肌のクリニック院長の肌ブログ

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ケシミンクリームでシミは消えるの?

time 2017/10/16

ケシミンクリームでシミは消えない

シミに悩む方は、一度くらい小林製薬の「ケシミンクリーム」を使ったことがあるのではないでしょうか?「ケシミン」という名称から「シミが消える。」と連想してしまう患者さんも結構おられます。ユニークなネーミング、テレビCM、ドラッグストアで気軽に購入できることもあり、大ヒットした商品です。

ケシミンというネーミングから、シミを消すために毎日せっせと使っている方もいますが、ケシミンにシミを消す効果はありません。小林製薬の公式サイトでも、製品にも、注意書きとして「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ。」としか書かれておらず、シミが消える、シミを消すなどの文言は一切ありません。

ケシミンクリームでシミが消えるとは謳われていないものの、ケシミンクリームのテレビCMは、少し消費者の誤解を招いてしまっているかもしれません。例えば2014年のCMでは、ユーザーと思われる女性の声で「シミにケシミン!使ったわよ~」から始まり、「気になるところに塗り込むと~」「だからケシミンなんだあ!」と、まるでケシミンクリームを使うとシミが消えるかのように思えてしまうCMです。

ケシミンクリームの全成分

有効成分 L-アスコルビン酸 2-グルコシド、グリチルレチン酸ステアリル、トコフェロール酢酸エステル
その他成分サラシミツロウ、ステアリン酸、流動パラフィン、硬化油、自己乳化型モノステアリン酸グリセリル、親油型モノステアリン酸グリセリル、べヘニルアルコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、吸着精製ラノリン、メチルポリシロキサン、パラオキシ安息香酸プロピル、濃グリセリン、1,3-ブチレングリコール、パラオキシ安息香酸メチル、N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム、キサンタンガム、クエン酸、水酸化カリウム、油溶性甘草エキス(2)、ホオノキ抽出液、プルーン酵素分解物、フェノキシエタノール、グリセリンモノ2-エチルヘキシルエーテル、精製水

※小林製薬製品情報 ケシミンクリームより引用

ケシミンシリーズには、ケシミンクリームの他、ケシミンクリームEX、化粧水、乳液、美容液が出ています。美白に有効な成分は「L-アスコルビン酸 2-グルコシド」で共通しており、ケシミンクリームEXのみ「アルブチン」がもう一つの美白成分として配合されています。

ケシミンクリームに配合されている有効成分の「グリチルレチン酸ステアリル」は、当ブログでも何度も登場している「グリチルリチン酸2K(グリチルリチン酸ジカリウム)」と同様の成分と思って差支えありません。

グリチルレチン酸にステアリルアルコールをエステル結合させることで、油に溶けやすくした成分で、クリームやオイル系の化粧品に配合されています。グリチルリチン酸ジカリウムよりも強い抗炎症作用があり、医薬部外品の有効成分です。

※グリチルリチン酸ジカリウムについては、「リプロスキンはニキビ跡に効果なし」「ノンエーはニキビとニキビ跡を治す効果なし」「シミウス効果なし?」をご参照ください。

トコフェロール酢酸エステルはビタミンEであり、抗酸化作用や血行促進作用があります。

ケシミンの有効成分「L-アスコルビン酸2-グルコシド」はシミにどれくらい効果があるの?

L-アスコルビン酸2-グルコシドは、ビタミンC誘導体です。安定性が高く、様々な化粧品、医薬部外品に配合されています。美容成分に詳しい方は、「L-アスコルビン酸2-グルコシドは、皮膚ではビタミンCに変換されにくい。」ということを知っている方もおられるでしょう。

L-アスコルビン酸2-グルコシドは、アスコルビン酸の2位の水酸基にグルコースが1分子結合しています。つまり、ビタミンCにブドウ糖がくっ付いた誘導体です。L-アスコルビン酸2-グルコシドは、ビタミンCとブドウ糖が切断されて、肌でビタミンCとしても作用を発揮します。

