美肌ブログ | 肌のクリニック

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ヒルドイドの美容効果と副作用

time 2017/11/08

ヒルドイドとは、医薬品の「ヘパリン類似物質」が含まれた医療用の「保湿剤」で、アトピーや乾皮症、皮脂欠乏性湿疹といった疾患に保険適用で処方されています。

化粧水(乳液)タイプの「ヒルドイドローション」と、クリームタイプの「ヒルドイドクリーム」「ヒルドイドソフト軟膏」があります。

ジェネリック医薬品が数多く出ており、その中で一番売れている(処方数が出ている)のが「ビーソフテン」(持田製薬)です。先発品とジェネリック医薬品の関係は以下のようになります。

先発品ジェネリック
ヒルドイドローション0.3%ビーソフテンローション0.3%
ヒルドイドクリーム0.3%ビーソフテンクリーム0.3%
ヒルドイドソフト軟膏ヘパリン類似物質油性クリーム0.3%「日医工」

ヘパリン類似物質油性クリーム「日医工」は、かつてはビーソフテン油性クリームという名称でした。製造元が日医工、販売元が持田製薬とのことで、ヘパリン類似物質油性クリーム「日医工」へ名称変更になっています。

ちなみに、先発品には「ヒルドイドゲル0.3%」というゲルタイプもあります。また、ジェネリックのビーソフテンには、ビーソフテンローションと内容成分が全く同一のスプレータイプがあります。成分は同じなのですが、名称を変更し、ヘパリン類似物質外用スプレー「日医工」という製品名になっています。ちょっとややこしいですね。

美容利用の問題

ヒルドイドとそのジェネリック医薬品が保険適用外になるという問題が過去に浮上しました。

原因は、美容サイトや雑誌などによって「高級美容クリームよりずっといい!」と紹介され、本来病気のために使用される医薬品であるにもかかわらず、大した症状もないのに保湿や「美容目的」で使用する人が増え続け、医療費を圧迫しているためです。

健康保険組合連合会の2014年10月から2016年9月の2年間の調査による推定では、全国で年間93億円分ものヒルドイド、もしくはそのジェネリック医薬品が処方されているとのことで、莫大な医療費であることがわかります。

つまり、「美容利用での医療費を圧迫により、ヒルドイドとそのジェネリックを保険適用外にしなければならず、本当に必要な人が困る」というわけです。

ヒルドイドの成分

まず、ヒルドイドの美容利用問題を考察するにあたって、ヒルドイドローションの成分を見て基本的な知識を確認しておきます。

成分・含量(1g中)
ヘパリン類似物質 3.0mg
添加物
グリセリン、白色ワセリン、スクワラン、セタノール、還元ラノリン、セトマクロゴール1000、モノステアリン酸グリセリン、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、カルボキシビニルポリマー、ジイソプロパノールアミン

ヒルドイドローションはO/W型の乳液です。O/W型というのは、oil in water つまり、油性成分が水の中に分散している状態の製剤です。べたつきが少なく、水で洗い流せるので使用感が良いのが特徴です。

O/WとW/Oについては、「化粧品の界面活性剤は必要なもの?」に詳しく書いています。

有効成分や美容成分

ヒルドイドの有効成分は「ヘパリン類似物質」のみです。1g中に3mg、0.3%の濃度でヘパリン類似物質が配合されています。

ヘパリン類似物質はムコ多糖類と呼ばれ、ヒアルロン酸やコンドロイチン、グルコサミンなどの仲間です。保水力があり、保湿剤として使用されます。抗凝固作用(血液を固まり難くさせる作用)を持つヘパリンの糖鎖を短くして低分子化したものです。

「ヘパリン類似物質は、ドイツのルイトポルド・ウエルク製薬会社で創製されたムコ多糖の多硫酸化エステルで、D-グルクロン酸と N-アセチル-D-ガラクトサミンからなる二糖を反復単位とする多糖体を SO3-で多硫酸化したものである。」とヒルドイドゲル添付文書に記載がありますから、ヘパリンより低分子化されていたとしても、ある程度の高分子であることが推察されます(推定構造式のため、分子量の記載なし)。

