肌のクリニック院長の肌ブログ

東京でニキビ治療・シミ治療・調剤化粧品・プラセンタ療法外来をしている医師のブログ

戦国時代の化粧品業界~その2~

time 2016/09/20

過去の関連記事

戦国時代の化粧品業界~その1~

通販化粧品会社の躍進

前回の記事で、デパートや百貨店売り場は、たくさんのブランドがひしめき合っているように見えますが、実は国内の上位4社と外資系3社でほとんどを占めていることを記述しました。

国内化粧品上位4社は、売り上げを徐々に拡大していますので、化粧品業界を寡占しているように見えます。しかし、私はその寡占はどんどんと崩れてくる可能性が高いと考えています。それは、他の化粧品会社もどんどんと規模を拡大しているからです。

宅配便の発達やインターネットの普及で、店頭で購入するよりも気軽で便利な「通信販売」形式の化粧品が大きく伸びています。

通販化粧品で最も成功したのは「DHC」と「ファンケル」です。

DHCは、大学翻訳センター (Daigaku Honyaku Center)」が社名の由来となっているとおり、もともとは翻訳業を行っていた会社でした。飲み仲間である美輪明宏さんから「オリーブオイル」が肌に良いという情報を聞き、1983年に化粧品事業を開始し「DHCオリーブバージンオイル」を大ヒットさせたというエピソードがあります。

2015年度の連結売上高は1000億円を超え、通販化粧品売上No1となっています。

通販化粧品業界でDHCと双璧をなすのが「ファンケル」です。ファンケルは1980年に無添加化粧品を売りにして、急速に売り上げを伸ばしてきました。その後一部上場を果たし、2017年度の連結売上予想は1000億円を突破して、過去最高益を更新する予定です。

DHCとファンケルは、健康食品事業にも力を入れており、両社の業態はほとんど被っています。DHCとファンケルは店頭販売も行っており、両社とも通販専用会社から総合化粧品会社へ躍進しました。

通販化粧品会社の2010円の売上高で200億円を超えているのは、1位DHC、2位ファンケル、3位オルビス(ポーラオルビスHD)に続いて、4位に山田養蜂場(2014年度431億)、5位シーズHD(2015年度376億)、6位に再春館製薬(ドモホルンリンクル)となります。

山田養蜂場が4位なのは意外かもしれませんが、ハチミツ、ローヤルゼリーを使用した化粧品や健康食品で売上を伸ばしています。5位のシーズHDは、ドクターシーラボブランドで急速に売り上げを伸ばしています。悠香は2010年のランキングでは5位でしたが、茶のしずくに使われていた加水分解小麦アレルギー事件から、売り上げを落としています。

インターネットの普及とOEM(外注による外部生産製品)によって、自社で工場や倉庫を持たなくても容易に化粧品業界に参入できる時代になりました。

2014年度には化粧品製造業と製造販売業を合わせて7115社となり、過去最高となりました。実際には販売業のみを行っているメーカーはその数倍ありますので、非常に多くの中小メーカーが参入しています。

戦国時代の化粧品業界

外資系3大ブランド以外にも、デパートや百貨店の総合売り場に出展せず、独立型店舗を持つ外資系企業の勢力も拡大しています。ロクシタンやラッシュ、ボディーショップ、ニールズヤードなどがこれにあたります。

メーカー自身が直営している独立型店舗を持つことで、百貨店のマージンがなくなり、粗利率が非常に高くなります。

また最近では、富士フィルムやロート製薬などの異業種大手メーカーが化粧品へ参入してきています。富士フィルムは「アスタリフト」や「ルナメア」などのブランドを、ロート製薬は「肌研(肌ラボ)」や「オバジ」などのブランドを展開しています。

大手、外資、異業種、中小メーカーでシェアを奪い合っており、化粧品業界は戦国時代、玉石混淆と言えます。

ドクターズコスメと調剤化粧品の違い

皮膚科医が開発に携わった化粧品ブランドはいくつかありますが、それらを「ドクターズコスメ」と呼びます。城野親徳医師が開発した「ドクターシーラボ」が最も有名です。その他に桜井麟医師が開発した「リンサクライ」や、中山秀夫医師が開発した「アクセーヌ」などのブランドがあります。

調剤化粧品もドクターズコスメと同様に医師が開発した化粧品ですが、大きな違いがあります。

それは、院内で製造を行っているかどうかです。ドクターズコスメは、ドクターが開発に携わっていますが、製造するのは化粧品製造メーカーです。そのため、一般の化粧品と同様に効果効能は限られます。

一方で調剤化粧品は院内で調剤するため、医師の責任のもとに、一般の化粧品では配合できない成分を加えたり、化粧品では認められていない高濃度で配合することが可能です。

効能効果が認められていない化粧品と違い、「しっかりと効果がある成分」を使用することができるわけです。

また、ドクターズコスメを含む化粧品は、3年以上という品質保持期限があるために、多くの添加物や防腐剤が含まれています。 院内で作る調剤化粧品は、消費期限を短くすることで、添加物と防腐剤を減らして 肌に本当に必要な成分、肌に優しい成分だけを厳選して使用することができます。

急成長が予想される調剤化粧品

調剤化粧品は、薬事法上は「医薬品」扱いになりますので、化粧品とは異なり、効果効能がある原料を使用することが可能です。結果が出る化粧品のため、一般の化粧品にはない効果の高さが口コミで広がって、すでに当院の調剤化粧品を愛用している患者さんから、ご家族やご友人を紹介していただく機会が増えています。

しかし、院内で調剤化粧品を処方しているクリニックは、現時点では非常に限られています。そのため、調剤化粧品を使いたくても、身近に処方している病院・クリニックが無くて諦めている方が多いのではないかと思います。

また、運良く処方してもらえたとしても、化粧品をその後も使い続けるには、定期的に診療時間内にクリニックへ出向かなければならず、消費者にとって非常にハードルが高いものとなっていました。

しかし、昨年から「遠隔診療」が事実上解禁されたことにより、ハードルが一気に下がりました。調剤化粧品をオンラインで処方できるようになったからです。

当院でも段階的に遠隔診療を導入して、試験運用をしています。現在は、初診時だけは対面診療が必要ですが、2回目からはオンラインでクレジットカード決済や銀行振り込みをしていただくことで、調剤化粧品をご自宅まで配送することができるようになりました。

本当に肌に必要なのは添加物や防腐剤がいっぱいの高級化粧品ではなく、肌に優しい化粧品によるシンプルなケアだということを、消費者は気付き始めています。10年以上も1本数万円の高級化粧品ラインを愛用していたにも拘らず、今では当院の化粧水とクリームだけのスキンケアで「全然こっちの方が肌の調子がいい。」とおっしゃられる患者さんもいます。

正しいスキンケアという意味でも、遠隔診療の解禁を契機に、今後は益々調剤化粧品の需要が高まると予想しています。

肌のクリニック

院長 岩橋 陽介

院長 岩橋 陽介

東京の調剤化粧品とニキビ治療専門皮膚科 肌のクリニック高円寺院の院長ブログ。Twitterではスタッフ全員でつぶやいています。 [詳細]