肌のクリニック院長の肌ブログ

東京でニキビ治療・シミ治療・調剤化粧品・プラセンタ療法外来をしている医師のブログ

アキュテインの副作用による多毛・脱毛

time 2015/09/19

アキュテイン(イソトレチノイン)について、男性患者さんから「アキュテインを使うと禿げますか?」と聞かれることがあります。アキュテインの副作用に多毛・脱毛はありますが、決して多い副作用ではありません。

アキュテインによる脱毛の機序としては、以下の2つが考えられます。
1.頭皮の乾燥による脱毛
2.毛周期の亢進による脱毛

1.頭皮の乾燥による脱毛

アキュテインの服用により全身の肌だけでなく、頭皮も乾燥してしまいます。あまりに乾燥しすぎると、頭皮が荒れてフケ、痒み、抜け毛の原因となります。また、皮脂は頭皮や肌のバリアとして働いてくれますので、皮脂がなくなることによって紫外線などの外部刺激に対して弱くなり、頭皮が外部環境の影響を受けやすくなることも一因です。

ただ、実際には頭皮の皮脂の量は、他の部位の皮膚と比較してかなり多いため、頭皮の乾燥が気になると訴える患者さんはあまりいません。また、脂漏性皮膚炎などで頭皮の皮脂が異常に多く、それによって脱毛している患者さんの場合、皮脂が抑えられることにより逆に抜け毛が減る(多毛)という副作用もあります。

乾燥による脱毛の場合は、顔用の化粧水で構いませんので、頭皮へも保湿してあげれば脱毛は止まります。ただし、ニキビができやすい体質の方はオイル系(クリームや乳液など)の基礎化粧品を頭皮へ使うと、頭皮ニキビができる方がいますので要注意です。また、当院で扱っている肌再生因子配合化粧水(EGローション)は、EGF(一過性ですが脱毛を促進する可能性がある)が入っているため、頭皮へはお使いになれません。頭皮へ化粧水をご使用になりたい場合は、弱酸性の乳酸菌ローションをおすすめしています。

2.毛周期の亢進による脱毛

アキュテイン内服中は、毛周期が亢進(細胞周期のターンオーバーが亢進)するため、休止期の毛が抜けやすい状態となります。

毛髪は髪の毛が成長する成長期(3年~6年)、毛根が退化する退行期(2週間)、完全に毛髪の成長が止まる休止期(3ヶ月~4ヶ月)を繰り返します。休止期の髪は、下から新しい成長期の髪が出てくると、押し出されて抜け落ちます。

アキュテインを内服すると、成長期の毛が出てきて(多毛の副作用)、それに伴い休止期の毛は抜け落ちます。通常は、成長期の毛が十分あれば、休止期の毛が抜けたとしても相対的には変化はほとんどなく、髪の量もほぼ一定で変わりません。

脱毛の副作用があっても、内服の中止によって脱毛の進行は止まり、毛周期も正常に戻ります。しかし、極稀に回復しない例が報告されているのは、以下の理由であると考えています。

基礎疾患にAGA(男性型脱毛症)があると、もともと成長期の毛が少ないため、休止期の毛が抜けると脱毛が進行したように感じます。AGA患者の毛周期はもともと短縮しており、成長期の毛を維持できないという問題がありますから、新しく生えてきた成長期の毛がうまく育ってくれません。アキュテインの中止によって、副作用による脱毛は完全に止まっているはずなのですが、回復しないという状態になるのはこのためです。

いずれにしても、脱毛の副作用の頻度は3%程度と多くはなく、治療を中止しなければいけないケースは非常に稀です。抜けるのは休止期の毛であり、本来は自然に抜け落ちるのを待つ毛になりますから、過度に心配する必要はありません。ただ、基礎疾患にAGAやびまん性脱毛症などがある患者さんの場合、上記のような理由から脱毛が気になるようであれば、早めに内服を中止するのが良いと考えています。

肌のクリニック

院長 岩橋 陽介

院長 岩橋 陽介

東京の調剤化粧品とニキビ治療専門皮膚科 肌のクリニック高円寺院の院長ブログ。Twitterではスタッフ全員でつぶやいています。 [詳細]