肌のクリニック院長の肌ブログ

東京でニキビ治療・シミ治療・調剤化粧品・プラセンタ療法外来をしている医師のブログ

ニキビに抗菌剤・殺菌剤入り洗顔料は無意味

time 2016/10/04

ニキビに悩む患者さんは過度に清潔志向

ニキビに悩んでいる患者さんは、ほとんどの方がものすごく清潔志向です。

枕のカバーを毎日交換したり、ベッドにアルコールスプレーをして消毒したり、何度も顔や手を洗ったりと、涙ぐましい努力をしている方もいます。斯く言う私も、ニキビで悩んでいた中学生の頃はとにかく清潔にしなければと、枕カバーを毎日交換して、顔が付くエリアの布団に除菌スプレーをしていました。

すごい潔癖症だったんですね。

ニキビ患者さんが潔癖症になってしまう理由は、「ニキビは清潔にして防ぐ!」「アクネ菌を殺菌!」「洗顔料でニキビのもとを殺菌!」などといろいろな化粧品会社がコマーシャルしてきたため、ニキビ=不潔というイメージが蔓延しているのが大きな原因となっています。

殺菌剤入りの石けん・洗顔料が販売禁止へ

ニキビ用の薬用せっけんには、殺菌・抗菌成分として「イオウ」、「トリクロサン」、「トリクロカルバン」などが入っています。ニキビの原因菌である「アクネ菌」を殺菌、静菌する目的で配合されています。

トリクロサンやトリクロカルバンは、殺菌剤として非常に多くの製品に使われています。

トリクロサンは40年以上前から、海外ではいろいろな研究機関がその有害性について報告を行っています。国内でも1993年に北海道衛生研究所から、トリクロサンが水道水の残留塩素と紫外線の存在下でダイオキシンを発生させることが報告されました。

つまり、水道水中のカルキや日光に反応してダイオキシンが発生するわけです。そして、排出されたトリクロサンが原因で水環境中にダイオキシンが蓄積することも懸念されています。

ノルウェーでは、尿中のトリクロサンの濃度が高い子供ほどアレルギーやアレルギー性鼻炎を抱えている率が高くなっており、トリクロサンで皮膚・口腔・腸の細菌叢が変化して、善玉菌が減るためにアレルギーのリスクが増加すると報告されています。

このような経緯から、いろいろな市民団体、環境団体がトリクロサン配合の抗菌石けん、ボディーソープ、シャンプー、歯磨き粉などの販売中止を求めていました。

2013年に米食品医薬品局(FDA)は、製品メーカーに、トリクロサンやトリクロカルバンなどの有効性と安全性のデータを提出するよう要請し、安全性を検討してきましたが、結果、2016年9月にトリクロサンやトリクロカルバンなど19種類の殺菌剤を含む抗菌せっけんやボディーソープなどを販売禁止にする措置を発表しました。

FDAは「抗菌石けんが通常のせっけんより有効だという科学的根拠はなく、殺菌剤は長期的に利点よりも有害となりうる可能性がある」と警告しています。販売禁止は最も重い処分になります。

ちなみに欧州ではトリクロサンは、2015年6月に使用禁止が決定されています。

殺菌剤入りの石けん・洗顔料はニキビに効果はあるの?

殺菌剤入りの薬用せっけんがニキビを治すという医学的根拠(エビデンス)はありません。

イオウの殺菌作用を利用した硫黄カンフルローションは、日本の皮膚科で古くから処方されていますが、ニキビ自体への効果は乏しく、イオウに強力な乾燥作用があるため、ニキビ跡を残しやすくしてしまう可能性があります。海外では処方する医師はいませんが、日本では未だに処方している医師がいます。(尋常性ざ瘡ガイドラインでは一応C1で推奨できるとなっていますが、そもそもこのガイドライン自体、日本の保険内で使われる治療薬をメインで作られており、とても古臭いもので全く参考になりません。)

トリクロサンやトリクロカルバンは上記で指摘したように、有用どころかその有害性が懸念されています。

肌には200種類以上の菌が存在しており、抗菌剤や抗生剤を使用することにより、肌を守る善玉菌の働きが弱くなります。そして、悪玉菌は耐性を獲得してよみがえり、善玉菌がいない環境下でますます増殖するという悪循環に陥ります(菌交代現象)。

私は医師になってから十数年、抗生物質の乱用、長期使用についてずっと警笛を鳴らし続けてきました。今の日本の現状は、風邪でもなんでも熱があれば抗生剤を処方してしまうという医師が非常に多いのです。風邪はウイルス性疾患のため、細菌を殺す抗生物質は意味がありません。当院に来院するニキビ患者さんも、他院で2年も3年も抗生剤をずっと処方され続けている方がいます。耐性菌が出現して効果がなくなり、手を変え品を変えで、抗生物質もどんどん強いものに変更され、結局治らずに来院するわけです。本当に日本の治療は遅れています。

当院ではトリクロサン、トリクロカルバンだけでなく、すべての殺菌系の石けん、洗顔料は使用しないように患者さんへ指導しています。肌を綺麗に保つための洗顔は、無添加の石けんと水洗顔で十分です。

→FDA販売禁止の殺菌剤が入っている日本の商品のまとめ(未リンク)

肌のクリニック

院長 岩橋 陽介

院長 岩橋 陽介

東京の調剤化粧品とニキビ治療専門皮膚科 肌のクリニック高円寺院の院長ブログ。Twitterではスタッフ全員でつぶやいています。 [詳細]