肌のクリニック院長の肌ブログ

東京でニキビ治療・シミ治療・調剤化粧品・プラセンタ療法外来をしている医師のブログ

ニキビ跡の凹み治療・肌のクリニックの考え方1

time 2017/04/15

ニキビ跡の凹み

ブログやHPで散々書いてきましたが、日本のニキビ治療が40年以上も欧米と比較して遅れているせいで、重症ニキビ患者は皮膚科・美容外科・化粧品・エステなどをいろいろと巡り、何年も改善しない状態で当院へたどり着き、当院へ来院した時点ですでに大きなニキビ跡(瘢痕)が形成されています。

そのような状態では、当院でニキビが綺麗に治った後も、ニキビ跡の凹みは一生残ることになります。一度出来てしまったニキビ跡の凹みを、完全に元の平らな状態へ戻すことは現代医学では不可能ですから、重症ニキビであればあるほど、アメリカ皮膚科学会のガイドラインで示されているイソトレチノイン治療や、ホルモン治療への早期の切り替えを行わなければなりません。しかし、残念ながら日本の皮膚科医でそのことを知っている、または、知っていても重要視している医師は少なく、ニキビが治らなければ放置されてしまっている現状があります。

山口クリニック時代から10年以上も重症ニキビ治療を行ってきた関係で、フラクショナルレーザーを10数回受けて改善しなかった患者や、凹みには全く効果のないIPLなどの光治療やピーリングを美容外科で勧められてコース組まされた患者、エルビウムヤグレーザーを受けたものの逆に瘢痕がひどくなってしまった患者、エステのグリーンピールやハーバルピールなど凹みにまったく効果のない施術を受けさせられてしまった患者など、沢山の患者の診察をしてきました。

私はもともと内科が専門ですから、ニキビをアキュテインやホルモン治療などの内服治療で治療した後は、ニキビ跡の色素沈着をピーリングや美白化粧品、トレチノイン・ハイドロキノン療法などで治療する程度で、凹みに関しては「美容外科や形成外科でレーザー治療が第一選択になるとは思うけれど、過度な期待はしないようにしてくださいね。」と説明して、患者さん自身で他のクリニックを探してもらっていました。

凹みに関してはどんなに有名な美容外科で治療を受けたとしても、完全に元通りになることはありません。きちんとした美容外科の医師は、患者に過度な期待をさせず、「完全に元通りにはできないものの、多少なりとも凹みを浅くすることが出来る。」というニュアンスの説明をしますから、年単位での治療を終えた後、患者もある程度治療効果に納得しています。

しかし、拝金主義の美容外科は、確実に良くなる、絶対に良くなる、などと説明し、患者に過度な期待を抱かせてその気にさせ、数百万の法外な治療費を取り、結果ほとんど改善しなかったという患者もいます。

「治らない。」と言われてしまうと、一見冷たいように患者としては感じてしまうのかもしれませんが、ニキビ跡の凹み治療を沢山経験したり、沢山見てきている医師ほど、簡単に「治りますよ。」とは言いません。患者に期待を抱かせて高い料金を取る医師より、きちんと治療のメリット・デメリットを説明して、必要な情報を与え、患者自身に治療を選択させる医師のほうが信頼できる医師であるということは念頭に置いておく必要があります。

前置きが長くなりましたが、肌のクリックでは、今までニキビ跡の色素沈着の治療のみで、ニキビ跡の凹みの治療は行っていませんでしたが、今年の夏以降、治療を希望する方に行っていくことにしました。肌のクリニックのニキビ跡の凹み治療の考え方と、現在行われているニキビ跡の凹み治療の考察をブログでしていきます。

ニキビ跡の凹凸のでき方

ニキビ跡の凹凸をきちんと理解すると、なぜ凹凸に対して化粧品が全く効果がないのか、光治療やグリコール酸やサリチル酸などの浅いピーリングが無効なのかがわかり、化粧品や美容外科、エステの広告に騙されないようになります。

この項はとても重要なのでしっかりと理解しておく必要があります。

皮膚の一番上の層を表皮と呼びます。厚さは0.2mm以下しかありません。その下に真皮という2mm程度のコラーゲン繊維が網目状になった、弾力に富んだ層があります。

大きなニキビなどの強い炎症が真皮に起こると、炎症部分を治そうと、炎症部分に栄養や酸素を運ぶために毛細血管が発達し、繊維芽細胞の働きで、修復材料であるコラーゲンが産生されて、傷口をどんどん埋めていきます。これを肉芽組織(にくげそしき)と呼びます。

コラーゲンはどんどんと産生される一方、マクロファージや線維芽細胞などから分泌される、タンパク分解酵素によって、コラーゲンは分解されます。つまり、肉芽組織内では、コラーゲンの生成と分解が繰り返しおきて、コラーゲンの構造をどんどん真皮に近い形状に置き換えていきます。こうして出来上がった真皮に近い組織を瘢痕組織(はんこんそしき)と呼びます。

瘢痕組織のコラーゲンの配列は、真皮に近いものの完全に同じではありません。表皮は傷ついても元通りに戻りますが、真皮は一度傷つくと、肉芽組織→瘢痕組織に変化して、真皮に近い形になるだけで、実際には瘢痕組織のままです。瘢痕組織のコラーゲンの配列が真皮に近ければ近いほど、傷は綺麗に治ったように見えますが、実際には似て非なるものなのです。なので、怪我をしたり、皮膚にメスを入れたりすると、どんなに綺麗に治っても、必ず傷跡(瘢痕組織)が残るわけです。

コラーゲンの産生が不十分で、炎症部分が埋まらないまま、周囲に瘢痕組織が形成されてしまうと、凹みになります。また、コラーゲンの産生が過剰で、瘢痕組織が盛り上がると、凸になります。これが、ニキビ跡の凹凸のでき方です。


上の図のはニキビ跡の凹み部分を表した模式図ですが、まず真皮のコラーゲン組織が欠損した状態で、表皮がその上に貼るので凹みます。また表皮の下は、炎症によって硬い瘢痕組織に変わっています。ニキビ跡の凹凸がある方が、皮膚を触ると固く感じるのは、弾力性のある柔らかい真皮が硬い瘢痕組織に変化してしまっているからです。(上の図では皮下組織の脂肪の萎縮も書かれていますが、これは、炎症によって脂肪組織が変性、萎縮を起こし、ボリュームがなくなるため凹みます。)

続きます。

肌のクリニック

院長 岩橋 陽介

院長 岩橋 陽介

東京の調剤化粧品とニキビ治療専門皮膚科 肌のクリニック高円寺院の院長ブログ。Twitterではスタッフ全員でつぶやいています。 [詳細]