肌のクリニック院長の肌ブログ

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化粧品の界面活性剤あれこれ | 分類など

time 2016/11/24

界面活性剤

界面活性剤は水と油を混ぜる「乳化剤」のことです。皮脂や油を水と乳化させて、汚れを落とす目的で、石鹸やシャンプー、洗剤などに幅広く使われています。

また水と油を混合させた「乳液」や「クリーム」には、必ず界面活性剤が使われています。ここでは、化粧品に使用されている代表的な界面活性剤を簡単に記述します。

化粧品に使用される水溶性成分と油性成分については、以下の記事を参照してください。

化粧品の水溶性成分・保湿成分あれこれ

油性成分あれこれ | ニキビを悪化させるオイル

界面活性剤の特徴と用途

界面活性剤は大きく分けて以下の4つに分類されます。

①アニオン(陰イオン)界面活性剤

主に洗浄が得意な界面活性剤です。泡立ちが良く、洗浄力が強いのが特徴です。

洗濯洗剤、食器洗い用洗剤、洗顔料、ボディーソープ、シャンプーなどに利用されています。

②カチオン(陽イオン)界面活性剤

帯電防止作用があります。毛髪表面のタンパクはマイナスに帯電しているため、プラスの電荷を持つカチオン界面活性剤が吸着します。界面活性剤は親水基を持つので、それが空気中の水分を吸着します。水は導電性がありますので、溜まっている電気が放出されて帯電作用を発揮します。

髪にしなやかさを与え、静電気を防止してクシ通りを良くし、髪をまとまりやすくするため、 リンスやコンディショナーに利用されています。

カチオン界面活性剤のもう一つの特徴としては「殺菌」があります。細菌の細胞膜はリン脂質で構成されており、マイナスに帯電しています。そこにカチオン界面活性剤が吸着すると、細胞膜が変性して機能が失われ、細胞死へ導かれます。

種類や濃度にもよりますが、概して皮膚への刺激性や毒性はやや高く、直接肌に付ける化粧品にはあまり使われません(リンスやコンディショナーを直接頭皮へ付けないようにと指導されるのはこのためです)。例外として、殺菌作用によって雑菌の繁殖を防ぎ、わきの臭いを予防するデオドラント製品に使用されています。また、極低濃度ですが、目薬の防腐剤としても用いられています。

③アンホ(両性)界面活性剤

分子内に陰イオンと陽イオンの両方の部位をもっているため、溶液のpHに応じて陰イオン性、陽イオン性の両方になることができます。

陰イオン性の時は、①のアニオン活性剤のように洗浄力を発揮し、陽イオン性の時は、①のカチオン界面活性剤のように帯電防止作用や殺菌作用を発揮します。①や②よりもマイルドな作用になります。

皮膚への毒性や刺激性は低く、洗浄剤の泡立ちの補助や、乳化安定剤として利用されています。

④ノニオン(非イオン)界面活性剤

親水基がイオン化しないため、他のイオン性成分と干渉しないので、自由に組み合わせることができるという特徴があります。

親水基や親油基の種類を変えたり、結合の度合いを変えることによって、水に馴染みやすい性質にするか、油に馴染みやすい性質にするかを変えることができます。(数字によって表されるため、数字が入っている界面活性剤はほとんどノニオン系です。)

ノニオン界面活性剤は分子内の結合の仕方により、エステル型、エーテル型、エステル・エーテル型、その他に分類されています。

化粧品の乳化剤として広く用いられています。

①アニオン界面活性剤の代表例

アニオン界面活性剤の名称の見分け方は、以下のようになります。

① 「~酸Na」、「~酸K」、「~酸TEA」で終わる

② 「~タウリンNa」、「~タウリンK」、「~タウリンMg」で終わる

③ 「石けん」を含む

①の例外として「クエン酸Na、水酸化Na、硫酸Na、乳酸Na、炭酸Na」の5つを覚えておきましょう(界面活性剤ではないので当たり前ですが)。ちなみに硫酸Naは硫酸のナトリウム塩ですが、「~硫酸Na(ラウレス硫酸Na、ラウリル硫酸Na)」は①の見分け方の通り、アニオン界面活性剤です。

ラウレス硫酸Na

ラウリル硫酸Naとよく混同されがちですが、分子量が小さいラウリル硫酸Naは、皮膚刺激性が強い界面活性剤なのに対し、分子量が大きいラウレス硫酸Naは、比較的刺激の少ない界面活性剤です。しかし、後述するアミノ酸系界面活性剤と比較すると、刺激性は大きくなります。

