「肌のクリニック」院長の肌ブログ

東京の高円寺と麹町にある皮膚科・美容皮膚科「肌のクリニック」の院長ブログです。ニキビやニキビ跡、シミ治療、化粧品、プラセンタなどの美容情報を医師の視点から発信しています。化粧品業界や美容業界の問題点にもメスを入れていきます。

敏感肌の人はオーガニック化粧品を使わないように

time 2017/01/12

オーガニック化粧品

メディアの影響で、オーガニックコスメと聞くと、「自然」「体に良い」「天然」などのイメージが先行して、なんとなく肌に良さそう、肌に優しそうと思っている方も少なくありません。

オーガニックコスメって何でしょうか?オーガニックは農薬や化学肥料を使わない有機栽培のことです。では、オーガニックコスメは?

実は日本には、「オーガニックコスメ」と表示するための規定は一つもありません。無農薬で栽培された植物エキスをほんの少し使っているだけで、オーガニックと宣伝している化粧品も沢山あります。特にインターネットを見ると、やりたい放題、無法地帯になっています。

ヨーロッパはオーガニックコスメ認定団体があり、一定の基準を設けています。日本のオーガニックコスメの中には、「エコサート認証」などの海外のオーガニックコスメ団体の認定を取っているものもあります。

この基準は、オーガニック栽培された植物由来の原料を使っているかどうか(何パーセント以上使用しているなど独自の基準があります)で判断されています。植物エキスを使用するのであれば、エコサート認証のもののほうが良いのですが、オーガニックであることと肌に優しい(刺激性、アレルギー性がない)ということはまったく関係がありません。

敏感肌には推奨しないオーガニック化粧品

アトピーなどの敏感肌の方に、「オーガニック化粧品を使いなさい。」と勧める皮膚科医はいません。それは、オーガニックコスメによる皮膚のかぶれ、アレルギーなどを起こす患者を診てきているからです。

オーガニック化粧品といってもいろいろありますが、皮膚にトラブルを起こす原因の大半は「植物エキス」にあります。オーガニック化粧品は、オーガニック色を前面に出すのに、実に何種類もの植物エキスを配合しています。オーガニックを宣伝するために沢山の植物エキスや溶媒を配合しており、それが皮膚トラブルの原因になることが多いという逆の結果をもたらすことがあります。

「18種類の天然植物エキスを配合し、シミがなくなる!」「腐らない植物エキスの力で、あなたの肌も腐らない!?」「植物幹細胞エキス配合!肌を再生する!」などと、仰々しい文言が並びますが、すべて薬機法違反の広告で、なおかつ嘘です。

「化粧品原料として配合できる植物エキス」に大きな美肌作用は期待できません。反対に、アレルギーなどの皮膚トラブルの原因にはなり得ます。

植物エキスがどれくらいの美肌効果があるのか、というのはブラックボックスであり、また、何種類も混ぜることによって得られる効果はさらに未知数です。だいたいの会社が、ただただ「植物エキスは肌に良い」という広告を繰り返していますが、どのように良いのかというのは不明です。

皮膚アレルギーを起こす植物エキスは、それがオーガニック認定されていようと、契約農家から仕入れた植物であろうと、新鮮なまま配合したものであろうと、起こるときは起こります。食品と肌に塗る化粧品は全く異なり、食品として安全だから、肌にとっても安全ということにはなりません。

ほとんどのオーガニック化粧品には、植物エキスを抽出するために用いられる「エタノール(俗に言うアルコールのことです)」や「BG(ブチレングリコール)」が配合されています。実は、これらの成分もアレルギー体質の方へはあまり適した成分ではありません。

エタノールやBGは、問題が起こらない人が多いものの、赤みやかぶれが出てしまう方がいます。アルコール綿でかぶれてしまう患者は、医療現場では珍しくありませんし、稀にBGにアレルギーがある人もいます。グリセリンなどの保湿剤と比べると、アレルギー性がやや高い成分とも言えます。

