肌のクリニック院長の肌ブログ

東京でニキビ治療・シミ治療・調剤化粧品・プラセンタ療法外来をしている医師のブログ

日本化粧品検定と化粧品成分検定について

time 2016/12/22

化粧品関連資格には、JCLAが主催する日本化粧品検定と、CILAが主催する化粧品成分検定があります。国家資格ではなくどちらも民間資格です。

スタッフの教育のために、何か資格検定がないかと探していたところ見つけたため、試しに11月に日本化粧品検定、12月に化粧品成分検定を受けてきました。

日本化粧品検定の概要

化粧品の歴史から、メイクの仕方、皮膚や毛髪の構造、化粧品の成分まで幅広い知識が求められる検定です。1級と2級がありますが、最初から1級を受けることができます。ここでは1級について言及しています。

幅広い知識と言っても「浅く広く」と言った感じで、テキスト1冊と問題集1冊の中から出題されるため、覚える範囲は多くありません。

化粧品関連の仕事に従事している方なら、1日1~2時間勉強すると仮定して、1~2週間前からの準備でも間に合いますし、化粧品関連の仕事をしていない方でも、1~2ヶ月の準備期間があれば十分合格できると思います。ただし、後述するようにニッチな問題もあるため、試験対策は必要です。

試験時間は60分で、マークシート60問、試験中の途中退席は不可です。問題60問中約7割の正答率で合格しますので、42問正解すれば合格します。合格率は開示されていませんが、私の感覚では70%~80%くらいは受かるのかなと思っていましたが、一緒に受けたスタッフの感想は「かなり難しかった。」そうで、化粧品業界で働いていない方なども受けていることを考えると、今回の合格率は50%~60%程度なのかもしれません。

日本化粧品検定の試験対策

私はテキストを読まず、問題集を2回解いて試験に臨みました。回によって違うようで、問題集から多く出る回もあれば、テキストの内容から主に出題される回もあるようです。私が受けた回は、試験問題の大部分は「問題集」からではなく、「テキスト」から出ていました。

問題集は過去問ではないそうで、例えば問題集のカタカナ英語には日本語訳が付いていますが、本番の試験では日本語訳はありませんでした。英語がもともと得意な人は、見ればだいたい意味が分かると思いますが、そうでない人は、カタカナ英語をそのまま覚える必要があります(例:ルースエポニキウムなど)。

テキストには、受験本などに良く入っている赤文字部分が見えないようにする「赤い透明のシート」が付いています。試験が終わった後にテキストを見てみると、テキスト内の赤文字部分が微妙に改変されて出題されており、赤文字部分を中心に読んでおくのが良さそうです。

日本化粧品検定の感想

勉強をあまりしないで受けた私が言うのもなんですが、一般の方や化粧品業界に入りたての方が、化粧品全般の基礎知識を身につけるには良い検定なのかもしれません。身近な化粧品や入浴剤、シャンプーなどに含まれている成分などと照らし合わせたり、女性の場合は普段行っているメイクの方法の答え合わせをしたりと、生活と結び付けて勉強すると、試験の意義を見い出すことができると思います。

日本化粧品検定は浅く広くの知識を問うものであり、1級が受かったからと言って、化粧品の成分表が読めるようになるわけではありません。化粧品の成分を読み解くには、後述する「化粧品成分検定」のほうが適しているでしょう。

試験の中にはニッチな問題もあり、正直「この知識いるのかな?」というものや、「この選択肢だったらどっちも状況により正解になり得るな。」というものもありました。

試験問題をネット上にアップするのは禁止されているため、具体的には書きませんが、いわゆる「ひっかけ問題」のような言葉を微妙に変えて正誤を判断させる問題が多くありました。

「AはBだからCである。」という答えを、「AはB’だからCである。」というような、微妙に真ん中を変えて正誤を判断させるような問題などのことですが、このような問題を多くすると、試験自体が暗記や受験テクニックを必要とするような「合格のためだけの知識」を求めるものになってしまいます。

