肌のクリニック院長の肌ブログ

東京でニキビ治療・シミ治療・調剤化粧品・プラセンタ療法外来をしている医師のブログ

肌に優しい化粧品のはずなのに荒れてしまう原因

time 2017/02/20

アトピー性皮膚炎患者へのパッチテスト

市販の化粧品がほとんど肌に合わないという患者さんは、当院へ沢山来院されますが、先日、産後に顔が赤くなったり、荒れてしまうようになったという患者さんが来院されました。

持病にアトピー性皮膚炎があり、肌が極度に敏感な患者さんです。洗顔や化粧水を使用すると肌の調子が悪くなるので、化粧品が原因ではないかと疑っており、パッチテストを希望されました。

使用していた化粧水や洗顔料、シャンプー、コンディショナー、日焼け止めなど沢山持ってきてもらいましたが、すべてを検査すると金額がかかるため、その中からいくつかピックアップし、また化粧品の成分の中から怪しいものを選んで、20種類ほどパッチテストを行いました。

結果、洗顔料でしっかりと陽性反応が出て、シャンプーや化粧水でも反応が出ました。成分では、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、フェノキシエタノールなどの防腐剤には陽性反応は出ませんでしたが、ペンチレングリコールなどの多価アルコールで陽性、保湿成分ではベタインで陽性反応が出ました。

市販の日焼け止めはほとんど合わないとのことで、ほとんどの日焼け止めに使用されている紫外線散乱剤の酸化チタンと酸化亜鉛、紫外線吸収剤のメトキシケイヒ酸エチルヘキシルもパッチテストを行いましたが、酸化亜鉛とメトキシケイヒ酸エチルヘキシルは弱陽性、酸化チタンは陽性とまではいかなかったものの、若干肌のかさつきが認められました。

アミノ酸系界面活性剤にアレルギー

患者さんはもともとアトピー持ちなので、洗顔料やシャンプー、化粧水などは無添加や敏感肌用と表示されているものを購入していました。無添加で有名になった某ブランドのものもありました。

洗顔料やシャンプーの成分表示を見ると、ラウロイルグルタミン酸Naや、ラウロイルアスパラギン酸Naなどのアミノ酸系界面活性剤が主成分です。(アミノ酸系界面活性剤については「化粧品の界面活性剤あれこれ」をご参照ください。)

アミノ酸系界面活性剤は刺激が少なく、生分解性も高いため、肌に優しい洗浄剤として多くの洗顔料やシャンプーへ配合されていますが、アレルギー性がないわけではありません。

今回の患者さんは、洗顔料でもシャンプーでも陽性反応が出ており、特に洗顔料は紅斑(皮膚が赤くなる反応)がしっかりと出ていました。患者さん自身、その洗顔料を使うと肌が赤くなってしまうことや、シャンプーを使用した後、髪の生え際の皮膚が赤くなっていることに気付いていたようです。

洗顔料に含まれていたトコフェロール(ビタミンE)にアレルギーを起こす方もいるため、そちらも検査しましたが陰性でした。

洗顔料やシャンプーに含まれているすべての成分をテストしたわけではありませんが、アミノ酸系界面活性剤にアレルギーが出ている可能性は十分あり、今後は同様の成分が入ったものは避けてもらうように指導しました。

ちなみに、洗顔料やシャンプーのパッチテストは、100倍に薄めてテストしています。

敏感肌用の化粧水にアレルギー

化粧水にもアレルギー陽性反応が出ましたが、無添加、敏感肌用と謳われている化粧水でアレルギーが起こる症例は良く経験します。

無添加化粧水には、防腐剤不使用と謳っているものが多くありますが、パラベンなどの防腐剤が入っていない代わりに、BGやペンチレングリコール、ヘキサンジオールなどの静菌作用がある多価アルコールが使用されています。

これらの多価アルコールだけで防腐効果を出そうとすると、かなりの量を配合しなければらなず、刺激性が問題となります。患者さんが持ってきた化粧水には、ペンチレングリコールが配合されていたため、成分単体でパッチテストを行ったところ、やはり陽性反応が出ました。

ペンチレングリコールだけではなく、BG(ブチレングリコール)やヘキサンジオールにアレルギーが出る患者さんもいます。(防腐剤について、詳しくは「化粧品の防腐剤あれこれ」もご参照ください。)

その他、砂糖大根から抽出した保湿剤であるベタインにもアレルギー反応を示しました。ベタインは刺激性が少ないと言われますが、グリセリンなどと比較するとアレルギー性が高い保湿剤であり、痒みや赤み、かさつきが起こる方がいます。ちなみに、私もベタインアレルギーです。

日焼け止めにアレルギー

酸化亜鉛は、亜鉛イオンの問題でアレルギーを起こす人は少なくありません。また、紫外線吸収剤であるメトキシケイヒ酸エチルヘキシルにも刺激や赤みを感じる人はいます。ただ、酸化チタンのアレルギーの報告は少なく、たいていの人には使用可能なはずなのですが、今回の患者さんは、代表的な日焼け止め成分である酸化チタン、酸化亜鉛、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルのすべてに皮膚症状が出てしまったため、非常に困りました。(酸化セリウムは今回テストしませんでしたが、酸化セリウムをおすすめしないことは、「酸化セリウムを使った日焼け止め」のページで記述したとおりです。)

今の日焼け止めの成分は、吸収剤も含めてコーティングされているのですが、コーティングされているから問題が出ないわけではありません。コーティングといっても、実情は結構いい加減なもので、100%コーティングされているわけではありません。多少なりとも肌への負担が少なくなれば良いくらいに考えておいたほうがいいくらいで、アレルギー症状が出た場合は、例えコーティングされていたとしても使用してはいけません。

今回のような患者さんの場合、フェルラ酸やレッドラズベリーシードオイル、キャロットシードオイルなどの日焼け止め作用のある成分を使用できる可能性は残っているものの、そもそも、これらの成分は言われているほど大してSPF(日焼け止め作用)は出ないため、物理的な防御(日傘や長袖のシャツ、帽子など)で紫外線予防をすることが大切です。

無添加・敏感肌用などの表記は気にしない

無添加や敏感肌用と謳っている化粧品は沢山あります。ある程度気を使っているな、と感じる設計の化粧品から、ただ単に無添加と広告しているだけのいい加減な設計の化粧品まで様々です。

ただ、所詮いくら消費者に気を使った設計をしたところで、3年もの長い期間品質を保たなければならない時点で、防腐剤や添加剤、またはそれに類似したものは少なからず使用した設計になります。そのような成分にアレルギーを起こす可能性は常にあり、無添加などの表記よりも、どの成分が自分に合わないのかを知っておくことのほうが大切です。

当院では、全国でも珍しい化粧品成分のパッチテストを行っていますので、アレルギーがある方はぜひ活用してください。「化粧品のアレルギー検査(パッチテスト)」※現在、検査は火曜日のみ行っております。

ご自分の持っている化粧品のパッチテストは、保険適応で行っているクリニックがあるので、お近くの皮膚科に問い合わせてみてください。

肌のクリニック

院長 岩橋 陽介

院長 岩橋 陽介

東京の調剤化粧品とニキビ治療専門皮膚科 肌のクリニック高円寺院の院長ブログ。Twitterではスタッフ全員でつぶやいています。 [詳細]