肌に優しい日焼け止め
日焼け止め考察2~酸化セリウムを使った日焼け止め
日焼け止め考察3~手作りではSPFが出ない
日焼け止め考察4~酸化チタン・酸化亜鉛

酸化チタンか酸化亜鉛か

今回でいったん日焼け止め考察は最終回です(長かった・・)。酸化チタンか酸化亜鉛か、もしくは両方使うか迷いましたが、いろいろと試行錯誤して考えた結果、酸化チタンだけを使用することにしました。

酸化チタンは、微粒子化された原料の中では最も古くから使用実績があり、安全性が高い原料です。そして、UVB~UVAを遮蔽する能力が高く、単独で使用してもSPF30 PA++を出すことが可能です。また、酸化亜鉛は大なり小なり亜鉛イオンの溶出の問題があり、アレルギーを起こす人がいますが、酸化チタンはほとんどイオン化せず、アレルギーが非常に起こりにくいという特徴があります。酸化チタンの採用は、これらを総合的に評価して決定しました。

紫外線の波長 と特徴

ここで、紫外線の波長と特徴をおさらいしておきます。

●UVC : 100~280nm
最も人体に有害ですが、オゾン層に吸収されてほとんど地表に届きません。

●UVB : 280~320nm
肌の奥には届きにくく、ガラスもほとんど通過しません。しかし、肌表面へのダメージは強力で、肌への影響度を指標化したUVインデックス(紅斑紫外線量)は、UVA2の100倍、UVA1の1000倍の強さがあります。赤みやひりひりの原因で、メラニン色素細胞を刺激して、シミやそばかすを作るだけでなく、皮膚ガンの原因にもなります。

●UVA2(ショートUVA) : 320~340nm
●UVA1(ロングUVA) : 340~400nm

普段浴びている紫外線のほとんどがA波で、曇りの日や雨でも天候に関係なく降り注ぎます。ガラスやカーテンも通過しますが、実際にはガラスでUVAの半分程度はカットされます。UVBのように、赤みを引き起こすことはほとんどありませんが、肌の奥の真皮まで届くため、真皮のコラーゲンやエラスチンを破壊し、シワの原因となります。また、メラニンの重合を促進して、シミの原因にもなります。

光は波長が短いほどエネルギーが強く、UVCが最も人体に有害ですが、幸いなことにオゾン層に吸収されるので、地表には届きません。もし届いていたら、人類は絶滅しているか、紫外線に当たることができず、夜行性に進化していたはずです。

UVCの次に波長が短いUVBは、ショートUVAの100倍、ロングUVAの1000倍有害であり、オゾン層や雲などに遮られて地表に届く量は少ないのですが、夏や快晴の日は、強烈に降り注ぎますので注意が必要です。UVBの遮蔽能力は、酸化チタン>酸化亜鉛であり、最も危険なUVBを抑えることは必要不可欠です。酸化チタンを採用したのは、UVBのカット率が非常に高いからです。特に微粒子酸化チタンのUVB遮蔽能力は高く、比較的低濃度の配合で、SPF30を出すことができます。

UVAは波長が長いため、雲だけでなく、ガラスやカーテン、洋服などもある程度通過します。UVAの遮蔽能力は酸化亜鉛>酸化チタンですが、粒子径によって酸化チタン単独でもUVAの遮蔽能力を十分に持たせることが可能です。酸化チタンの粒子径と紫外線遮蔽能力を調べた研究では、酸化チタンの一次粒子が75nm~96nmで、UVAを防ぐ効果が最大となります(※)。

※坂本正志「酸化チタンの紫外線遮蔽能に及ぼす粒子径の影響」色 材,68〔4〕,203-210 (1995)

UVA1はロングUVAと呼ばれ、一番波長が長い紫外線です。地上に降り注ぐ量は最も多いのですが、エネルギーは非常に弱く、UVインデックスはUVBの1000分の1です。肌への影響は小さいため、あまり過度に心配する必要はありません。酸化チタンでも、一次粒子径が35nm~100nmであれば、日常生活レベルのロングUVAを防ぐには十分な働きが期待できます。

余談ですが、パソコンやテレビなどの液晶から出るブルーライトは、可視光線(400nm~800nm)の中でもっとも波長が短い400nm~500nmです。もうおわかりだと思いますが、光は波長が短いほどエネルギーが強いため、ブルーライトが目に一番有害です(正確には、紫が青よりも波長が短いのですが、紫色発光体は使用されないため、青が問題になっています)。青色LEDで蠅が死んでしまうという研究結果がありますが、青よりも波長が短い紫外線では死なないのに、青色LEDで死んでしまうのは、単にエネルギーの強さだけでなく、種によって有害な波長が異なるのかもしれません。

さらに余談ですが、当院のパソコンはすべて液晶がブルーライトカットモード(EIZOのペーパーモード)になっており、職員のiPhoneも全員ブルーライトカットモードにしています。目が疲れにくくなっていいですよ。iPhoneをお持ちの方は、ぜひお試しください。

敏感肌・乾燥肌に対応しVCエチルを配合

市販の日焼け止めの成分に赤みが出てしまう方は、紫外線吸収剤や酸化亜鉛にアレルギーが出ているケースがありますので、院内で調剤している日焼け止めを使用してみてください。紫外線吸収剤不使用で、肌を乾燥させる酸化亜鉛を配合していませんので、敏感肌や乾燥肌の方でも使用できます。

防腐剤や添加物の配合量を少なくし、石鹸で落とせるのでメイク落としが必要なく、肌への負担が少ない処方内容となっています。

また、肌をなるべく酸化させない日焼け止めを作製したかったため、抗酸化作用のあるビタミンCエチルを2%配合しています。ピュアビタミンCは、紫外線によってアスコルビン酸ラジカルが発生するため、日中に肌に塗るのはおすすめできません。ビタミンC誘導体であれば、熱や紫外線に安定で、なおかつラジカルの発生がない(少ない)ため、日中でも使用することが可能です。

ビタミンC誘導体は、活性酸素除去作用により、UVBによる細胞障害を減少させることがいくつかの研究で示されています。その中でもビタミンCエチルは、UVBだけでなく、UVAによるメラニン単量体の重合抑制効果を持ち、UVAによって「じわじわと後から出現するシミ」を防ぐ作用があります。

コーティングされているとは言っても、紫外線に当たると酸化チタンは活性酸素を発生しますので、その活性差酸素を除去する目的でもVCエチルを配合しています。

紫外線による活性酸素を除去して老化を予防し、UVAによるシミの発生を抑制するため、VCエチルは、数あるVC誘導体の中で最も日焼け止めに適した成分だと考えています。

ただし、当院の「VCエチル日焼け止め」に配合されているVCエチルは、2%と高濃度であり、医薬部外品濃度の2倍にあたりますので、刺激等を感じる方もいるかもしれません。当院の日焼け止めが肌に合わない方は、市販の日焼け止めをお使いください。

VCエチルUVホワイトの処方を希望される方は、受付までご相談ください。

→「VCエチル日焼け止め

肌のクリニック

院長 岩橋 陽介

院長 岩橋 陽介

東京の調剤化粧品とニキビ治療専門皮膚科 肌のクリニック高円寺院の院長ブログ。Twitterではスタッフ全員でつぶやいています。 [詳細]