例えば、問題そのものは書けませんが、ニキビの治療として使われるものにレゾルシン(レゾルシノール)という成分があります。レゾルンはジヒドロキシベンゼンといって、ベンゼン環に2個のヒドロキシ基を有する構造を持っていますが、ジヒドロキシベンゼン類は殺菌作用の他にも抗炎症作用を持ちます。また、硫黄も殺菌作用の他に抗炎症作用を持っています。しかし、その観点から問題を見ると、抗炎症作用を持っている成分が3つもあることになり、問題として成立しません。

他にも、ビタミン剤の効能効果を問う問題があり(具体的には問題そのものは書けませんが)、そういった分野は私たち医者が良く知っている知識なのですが、「臨床でこの効能効果目的で患者さんに勧めたり、処方することは絶対にないな。」というような効能効果を答えさせる問題が出題されていたりと、実用からかなりズレていると感じざるを得ませんでした。

公式問題集でも、「?」が付く問題があり、2つ例を上げますが、これ以外にもいくつかおかしな設問があります。

例えば、1級問題集20ページの第7問「男性の分泌する皮脂量は女性の何倍か?」という問いは、男性でも女性より皮脂量が少ない人は沢山いますし、皮脂量はあまりに個人差が大きすぎて、それを問うこと自体に意味がありません。

同じく20ページの第8問「男性の表皮は女性に比べてどれくらい厚い?」という問いで、答えは0.5mmとなっていますが、もともと表皮の厚さは0.2mm程度ですので、男性は0.2mm+0.5mmで0.7mmもの厚い表皮を持っていることになってしまいます。

まだまだ発展途上の資格試験だと感じますが、総じて化粧品全般を勉強するきっかけになるのは良いことで、あくまで1級は入口の入口であり、そこからいろいろと勉強するためのものと思えば、受験する価値はあると思います。

ちなみに「コスメコンシェルジュ」の資格は、1級を合格してから研修を受けて取る資格になりますが、実際には2時間半の講習を受けるだけであり、質は高い講習なのでしょうが、上の資格であればもう少し講習を充実させるべきだと思います。

また、民間資格は取り切りという部分にメリットがあるのですが、コスメコンシェルジュの資格を維持するために、年会費が毎年かかってしまうところは残念です。医学系の学会も同様ですが、年会費がかかる資格団体の多くは利権団体になりがちですので、JCLAにはぜひ年会費分の価値を会員の方へ還元できるように頑張っていただきたいと思います。(ちなみに私はコスメコンシェルジュは取りません。)

化粧品成分検定の概要

化粧品成分検定は、全般的な知識というよりは、化粧品の成分に特化しているため、より化粧品業界の方向けの検定になっています。こちらも1級と2級がありますが、ここでは1級について言及しています。

2015年からスタートしたばかりの検定で、CILAが主催している試験です。CILAの代表は、Cosmetic-Infoという化粧品原料のデータベースを作っている方です。(とても素晴らしいデータベースです。)

日本化粧品検定は「広く浅く」でしたが、成分検定では成分のみの知識がある程度要求されます。難易度は化粧品成分検定のほうが日本化粧品検定よりも高いとされていますが、実際にはわかりません。

横文字が多く、取っつき難い内容かもしれませんが、化粧品の処方開発・設計をすでに行っている方にとっては基本的な内容がほとんどの試験です。1日1~2時間勉強すると仮定して、一般の方で6ヶ月間、化粧品の処方開発を行っている方で1ヶ月間くらいの準備期間があれば、十分合格することは可能です。

私の場合は、試験の1ヶ月ほど前からテキストを読み始めました(化粧品検定が先にあったため、1週間~ほどは化粧品検定に時間を割きましたので、正味3週間ほど勉強に費やしました)。