ビタミンCとブドウ糖を切り離す酵素をグルコシダーゼと言いますが、人の皮膚細胞内にはグルコシダーゼがほとんど存在せず、皮膚上ではビタミンCに変換される量が乏しいことがわかっています。

上記のような理由から「美白にはあまり意味のない成分。」と言われることもありますが、3位の水酸基が修飾されていないため、そのままの形でも還元能を有していますので、意味がないとは言えない成分です。ただし、シミを消す美白作用があるかというとそこまでの効果はなく、シミ予防効果に留まります。

他の有効成分として配合されているビタミンEや、ケシミンクリームEXだけに配合されているアルブチンも予防美白の効果で、シミを消すことはできません。

L-アスコルビン酸2-グルコシドだけでなく、他のビタミンC誘導体も同じです。ビタミンC誘導体は、シミ予防、抗酸化作用が主となり、メラニン還元作用はあっても、単独でシミを消す効果まで期待できません。

※ビタミンC誘導体については、「ビタミンC誘導体ランキング~その1~」や「ビタミンC誘導体ランキング~その2~」もご参照ください。

ちなみによくケシミンクリームと比較されるロート製薬の「メラノCC」ですが、美容液はビタミンCそのもの(アスコルビン酸)、化粧水はVCエチルを有効成分として配合しています。アスコルビン酸やVCエチルは、L-アスコルビン酸2グルコシドと比較してメラニン還元作用は強いのですが、それを肌に外用してシミが消えるかというと、臨床上そこまでの効果は期待できません。メラノCCであっても、医療機関で処方される高濃度VC誘導体であっても(当院で処方している高濃度VCエチルや高濃度VCグリセリルであっても)同じことで、あくまで予防美白です。シミをできにくくするという意味では、使った方がよいと思いますが、それだけでシミを消すというのは難しいでしょう。

私のシミはケシミンで消えたよ?

ネットの口コミを見ていると、やはりケシミンでシミが消えると思い込んでいる消費者が多いようで、「シミが消えるって思ったけど、全然効果ない」「シミ消えない」などの低評価が多くみられます。しかし、一部の口コミで「シミが消えた。」「シミが薄くなった。」などの意見があります。

「ケシミンではシミは消えないって言うけど、私のシミはケシミンで消えたのよ。」という方もおられるかもしれません。このような口コミは、宣伝ではないということを前提にすると、以下のように考えらます。

まず、一般の方が言う「シミ」には種類があります。一番多いのは、加齢や紫外線の影響で出てくる「老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)」というシミです。その他にも「肝斑(かんぱん)」や「雀卵斑(じゃくらんはん=そばかす)」、「ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)」、「炎症後色素沈着(えんしょうごしきそちんちゃく)」など様々です。

例えば、ニキビができた後のシミや蚊に刺された後のシミは「炎症後色素沈着」というシミです。このようなシミは残ることもあるものの、通常は数週間~1年くらいで自然に肌色に戻ります。そのような部位にケシミンを使うと、シミが消えたと思うかもしれませんが、これはケシミンを使っていても使っていなくても自然に消えるシミです。ケシミンなどのVC誘導体を使うと早く消えるのかと言うと、その可能性はあるため、意味がないとまでは言えませんが。

シミが薄くなったという方はどうでしょうか?例えば、「肝斑」などのシミは季節によって濃くなる時期とそうでない時期があります。通常、肝斑は春から夏の紫外線が強くなる時期に濃くなり、秋から冬にかけて薄くなります。また、ホルモンバランスの関係で、生理前に濃くなることが知られています。

時期によってシミの濃さに変動があるので、ケシミンで薄くなったと思っていても、実は違うという可能性があります.もちろん、VC誘導体によってシミが少しは薄くなる可能性もありますが、劇的な変化があるかというと、そこまでの作用は期待できません。

※アイキャッチ画像引用 小林製薬株式会社 URL:https://www.kobayashi.co.jp/seihin/kmn_c/

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院長 岩橋 陽介

院長 岩橋 陽介

東京の調剤化粧品とニキビ治療専門皮膚科 肌のクリニック高円寺院の院長ブログ。Twitterではスタッフ全員でつぶやいています。 [詳細]