微量配合でモコモコとクリーミーな泡が立ち、高い洗浄力を発揮するため、市販のシャンプーに良く配合されています。ラウレス硫酸Naが登場してから、刺激が強いラウリル硫酸Naはほとんど使われなくなりました。

石けんカスが出ないことや、水道水中に金属イオンがあっても(硬度が高くても)洗浄力を発揮するという特徴があります。

石けん素地、カリ石けん素地

石けん素地は、油脂や脂肪酸と水酸化Naを反応させて作られます。カリ石けん素地は、水酸化Naの代わりに水酸化Kが使われています。水酸化Naと水酸化Kを両方使用している場合は、カリ含有石けん素地という表示名称が使われます。

1000年以上前から作られている最も古い界面活性剤で、非常に毒性が低く、生分解性が高いのが特徴です。概して洗浄力は高いのですが、使われている油脂や製法によって異なります。

石けんカスの影響で、洗顔後にツッパリを感じたり、髪に使用するとキシミが生じることがあります。しかし、石鹸はこの「石けんカス」が出るからこそ安全性が高いとも言えます。

石鹼が水中のミネラル成分(カルシウム、マグネシウムなど)に出会うと、石鹸は洗浄力を持たない金属石鹸₌石けんカスへ変化します。つまり、水ですすぐとすぐに石けんカスに変化するために、界面活性作用が速やかに無くなり、肌への影響が少なくなります。多くの皮膚科医が、皮膚の洗浄に無添加の石鹸を勧めるのは、このような理由からです。

ただし、石鹸はアルカリ性が強いため、敏感肌の方や肌が荒れていてバリアが壊れている方は、刺激を感じることがあります。

油脂や脂肪酸については「ニキビを悪化させるオイル」を参照してください。

ココイルメチルタウリンNa・ココイルメチルタウリンタウリンNa

親水基にタウリンを含む、ヤシ油脂肪酸のタウリンナトリウム塩です。タウリンを含む合成界面活性剤は、タウリン系と呼ばれます。タウリンはアミノ酸類似物質のため、広義にはアミノ酸系合成界面活性剤に分類されています。

ココイルメチルタウリンNaは、石けんに比べると洗浄力は劣りますが、アミノ酸系界面活性剤の中では、比較的洗浄力がある界面活性剤です。

アミノ酸系界面活性剤は、泡立ちが弱く、すすぎ時のぬめりがあるのが特徴ですが、ココイルメチルタウリンNaは、きめ細かく泡立ち、泡切れも良いため、他のアミノ酸系界面活性剤のようにすすぎ時のぬめりがいつまでも残るということがありません。

肌に低刺激であり、生分解性も高いため、安全性が高い界面活性剤です。だだし、後に出てくるアミノ酸系界面活性剤も含め、極稀にアレルギーを起こす方がいます。

同じような名称のココイルメチルタウリンタウリンNaは、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンに、親水性の高いタウリン塩を付けたものです。保水力のあるダブルタウリンによって、皮膚の水分の蒸散を防いで水分保持力を上げるので、洗い上がりのツッパリ感がさらに少なくなっています。また、タウリンが親水基部を増大し、活性剤の泡膜への配向性を向上するため、他のアミノ酸系界面活性剤と比較すると高い起泡性を持つのが特徴です。

ココイルグルタミン酸Na

親水基にアミノ酸のグルタミン酸を含む、ヤシ油脂肪酸のグルタミン酸ナトリウム塩です。アミノ酸系界面活性剤で、肌に低刺激であり、生分解性も高いのが特徴です。

洗浄力は弱めで、すすぎ時にぬめり感がありますが、洗顔後もツッパリにくく、しっとりとした感触です。

使用するアミノ酸の種類が変わると界面活性剤の名称も変わり、「アラニン」というアミノ酸を使うと「ココイルメチルアラニンNa」、「グリシン」というアミノ酸を使うと「ココイルサルコシンNa」になります。

実際にテストしてみるとわかりますが、同じアミノ酸系界面活性剤でも種類によって、起泡性(泡立ちやすさ)や洗い心地がかなり異なります。例えば、グルタミンよりもアラニンのほうが洗浄力や脱脂力が若干強めになります。