わざわざ敏感肌・アレルギー体質の方が、植物エキスやエタノールの入ったものを使う必要性はないため、できれば使わないに越したことはありません。もちろんアレルギーがない方は、使っても全く問題が起こりませんし、通常はエタノールやBGは安全性が高く、非常に多くの化粧品に配合されています。なので、アレルギー=危険ということにはならないので、その点は注意してください。

パラベンやフェノキシエタノールなどの防腐剤アレルギーがある方で、エタノールやBGにアレルギーがない方が、防腐のためにエタノールやBGを使用している化粧品を使うのは問題ありませんので、あくまで人それぞれということになります。

植物エキスの大きなデメリットは、不純物が多いということです。不純物の中には刺激や炎症などを起こす成分が含まれています。植物エキスが1%以上の濃度で配合されることが少ないのは、このためです。しかし、オーガニックコスメの場合、非常に多くの種類の植物エキスが配合されている場合が多く、すべての植物エキスを合わせると、1%を超える化粧品も存在します。

多くの植物エキスを配合したり、濃度を高くすると皮膚トラブルのリスクが増しますから、オーガニックコスメは敏感肌に適しません。植物エキスを低濃度で配合すれば、安全性は増すかもしれませんが、極微量の植物エキスに一体何の作用を期待しているのか不明です。

BGだけではなく、ペンチレングリコールやヘキサンジオールなど、抗菌性のある多価アルコールはグリセリンよりもアレルギー性が高いです。実際に当院で行っていた化粧品成分のパッチテスト(アレルギーテスト)でも、これらの多価アルコールにアレルギー陽性反応を示す患者は一定数おり、アレルギーの疑いがある方は避ける方が好ましいでしょう。

ただし、化粧品の品質管理の上で、入れなければならないこともあります。すべての方がアレルギー性を示すわけではなく、アレルギーを示す方は少数ですので、自分の肌にあったものを選別して使用する必要があるということです。

アレルギーテストでは、BGは陰性だけれども、ペンチレングリコールは陽性だったり、その逆を示すこともあります。アレルギーが起こる確率を少しでも減らすのであれば、アレルギー性のある成分ができるだけ少ない、シンプルな処方のものの方が良いです。多種類の植物エキスや多価アルコール、エタノールなどを使ったオーガニックコスメは、敏感肌・アレルギー体質の方にはおすすめしません。

オーガニックコスメの一例

ネットで検索したオーガニックコスメ(クリーム)の全成分表示例です。このコスメは、エコサート認証で肌に優しいそうです。

成分表示 成分の分類
①シークワーサー果実水 水(植物エキス配合?)
②水
③オリーブ油 油脂
④パルミチン酸 飽和脂肪酸
⑤ペンチレングリコール 多価アルコール
⑥ホホバ種子油 ロウ
⑦ステアリン酸 飽和脂肪酸
⑧スクワラン 炭化水素
⑨シークワーサー果皮エキス 植物エキス 
⑩ムラサキ根エキス 植物エキス
⑪ユキノシタエキス 植物エキス
⑫カンゾウ根エキス 植物エキス
⑬オタネニンジン根エキス 植物エキス
⑭ヨーロッパキイチゴ種子油 油脂
⑮シアバター 油脂
⑯アロエベラ液汁末 植物エキス
⑰ヒマワリ種子油 油脂
⑱ラウリン酸ポリグリセリル-10 ノニオン系合成界面活性剤
⑲サリックスニグラ樹皮エキス 植物エキス
⑳キサンタンガム 増粘剤
㉑トコフェロール  酸化防止剤
㉒オレンジ油 香料
㉓バクホウシアシトリオドラ葉油 香料
㉔ビターオレンジ花油 香料
㉕水酸化K PH調整
㉖BG 抽出溶媒