ヘパリン類似物質の構造中には、硫酸基、カルボキシル基、水酸基などの、水と結合しやすい親水基がありますので、高い保水能力があります。それによって、保湿能力を有していることがわかりますが、「ヘパリン類似物質は、ヘパリンより低分子化されているので、表皮の基底層まで届いて保湿します。」という某製薬会社(マルホ株式会社ではありません)の宣伝は本当なのかな?と疑ってしまいます。

低分子化されているといっても、ムコ多糖類ですので数千以上の分子量があるはずです。それが角層のバリアを通過して基底層まで入るなんてことは通常ないわけで、後に出てくる界面活性剤の作用で角層のバリアを破壊しない限りは到底無理なんじゃないかと考えます。

アトピー性皮膚炎で皮膚バリアが障害されている場合は、ヘパリン類似物質は基底層まで届くというのはあり得る話ですが、某製薬会社の宣伝のように無条件で届くというのも、どういう原理なのか訝しがってしまいます。

また、ヘパリン類似物質は抗炎症作用や血流増加作用、抗凝固作用があるとされていますが、肌のきめを整える、毛穴を小さくする、アンチエイジング作用があるなどの美容成分は一切はいっておらず、美容効果はありません。私が調べた限り海外ではヘパリン類似物質は保湿剤として用いられておらず、さらに開発元のドイツですら保湿目的に用いられていませんでした。

高分子のヘパリン類似物質は、肌表面に保湿成分として留まるのであれば、ヒアルロン酸やセラミドなど他の優秀な保湿成分で十分代用は効きますし、一緒に配合されている界面活性剤で角層バリアを破壊して、表皮深部までヘパリン類似物質を浸透させるのであれば、短期間の使用では潤いは得られても、年単位の長期使用では、逆に乾燥肌を悪化させてしまう懸念もあります。

いずれにせよ、ヘパリン類似物質配合の医薬品が保湿目的、美容目的を含めて年間93億円分も処方されているのは日本だけであり、特殊と言わざるを得ません。

その他の成分

次に添加物について見ていきましょう。油性成分が多いため、「油性成分あれこれ」のページも参照しながら読んでいただければと思います。ちなみに、ヒルドイドローション、クリーム、ソフト軟膏に配合されている有効成分以外の成分は、全て化粧品原料としても登録されているものです。

〇グリセリン…代表的な水溶性の保湿剤なので、知っている方も多いと思います。

〇白色ワセリン…石油を精製して得られた炭化水素。油性の保湿剤。白色と付いていますが、普通のワセリンのことです。ちなみに精製度が高い順に、サンホワイト、プロペト、白色ワセリンとなりますが、成分名で記載する場合は、全て白色ワセリンとなります。

〇スクワラン…炭化水素。油性の保湿剤。サメや植物から得られる油「スクワレン」に水素を添加して酸化しにくくしたもの。

〇セタノール…高級アルコール。常温では白色のろう状の固体で、べたつかず保湿作用があり、界面活性作用もあるため、クリームや乳液の乳化安定剤として用いられています。(旧表示指定成分)

〇還元ラノリン…ロウ。ラノリンは羊の毛のあぶらを精製したものです。ラノリンに水素添加して作られるのが還元ラノリンです。皮脂に馴染みやすく、親水性もあるため(界面活性作用)、保湿剤、乳化安定剤として用いられています。還元ラノリンは、ラノリンよりアレルギー性は低いものの、比較的アレルギー性が高いため、最近は還元ラノリン配合の化粧品を見る機会は少なくなってきました。(旧表示指定成分)