ちなみに、ラウロイルグルタミン酸Naとココイルグルタミン酸Naの違いですが、両者ともほとんど特徴や性質は変わりません。

「ラウロイル」というのは、飽和脂肪酸である「ラウリン酸」を使用していることを表しており、「ココイル」というのは、ヤシ油(=ココナッツ油の「ココ」からきています)に含まれている脂肪酸を使用していることを表しています。ヤシ油に含まれている脂肪酸の主成分はラウリン酸ですから、両者の違いはほとんどありません。

アミノ酸系界面活性剤は低刺激性が特徴ですが、極稀にアレルギーを起こす方がいますので、肌に合わない場合は使用を中止する必要があります。

ステアリン酸Na・ステアリン酸Mg

ステアリン酸Naは、飽和脂肪酸であるステアリン酸のナトリウム塩です。ステアリン酸と書いてありますが、パルミチン酸も30%程度含有しています。水溶液はアルカリ性で泡立ちが良く、起泡、洗浄、乳化などに広く用いられています。

ステアリン酸Mgは、ステアリン酸のマグネシウム塩です。粒子が細かいために、粉体としてファンデーションやクリームの乳化剤としてよく使われています。また、紫外線散乱剤である酸化チタンや酸化亜鉛の表面を覆って、肌への馴染みを良くするための表面処理剤としても使用されています。

②カチオン界面活性剤の代表例

カチオン界面活性剤の名称の見分け方は、以下のようになります。

① 「~クロリド」で終わる

② 「~ブロミド」で終わる

ステアルトリモニウムクロリド

カチオン界面活性剤の特徴である、帯電防止作用や毛髪柔軟作用があるため、リンスやコンディショナーに配合されています。その他、クリームや乳液、シェービングフォームにも使用されています。

カチオン界面活性剤は、タンパク変性作用が強く、毛髪や皮膚への吸着性と残留性があるため、塗り切り(洗い流さない)化粧品に配合されている場合は、注意が必要です。

また、リンスやコンディショナーなどは頭皮に付かないように、付いてもしっかりと洗い流すようにしましょう。

ベンザルコニウムクロリド(塩化ベンザルコニウム)

カチオン界面活性剤の特徴である、殺菌作用に優れた界面活性剤です。フケ、かゆみを防ぐシャンプーやヘアケア用品に配合されているほか、手指の殺菌剤や、目薬の防腐剤などにも使用されています。

病院でも逆性せっけん(消毒剤)として使用される成分で、横浜の大口病院で点滴の中に界面活性剤が混入された事件がありましたが、その界面活性剤がベンザルコニウムクロリドです。

使い方を誤らなければ、比較的安全な殺菌剤ですが、やはりカチオン界面活性剤ですので、塗り切りの化粧品にはおすすめできません。

極低濃度で医療用目薬の防腐剤として使用されていますが、稀にベンザルコニウムクロリドのアレルギーによって、充血や眼脂などのアレルギー性結膜炎の症状を起こす患者さんがいます。コンタクトレンズに吸着して残留するため、コンタクトレンズをして目薬を差してはいけないというのは、このベンザルコニウムクロリドが配合されているからだったりします。コンタクトレンズをしている方で、ドライアイが気になる方は、防腐剤が入っていない1回使い切りの目薬がおすすめです。

ベンザルコニウムクロリドは、衣類への吸着性が高いため、洗濯時の柔軟剤代わりに少量使用すると、その殺菌作用で嫌な雑菌臭を抑えることができます。

③アンホ界面活性剤の代表例

アンホ界面活性剤の名称の見分け方は、以下のようになります。

① 「~ベタイン」で終わる

② 「~オキシド」で終わる

③ 「アンホ」を含む

コカミドプロピルベタイン

「コカミド」も「ココイル」と同じく、ヤシ油脂肪酸(ココナッツ油脂肪酸)から作られたものを表しています。ヤシ油脂肪酸アミド(ココアミド)が省略されたものと考えてください。

コカミドプロピルベタインは、ヤシ油脂肪酸と、砂糖大根に多く含まれるベタイン(ベタインについては化粧品の保湿成分あれこれを参照)を結合して作られた両性界面活性剤です。

水溶液中のPHが酸性の場合は、親水基がプラスになるために、カチオン界面活性剤の性質を発揮します。液体の粘度を調整でき、アミノ酸系アニオン界面活性剤と比較して発泡性も良く、高い生分解性があります。