ざっと見るだけでも、植物エキスだらけです。

界面活性剤は2種類配合されています。1つは⑰番のラウリン酸ポリグリセリル-10と呼ばれるノニオン系界面活性剤と、もう一つは④、⑦の脂肪酸と㉕の水酸化Kでせっけんと同じアニオン系界面活性剤が入っています。

水性成分と油性成分(油脂や炭化水素)をノニオン系とアニオン系の合成界面活性剤で乳化させた普通のクリームに、植物エキスを沢山入れたということがわかります。また、㉖にBGがあることで、BGが植物エキスの抽出溶媒に用いられていることがわかります。

パラベン・フェノキシエタノールは入っていませんが、防腐剤としてペンチレングリコールが入っています。ペンチレングリコールは静菌作用がある多価アルコールで、ポジティブリストとして登録されている防腐剤ではありません。ペンチレングリコールは、肌に刺激が少なく優しい成分なのですが、ペンチレングリコールを単体で防腐剤として使用する場合は、3%以上の量が配合されています。

ペンチレングリコールは、抗菌性がパラベンやフェノキシエタノールより劣るため、市販の化粧品へ使用して防腐効果を得るためには、単体では3~5%程度配合されていることが多くなっています。このオーガニックコスメは、他に防腐成分を使用してませんから、ペンチレングリコールの配合量は3%か、それ以上と推察されます。

(化粧品の防腐剤については、「化粧品の防腐剤あれこれ」のページも参照してください。)

このコスメは、なるべく防腐剤を使いたくないという意図がわかるものの、植物エキスがこれだけ入っており、なおかつ香料としても、植物性のオイルが3種類、BGやペンチレングリコールなどの多価アルコールが入っており、アトピーや敏感肌の方にとっては、皮膚刺激やアレルギーの原因となるリスクは高くなると言えます。

もちろん、皮膚が健康な方であれば、使っても全く問題は出ないでしょうが、医師目線で見ると、とても肌にやさしいとは言えない化粧品です。

化粧品の広告に騙されるのは終わりにしましょう

ネット系の化粧品会社に多い広告のやり方ですが、その商品名で検索すると、やたら「〇〇を使ってみた」などのレビューやブログがヒットします。商品をほめちぎり、公式サイトにリンクするステマサイトです。

公式サイトでは薬事法違反で宣伝できない内容なんかも、ステマサイトにはバンバン載せられています。例えば「ニキビやアトピーが改善した!」などという体験談です。公式サイトに載せていないからセーフみたいな世界になっていますが、お金を払って広告してもらっているので、完全にアウトです。か、あまりにも数が多すぎて厚生省も取り締まれず、まさに無法地帯と化しています。

患者さんから化粧品のことを聞かれ、時々その化粧品名を検索するのですが、ステマサイトがワーッと沢山出てきて、全成分表示なんか見る前に、しょーもない化粧品だとわかります。

最近の若い患者さんはスマホ世代なので、化粧品の広告が嘘ばかりでステマだらけということを知っている人も多いです。しかし、それでも、ニキビに悩んでいたりすると、広告に騙されて購入してしまったという方も大勢います。わらをもすがる思いの患者を騙すのは、本当に悪質です。

コスメ大好きの当院のスタッフも、化粧品検定や成分検定の試験を通じて、化粧品の成分や法律上広告できる内容などを勉強するようになり、騙されなくなりましたが、以前は「先生!芸能人がインスタに上げているあの化粧品が良さそうなんですよ!」などと言っていました。

私が、「それ、芸能人が使っているように見せて、実際にはお金もらって宣伝しているだけだからね。みんなボトルが見えるように、手に持って写真アップしてるの不自然でしょ。」と言うと、しょんぼりしていました。うちのスタッフは、化粧品に関してはいろいろピュアすぎますね。

肌のクリニック

院長 岩橋 陽介

院長 岩橋 陽介

東京の内科・皮膚科医師です。薬剤師で抗加齢医学会専門医の涌水医師にも記事を書いてもらっています。 [医師紹介]

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