〇セトマクゴロール1000…ポリエチレングリコール(多価アルコール)。水溶性保湿剤。数字の1000は平均分子量を表しています。医薬品表記と化粧品表記が異なるので、セトマクロゴール1000という表示は馴染みが薄いかもしれませんが、PEG-20という表示であれば見たことがある人もいるのではないでしょうか。PEGの後の数字は重合度を表しています。

〇モノステアリン酸グリセリン…ステアリン酸グリセリルのことで、界面活性剤です。ステアリン酸グリセリルなどの界面活性剤は、多価アルコール(親水基)と脂肪酸(親油基)とをエステル結合させた多価アルコールエステル型と呼ばれています。ステアリン酸グリセリルは、多価アルコールとしてグリセリン、脂肪酸としてステアリン酸をエステル結合させて作られたノニオン合成界面活性剤です。

〇パラオキシ安息香酸エチル…エチルパラベン。防腐剤。(旧表示指定成分)

〇パラオキシ安息香酸プロピル…プロピルパラベン。防腐剤。(旧表示指定成分)

〇カルボキシビニルポリマー…化粧品表示ではカルボマー。増粘剤としてクリームや乳液によく使われています。アルカリで中和すると増粘するため、水酸化Na、水酸化K、TEAなどのアルカリと一緒に配合されますが、ヒルドイドローションでは、後述するジイソプロパノールアミンと一緒に配合されています。

〇ジイソプロパノールアミン…PH調整剤。ヒルドイドローションでは、カルボマーの増粘効果を得るために配合されています。(旧表示指定成分)

ついでに、クリームとソフト軟膏の成分表も下記に記述しておきます。それぞれの成分については、ぜひ調べてみてください。

ヒルドイドクリームヒルドイドソフト軟膏
成分・含量(1g中)成分・含量(1g中)
ヘパリン類似物質 3.0mgヘパリン類似物質 3.0mg
添加物添加物
グリセリン 、ステアリン酸 、水酸化カリウム 、白色ワセリン 、ラノリンアルコール 、セトステアリルアルコール 、セトステアリルアルコール・セトステアリル硫酸ナトリウム混合物 、ミリスチルアルコール 、パラオキシ安息香酸メチル 、パラオキシ安息香酸プロピル、イソプロパノールグリセリン、スクワラン、軽質流動パラフィン、セレシン、白色ワセリン、サラシミツロウ、グリセリン脂肪酸エステル、ジブチルヒドロキシトルエン、エデト酸ナトリウム水和物、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル

パラベンフリー?

たまにある誤解なのですが、

「ヒルドイドはパラベンが入ってない医療用の保湿剤だから、安心よね。」

と言う方がいますが、普通にパラベンは入ってます。

ここではパラベンの是非は置いておきますが、パラオキシ安息香酸エチルというのがエチルパラベン、パラオキシ安息香酸プロピルというのがプロピルパラベンです。医薬品表示と化粧品表示では名称が異なるため、紛らわしいですよね。

別にパラベンが入っていようがいまいが、肌に合っていればヒルドイドを使っても問題はありませんが、おかしなことに、パラベンなどの化学物質にはやたら煩いのに、医者から処方された保湿剤だからと、ヒルドイドを盲目的に使っている人がいることです。

アトピーに効果がある?

今回のヒルドイドの保険適用外問題には様々な意見がありますが、その中に「アトピーでヒルドイドしか使えないから、保険適用外になると困る。」「うちの子はアトピーで保湿にずっとヒルドイドを処方されているから、保険適用外になったら死活問題になる。」という、アトピー患者側からの意見があります。

ヒルドイドは、正確にはアトピー性皮膚炎に対しての保険適用はありません。アトピーや加齢などに伴って起こる皮脂欠乏症に対して保険適用となっています。アトピー性皮膚炎の方は、ほとんどの方が皮脂が足りていない状態ですから、ヒルドイドを保湿剤として処方されるケースは多いと思いますし、それ自体は特に構いません。

ただ、そもそもヒルドイドってアトピーに効果があるの?って疑問に思う方もおられるので、ここではその点を記述していきます。私が調べた限り、アトピー性皮膚炎の乾燥に対して、ヒルドイドが他の保湿剤よりも優れているというエビデンスはありません。