アミノ酸系アニオン界面活性剤(弱酸性)と一緒に用いられることが多く、洗浄力や発泡性の補助、帯電防止のために使用されます。

ラウラミドプロピルベタインも同様です。

水添レシチン

水性物質のお酢と、油性物質のサラダ油を混ぜても混ざりませんが、卵を加えることによって、かき混ぜると乳化してマヨネーズが出来上がります。これは、卵黄に含まれる界面活性剤「レシチン」の作用です。

天然のレシチンは酸化しやすいため、ダイズや卵黄から抽出したレシチン(リン脂質)に化学反応で水素を添加して、安定性を高めたのが水添レシチンです。

水添レシチンは安全性が高く、さまざまな成分をリポソーム化(カプセル化)するのに用いられているほか、乳化剤として乳液やクリームなどに広く用いられています。

④ノニオン界面活性剤の代表例

ノニオン界面活性剤の名称の見分け方は、以下のようになります。

① 「~グリセリル」、「~ポリグリセリル-数字」で終わる

② 「~DEA」、「~MEA」で終わる

③ 「~ソルビタン」で終わる

④ 「ポリソルベート~」から始まる

⑤ 「オレス-数字~」、「ステアレス-数字~」、「ラウレス-数字~」、「セテス-数字~」から始まる

⑥ 「PEG-数字」を含む

⑦ 「ソルベス」を含む

ものすごく大雑把な見分け方として、界面活性剤で数字が付くのはノニオンのみのため、数字が付いたものはノニオン界面活性剤と覚えておいてください。(界面活性剤以外にも数字が付いているものはありますが、あくまで大雑把な覚え方です。)もちろん、オレフィン(C14-16)スルホン酸Na=アニオン界面活性剤などといった例外は沢山あります。

トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルは「グリセリル」で終わっているのですが、ヤシ油由来のカプリル酸とカプリン酸の3つの脂肪酸が、グリセリンと結合したものです(トリエステルと言います。トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルのトリは3つという意味です。)。だだし、⑥の「PEG-数字」を含むというのは、「PEG-60水添ヒマシ油」などはノニオン界面活性剤に当たりますが、単に「PEG-20」や「PEG-30」と書かれている場合は、ポリエチレングリコール(多価アルコール)のことですので、水溶性の保湿剤になります。

3つの脂肪酸とグリセリンが結合したものが「油脂」になることは、「ニキビを悪化させるオイル」で説明しましたが、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルは、ノニオン界面活性剤ではなく、合成の油脂である「エステル油」という分類になりますので、例外です。

ポリソルベート20

無色~薄黄色の液体。植物由来のソルビタン脂肪酸エステル(親油性)に、石油由来の酸化エチレンを20分子縮合させて親水性にした界面活性剤です。乳化剤や、分散剤として、ドレッシングやケーキミックスなどの食品から、化粧品まで幅広く使われています。

親水性の高さは、ポリソルベート20>ポリソルベート80であり、数字が小さいほど水に馴染みやすくなります。ポリソルベート類は、概して親水性が高い(水により馴染みやすい)合成界面活性剤で、ポリソルベート80でもHLBは15です。(HLBは数字が大きくなれば親水性、低くなれば親油性となります。ソルビタン脂肪酸エステルのHLBは2~8。)

低刺激で安全性も高く、化粧品の分野では、クリームや乳液などの他、その親水性の高さから、化粧水にも多く使用されています。

PEG-60水添ヒマシ油

ひまし油は、トウゴマの種子から採取した植物油です。ひまし油に水素を添加して、石油由来の酸化エチレンを縮合させて作られます。白色の半固形のワックス状になっています。

PEG-数字の数字の部分は50や60が良く用いられています。数字が大きくなるほど親水性が高くなり、水に馴染みやすくなります。また、数字が大きくなるほど皮膚への刺激性は小さくなります。

PEG-60水添ヒマシ油のHLBは14と親水性が高いため、化粧水やジェルなどによく使われています。化粧水中にノニオン界面活性剤を使用する理由は、油性成分である香料を化粧水中に混合(乳化・分散)させるためです。

界面活性剤の中では比較的低刺激であり、安全性も高い界面活性剤です。

肌のクリニック

院長 岩橋 陽介

院長 岩橋 陽介

東京の調剤化粧品とニキビ治療専門皮膚科 肌のクリニック高円寺院の院長ブログ。Twitterではスタッフ全員でつぶやいています。 [詳細]