肌のクリニック院長の肌ブログ

東京でニキビ治療・シミ治療・調剤化粧品・プラセンタ療法外来をしている医師のブログ

ニキビ跡の凹み治療・肌のクリニックの考え方4

time 2017/05/06

前回の記事、「ニキビ跡の凹み治療・肌のクリニックの考え方3」からの続きです。

レーザーの種類

レーザー治療全盛時代の今は、ニキビ跡の治療にレーザーは欠かせないものとなっています。しかし、レーザーで使用されている波長や種類、機種によって効果は大きく異なり、ニキビ跡の凹みに適応があるレーザーの機種はそう多くありません。

美容領域で使われているレーザー

レーザーの種類代表的な機種名治療目的
ルビーレーザー(Qスイッチ)
694nm
ザ・ルビーZ1
ザ・ルビーNanoQ
MODEL IB101
シミ
アレキサンドライトレーザー(ピコ)
755nm
ピコシュアシミ・肝斑
イレズミ
ニキビ跡
若返り
アレキサンドライトレーザー(Qスイッチ)
755nm
アレックストライバンテージ
アコレード
シミ・肝斑
アレキサンドライトレーザー(ロング)
755nm
ジェントルレーズ
ジェントルマックスプロ
エリート
脱毛
ネオジウムヤグレーザー(ピコ)
1064nm・532nm
エンライトン
ピコウェイ
ディスカバリーピコ
シミ・肝斑
イレズミ
若返り
ネオジウムヤグレーザー(Qスイッチ)
1064nm・532nm
メドライトC6
フォトナQX
マイキューデュアル
スペクトラ
トライビームプレミアム
レブライト
シミ・肝斑
イレズミ
若返り
ネオジウムヤグレーザー(ロング)
1064nm
シナジー
エクセルV
ジェネシス
クラリティ
スペクトラ
トライビームプレミアム
ジェントルマックスプロ
エリート
血管腫
毛細血管拡張症
脱毛
若返り
ネオジウムヤグレーザー
1320nm
クールタッチ
アファームマルチコンプレックス(+1440nm)
ニキビ跡
若返り
エルビウムグラスレーザー
1540nm
スターラックス
モザイク
ニキビ跡
若返り
エルビウムグラスファイバーレーザー
1550nm
フラクセル
フラクセル2
ニキビ跡
若返り
ツリウムグラスファイバーレーザー
1927nm
フラクセル3ニキビ跡
若返り
YSGGレーザー
2790nm
パールフラクショナルニキビ跡・瘢痕
若返り
エルビウムヤグレーザー
2940nm
ピクセル2940
サイトンプロフラクショナル
ヘイロー
ほくろ・イボ
ニキビ跡・瘢痕
若返り
CO2レーザー
10600nm
エコツーエボリューション
マドンナリフト
フラクセルリペア
コア
アンコア(ブリッジセラピー)
ほくろ・イボ
ニキビ跡・瘢痕
若返り
ダイレーザー
585nm~595nm
VビームⅡ
Vビームパーフェクタ
シナジー
血管腫
毛細血管拡張症
ダイオードレーザー
800nm 810nm 940nm
ライトシェアデュエット
メディオスターNeXT
脱毛

レーザーは大まかに分類すると上記のようになります。実際には複数の波長が出る機種もありますし、同じ波長のレーザーでも、機種によってパルス幅や照射径が異なり、特徴が異なります。パルス幅はナノ秒をQスイッチ、ピコ秒をピコ、それ以上はロングと分類しています。

ニキビ跡の凹みに適応があるレーザー

ニキビ跡と言っても赤い色素沈着やシミ、凹み、肥厚性瘢痕やケロイドなどいろいろな病態がありますが、ここではニキビ跡の凹みについてのみ述べます。上の表を見てもらうとわかりますが、レーザーは種類によって治療目的が異なりますが、ニキビ跡の凹みに適応があるレーザーは、実はそんなに多くありません。

ピコレーザーのニキビ跡への効果

アレキサンドライトピコレーザーのピコシュアは、フラクショナル照射(点状照射)ができるため、表皮に負担をかけずに、真皮に熱を加えてコラーゲン産生を促すことから、ニキビ跡にも適応があります。しかし、前の記事でニキビ跡の凹みのでき方や「光治療(IPL)はニキビ跡の凹凸に効果なし」を読んだ方はわかると思いますが、真皮のコラーゲンの産生を促すだけではニキビ跡の凹みは持ち上がりません。

アレキサンドライトレーザーの波長は755nmですから、真皮の奥深くまでは届きませんし、アブレーティブレーザー(組織を蒸散させるタイプのレーザー)ではないので、ニキビ跡の瘢痕組織を壊すことはできません。IPLと同じで、コラーゲン産生による肌のハリで、ニキビ跡が目立たなくなる程度に考えておいたほうが良いでしょう。

困ったのは、ピコシュアの営業の方がニキビ跡の凹凸を治しますと宣伝してしまっていることです。原理からして、当然肥厚性瘢痕やケロイドには大した効果は望めませんし、ニキビ跡の凹みに対しても上述した通りです。業者の宣伝文句をそのまま受け売りで「ニキビ跡の凹凸改善!」と書いている美容外科のHPが多く見られます。これは、IPLが出だした時とよく似ています。(IPLも最初はニキビ跡の凹凸改善とバンバン宣伝されていましたからね。)

ピコレーザーにはピコレーザーの良いところは沢山ありますが、ニキビ跡の凹みには期待できません。レーザーは適材適所というわけです。

フラクショナルレーザーのニキビ跡への効果

フラクショナルレーザーはドット状に照射するレーザーの総称です。上の表の中では、ネオジウムヤグレーザーのアファームマルチコンプレックスから、CO2レーザーのアンコアまでが、すべてフラクショナルレーザーに当たります。

フラクショナルレーザーには皮膚を蒸散させて破壊・除去するタイプのアブレーティブレーザーと、熱凝固で変性させるタイプ(蒸散、破壊がないタイプ)のノンアブレーティブレーザーに分かれます。アブレーティブレーザーはYSGGレーザー、エルビウムヤグレーザー、CO2レーザーの3つです。その他は、ノンアブレーティブレーザーに属します。

アブレーティブレーザーは、ノンアブレーティブレーザーに比べて、皮膚を蒸散させるのため侵襲的で、術後のダウンタイムが長くなります。一方、ニキビ跡の凹みの治療において、瘢痕組織を除去して再構築を促すという大切な働きをします。

ノンアブレーティブレーザーは、ダウンタイムは短いものの、瘢痕組織そのものを取り除く作用はありません。フラクセルが登場した際、まるで夢のようなレーザーの如く「ニキビ跡の凹凸も治せる!」「肌を入れ替えて赤ちゃん肌に!」などと、例によって盛んに宣伝されていましたが、実際には、期待されたほど凹みへの効果はありませんでした。フラクセルやアファームなどのノンアブレーティブレーザーは、ニキビ跡の凹みにはあまり効果的ではありません。

「ニキビ跡の凹み治療・肌のクリニックの考え方5」へもう少し続きます。

肌のクリニック

院長 岩橋 陽介

院長 岩橋 陽介

東京の調剤化粧品とニキビ治療専門皮膚科 肌のクリニック高円寺院の院長ブログ。Twitterではスタッフ全員でつぶやいています。 [詳細]