試験時間は90分で、マークシート65問、簡単な記述問題5問の合計70問+アンケート5問です。60分後に途中退席することが可能です(かなり時間は余ると思います)。問題70問中8割の正答率で合格しますので、56問正解すれば合格です。合格率は開示されていませんが、正答率8割が合格ラインということを考えると、合格率は40%~50%くらいというのが私の予想です。

化粧品成分検定の試験対策

こちらも日本化粧品検定と同じで、テキスト1冊と問題集1冊から出題されますので、範囲は広くありません。化粧品に配合される成分はいろいろとあるものの、テキストや問題集には一般的な成分ばかりが出てきますので、そちらを覚えれば問題ありません。

化粧品の成分を判断するには、ある程度コツがあり、「化粧品の界面活性剤あれこれ」で書いたように、例えば「グリセリル」や「ソルビタン」が最後につくとノニオン界面活性剤などと、判別する方法だけ覚えれば、あまり細かいところまで覚えなくても合格できます。

試験に出る成分表は、テキストや問題集とまったく同じ成分表ではありませんが、かなり似た処方設計のものが出題されます。そのため、テキストと問題集に出てくる成分の大まかな特徴と分類を覚えれば大丈夫です。

テキストや問題集は、非常に良くできていて、化学がわからない人でも正しい知識が得られるように工夫されていますので、アレルギーを起こさず読み進められると思います。

化粧品成分検定の感想

化粧品成分検定では、「問題をSNSやブログにアップしちゃだめ!」という縛りはなかったので、実際に出た問題についても少し言及しながら感想を書きます。(次の回からは、ダメということになるかもしれませんので気を付けてください。)

日本化粧品検定と比較すると、ニッチな問題というのはなく、すべてが実用的、かつ、基本的な問題でした。化粧品成分をこれから勉強する人には、大いに役立つ資格だと言えます。その反面、化粧品の処方設計をすでに行っている人にとっては、簡単に思えてしまうかもしれません。

私の場合、試験後に答え合わせをして確認したところ、日本化粧品検定は75%程度の正答率であったのに対し、化粧品成分検定は1問も間違えませんでした(おそらくですが)。

日本化粧品検定は先述したように、答えがあいまいだったり、どっちもあり得るというような問題がありましたが、化粧品成分検定ではそういったあいまいな問題がなく、きっちりと正解を選ぶことができるので、モヤモヤした感じはありませんでした。ただ、日本化粧品検定は勉強せずに受けましたので、単なる勉強不足のせいでモヤモヤしていたというのも否めません・・。

試験問題で「ありゃ?」と思ったのは、成分表から「固形石鹸」を選ばせる問題があったのですが、その後に「石けん素地としてまとめられる成分はどれか?」という問いが出てきて、問題の中で答えを言ってしまっている設問が見受けられました。

それから、石けんの製法について、「〇〇法」を漢字2文字で記述せよという問題が出題されましたが、答えは「中和」でしたが、もしも「鹼化」だったら書けない人が多数出ていたに違いありません。ただ、鹼化という難しい漢字を記述させることはまずないと考えられますので、サービス問題であったとも捉えられます。

1級を合格した方は資格認定料5000円を支払うと、「化粧品成分上級スペシャリスト」の認定証がもらえます。化粧品成分検定を主催しているCILAは、年会費や入会金などは一切取っていないため、CILAの活動に賛同する方は、1回きりなので支払っても良いのかもしれません。

ただ、お金を払えばもらえる資格というのはあまり意味がありませんから、できれば1級の上位資格にして、講習や何か他の試験があってもいいのではと、個人的に思いました。

以上、2つの検定についての感想でした。

肌のクリニック

院長 岩橋 陽介

院長 岩橋 陽介

東京の調剤化粧品とニキビ治療専門皮膚科 肌のクリニック高円寺院の院長ブログ。Twitterではスタッフ全員でつぶやいています。 [詳細]