「ステロイド外用治療を行ったアトピー性皮膚炎患者に、ヒルドイドローションを1日2回、4週間単純塗布した前後比較研究で、ヒルドイドを塗った12人の21部位のうち、20部位で症状の再燃が見られず寛解を維持した(つまり良い状態を保っていた)。」という報告があります。(※1)

上記の試験は小規模の前後比較研究でエビデンスレベルは低いものです。ヒルドイドでなくても、ワセリンなど他の保湿剤でもよいのでは?と誰しも思うはずです。他の保湿剤の比較試験がなされているわけではないのです。

保湿がアトピー性皮膚炎の寛解(良い状態を保つこと)に重要であるということは、皮膚科医の間では常識であると思います。(一部の医師は、保湿に反対されている方もおられますが。)

日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎ガイドラインでも「乾燥した皮膚の保湿外用薬(保湿剤・保護剤)の使用は、低下した角層水分量を改善し、皮膚バリア機能を回復させ、皮膚炎の再燃予防と痒みの抑制につながる(CQ9:推奨度1、エビデンスレベル:A)」となっており、保湿剤の使用が推奨されています。

マルホ株式会社の医療関係者用の情報提供ページを見てみると「炎症が治まって寛解状態にあるアトピー性皮膚炎患者のうち、ヒルドイドソフト軟膏を1日2回6週間塗布した32例と無塗布の33例を比較して、ヒルドイドソフト軟膏を塗布した群において有意な寛解維持効果が認められた」との記載があります。(※2)

ヒルドイドソフト軟膏が、アトピー性皮膚炎の寛解維持に効果があるとした報告ですが、アトピー性皮膚炎の乾燥に対する保湿剤の有用性は推奨度1であり、ワセリンなどの他の保湿剤でも同様に寛解維持効果が得られる可能性は高いと考えられます。

※1 山田裕道. アトピー性皮膚炎に対する寛解維持療法としてのヒルドイド(R)ローションの有用性の検討. 臨床皮膚科 2005; 60(7): 96-101

※2 皮脂欠乏症の主な原因:アトピー性皮膚炎

これらの研究、報告だけでは、ヒルドイドが効果があったのか、保湿が効果があったのかはわかりません。さらに言えば、「ヘパリン類似物質が入っていない保湿クリームでも同様の効果があるんじゃないの?」という疑問が生じます。ぜひ、製薬会社にワセリンとヒルドイドの比較試験や、ぺパリン類似物質配合のクリームと無配合のクリームとの比較試験(RCT)を行って頂きたいと思います。

医師の立場から言うと、「アトピー性皮膚炎に限らず、保湿剤については、ヒルドイドでないとダメということはなく、肌に合ったものであれば他のものでも構わない。」ということです。

ヒルドイドの美容効果

「ヒルドイドクリームでアンチエイジング!」「高い美容液やクリームより美容効果あり!」「ヒルドイドローションでお肌すべすべになった!」などとSNSやブログで紹介されたこともあり、ヒルドイドで保湿すると肌がきれいになるんだと思っている方もいます。

しかし、すでに詳しく書いている通り、ヒルドイドやビーソフテンに美容効果がある成分は入っていません。

有効成分のヘパリン類似物質にも美容効果はなく、その他に配合されている成分は、すべて一般的な化粧品にも使用されている原料です。市販されている化粧品と比較して、美容効果が高いわけではありませんが、なぜこのような誤解が生じるのでしょうか?

それは、配合されている合成界面活性剤の作用によります。界面活性剤は油と水を馴染ませやすくしますから、皮脂と保湿成分をしっかりと馴染ませます。ヒルドイドを使って、肌が潤ってすべすべになったように感じるのは、界面活性剤と保湿成分によるところがほとんどです。同様の使用感の乳液やクリームは、沢山市販されていますから、ヒルドイドだから特別ということはありません。

ヒルドイド以外は肌が荒れてしまう!

「私、ヒルドイドしか肌に合わないので、処方してください。」

という患者さんがいます。医学的に考えると、そんなはずはないのですが、お話を伺ってみると、過去に高級化粧品をいくつか使って肌荒れを起こし、敏感肌用化粧品に変えても肌荒れを起こし、皮膚科でヒルドイドローションとソフト軟膏を処方されたら、それは肌が荒れなかったということだそうで、過去に似たような患者さんが何人かおられました。

このような個々人の経験から「ヒルドイドは医療用保湿剤だから肌に優しい。」「高級クリームなんかよりずっと美容にいい。」なんて誤解が生まれるのだと思いますが、前述しているとおり、ヒルドイドには旧表示指定成分が比較的多く含まれており、市販の化粧品と比較して肌に優しいとは限りません。

市販の化粧品で肌荒れを起こすと、角層のバリアが壊れている状態ですから、次にどんな化粧品を使っても肌が荒れてしまうことがあります。ある程度肌が落ち着いた段階でヒルドイドを使ったとすれば、「タイミングの問題で荒れなかっただけ」ということも考えられます。

ヒルドイドの全成分を見ると、ヘパリン類似物質が入ったシンプルな乳液という感じですが、設計が古いためか「旧表示指定成分」が比較的多く配合されています。旧表示指定成分は、体質によってアレルギーなどの皮膚トラブルを起こす恐れのある成分のことで、過去に表示が義務付けられていた成分です。最近の化粧品では、できるだけ旧表示指定成分を避けて設計するのが主流になっています。

ヒルドイドを使用すると逆に肌が荒れてしまったり、赤くなってしまうという患者さんがいますが、これは旧表示指定成分やその他の成分にアレルギー性や刺激性があるためです。

アレルギーが起こる、起こらないは個々の体質に大きく依存しますので、ヒルドイドに含まれている旧表示指定成分にはアレルギーはないけれど、一般の化粧品によく使われている成分にはアレルギーがあるということも考えられます。

肌に優しい、優しくないというのは個々人の体質、肌の状態によります。そういった意味では、保湿目的でヒルドイドを塗るといった使い方をしても悪くはありませんが(もちろん、美容目的であれば自費というのが前提です)、他の保湿剤でも良いわけです。

ヒルドイドの副作用

「ヒルドイドは医薬品!医薬品には効果がある代わりに副作用があるもの!だから病気の人以外は使わないで!」と訴えかけている方もいますが、これは建前としてはその通りなのですが、ヒルドイドに限って言うと少し違います。

ヒルドイドは、皮膚科だけでなく、小児科、内科、婦人科、外科の医師からも長年処方されている薬剤です。しかし、ヒルドイドが原因で起こる重篤な副作用を目にすることはめったにありません。

下記はヒルドイドクリームの副作用です。

ヒルドイドクリーム0.3%の副作用
総投与症例2471例中、23例(0.93%)に副作用が認められ、主なものは皮膚炎9件(0.36%)、そう痒8件(0.32%)、発赤5件(0.20%)、発疹4件(0.16%)、潮紅3件(0.12%)等であった。

2471例中23例、0.93%というのは比較的少なく、副作用の発現頻度は、同成分の化粧品(つまり、ヒルドイドクリームからヘパリン類似物質を省いたもの)と比べても、恐らく差はないはずです。

ヒルドイドクリームには、パラベンだけではなく、旧表示指定成分のラノリンアルコール、セトステアリルアルコールなども含まれていますから、ヘパリン類似物質の副作用と言うより、これらの成分によるアレルギー、接触性皮膚炎による症状だと推察されます。

次に、ジェネリックであるビーソフテンクリームの副作用も見てみます。

ビーソフテンクリーム0.3%の副作用
〇過敏症(頻度不明)
皮膚刺激感、皮膚炎、そう痒、発赤、発疹、潮紅等
〇皮膚 (頻度不明)
紫斑

頻度不明というのは、まれ(0.1%未満)よりも少ないことを表しています。こちらも、過敏症と皮膚症状のみで、重篤な副作用はありません。

ビーソフテンクリームもヘパリン類似物質0.3%配合ですが、ヒルドイドと添加物は異なります。ビーソフテンローションやクリームには、還元ラノリンやラノリンアルコールが配合されていません。旧表示指定成分の還元ラノリンやラノリンアルコールは、アレルギー性の問題(といってもそこまで多いものではありませんが)があるため、後発医薬品であるビーソフテンでは避けられたのだと推測されます。

ヒルドイドクリーム0.3%(先発品)ビーソフテンクリーム0.3%(後発品)
成分成分
ヘパリン類似物質0.3%ヘパリン類似物質0.3%
添加物添加物
グリセリン 、ステアリン酸 、水酸化カリウム 、白色ワセリン 、ラノリンアルコール 、セトステアリルアルコール 、セトステアリルアルコール・セトステアリル硫酸ナトリウム混合物 、ミリスチルアルコール 、パラオキシ安息香酸メチル 、パラオキシ安息香酸プロピル、イソプロパノールセタノール、ワセリン、流動パラフィン、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸マクロゴール、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸メチル、プロピレングリコール、D-ソルビトール

ヒルドイドクリームは効能追加時の副作用、ビーソフテンクリームは承認時の副作用が掲載されています。調査対象の症例数に違いがあるため、ビーソフテンにラノリンアルコールが含まれていないことで、副作用はヒルドイド>ビーソフテンと一概には言えないかもしれません。しかし、アレルギー性のある添加物を極力省くことで、副作用が少なくなるのは当然です。

また、逆にラノリンアルコールにはアレルギーを持たない人が、ビーソフテンに配合されているプロピレングリコールにアレルギーを持つこともあるわけで、結局は個人の体質と言えます。ただ、一つ言えることは、同じヘパリン類似物質0.3%入りの医薬品でも、添加物の種類によって副作用の種類や発現頻度が変わるということです。

日常診療では化粧品による有害事象(赤みやかぶれ、腫れなど)のほうが、ビーソフテンクリームの副作用よりも多く診ます。化粧品のほうが多く流通しているため、もちろんこれだけでは単純に比較はできませんが、当院では院内で化粧品を調剤していることもあり、化粧品の有害事象やアレルギー性などを調べていましたが、ビーソフテンクリームが化粧品と比較して副作用が特段に多いかと言うと、そんなことはありません。

つまり、医薬品だから危険、化粧品だから安全とは一概に言えないということです。

ヒルドイドやビーソフテンに配合されている成分自体にアレルギーや過敏症がなく、薬剤禁忌(使用してはいけない人)に当てはまらなければ、保湿のために長期間使っていたとしても安全性は高い製剤です。(もちろん、副作用がゼロであるとも、保険適用で美容目的で使って良いと言っているわけではありませんので、念のため。)

また、ヒルドイドの使い過ぎで、副作用でニキビができる!と主張する方もいるようですが、これはヒルドイドに限らず、油性成分を配合している乳液、クリーム、軟膏などの化粧品でも同様のことが言えます。

内容成分から見ても、ヒルドイドだから特別ニキビを悪化させやすいということはありません。(参考:油性成分あれこれ | ニキビを悪化させるオイル

※アイキャッチ画像はマルホ株式会社の公式サイトより引用

次回、「ヒルドイドは保険適用外にすべきか」に続きます。

まとめ

  1. ヒルドイドには莫大な医療費が使われている
  2. アトピーには他の保湿剤でも十分
  3. 海外では保湿目的には使われていない
  4. 美容効果はない
  5. 大した副作用はない

医療法人社団 肌のクリニック

院長 岩橋 陽介

院長 岩橋 陽介

東京の皮膚科・美容皮膚科・内科医 [医師紹介]

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