肌のクリニック院長の肌ブログ

東京でニキビ治療・シミ治療・調剤化粧品・プラセンタ療法外来をしている医師のブログ

日本のニキビ治療の問題点とアキュテイン治療症例

time 2017/12/13

アキュテイン(イソトレチノイン)によるニキビ治療を始めてから12年が経ちますが、本当に沢山の患者さんが肌のクリニックへ来院されます。

イソトレチノインは欧米では40年も前からニキビ治療に使われており、米皮膚科学会のガイドラインでは重症ニキビ治療の第一選択にもなっている薬剤ですが、日本では保険で認可されていないため、知名度は高くありません。

今回は、日本でのニキビ治療の問題点を、実際に当院で治療した重症ニキビ患者さんの症例を提示しながら解説していきます。アキュテイン治療については、HPの「アキュテインによるニキビ治療」のページもご参照ください。

重症ニキビの治療が遅れてしまう原因

困ったことに、未だに日本の皮膚科医の間でイソトレチノインの認知度は低く、重症ニキビであっても、治らないままダラダラと抗生剤や塗り薬などの治療が継続されてしまうケースが多くあります。

「にきびなんてそのうち治るよ。」とただ薬を出され続けるだけということもあり、軽症の場合はそれで良くても、重症の場合は大問題です。

適切な医療機関に紹介されない問題

そもそも、皮膚科医がニキビという疾患を軽んじている風潮があります。保険治療範囲内でしか治療をしてこなかったため、欧米でスタンダードに行われている治療を知りません。重症ニキビに対するアキュテイン(イソトレチノイン)治療や、ホルモン治療のことを勉強している医師は非常に少ないため、保険治療で治らないニキビに対してそれ以上の治療ができずに、ただ抗生剤や外用薬の種類を変更して経過を見るといったことが行われています。

本来自分の医院で治らなければ、適切な治療ができる医療機関に速やかに紹介するべきですが、それを積極的に行う医師は多くありません。

患者は、大学病院に紹介されたり、総合病院に紹介されたりするケースもありますが、そこでも保険範囲内での治療となるため、開業医と同じレベルの治療が繰り返されます。日本のニキビ治療は欧米と比較すると40年も遅れていますから、治るニキビも治せません。

結局治らないので、患者さんがインターネットで検索して肌のクリニックに来院するというパターンが一番多いです。当院でニキビが治っても、今まで治らない状態が長引いていたせいもあって、深い瘢痕(ニキビ跡の凹凸)が一生残ってしまうケースも珍しくありません。

当院に来られる重症ニキビの患者さんは、皮膚科で何年も治療をしていたという方も少なくなく、「かかりつけ医がもっと早く紹介してくれたらニキビ跡がここまで残らず済んだのに。」という残念な思いを常にいだきながら診療にあたっています。

化粧品や民間療法の薬機法違反の広告

最悪なのは、医者にかかっても治らないからと、化粧品や民間療法に走ってしまうケースです。

インターネットを検索すると、「ニキビを治す!」「これでニキビが治った!」「ニキビ跡の凹凸が改善した!」などの化粧品を宣伝するサイトがあふれており、それらはすべて消費者を装ったステマ広告やアフェリエイトです。

(参考:リプロスキンはニキビ跡に効果なし ノンエーはニキビとニキビ跡を治す効果なし

通信販売で購入できる化粧品や医薬部外品には、「ニキビを治す」という効能効果が認められているものは一つもありません。すべて薬機法違反の広告なのですが、消費者を装った外部サイトで広告することで、薬機法の規制から免れています。

もっと厚労省が薬機法違反の広告に対して、ステマも含めて厳しい対応をしなければならないのですが、そのような化粧品や医薬部外品はごまんとあるため、規制が追いついていません。事実上、野放しの状態なわけです。

医学的知識がない患者さんが騙されてしまうのも仕方がないことです。

ニキビは尋常性ざ瘡という病気で、治療は医療行為です。エステなどでは、ニキビの治療は認められていませんが、堂々と「うちの治療でニキビが治ります。」と説明をしているところもあるようです。100万円超のコースを組まされ、逆に悪化して当院へ駆け込んできた患者もおり、悪質としか言いようがありません。

重症ニキビには早期治療が重要

重症ニキビであればあるほど、ニキビ跡が瘢痕として残りやすくなります。瘢痕はレーザー治療やサブシジョンなどの手技で、できる限り治すよう努めていますが、侵襲的な治療(ダメージが大きな治療)であり、完全に元の綺麗な皮膚に戻すことは不可能です。

瘢痕をできる限り残さないようにするには、早期のニキビ治療がもっとも大切です。

最近は、少しずつですが近隣の開業医の先生や大学病院の先生から、重症な患者さんを紹介をしてもらえるようになりました。しかし、今度は当院の診療枠がほとんど埋まってしまい、現在は1~2ヶ月以上初診の予約が取れない状況です。(2ヶ月以上先の予約は受け付けておりませんので、土曜日は常に2ヶ月待ちの状態です。)

重症な方で、医療機関から紹介状のある患者さんに限り、優先的にご予約を取らせていただいておりますので、お電話にてご相談ください。

時々「重症ではないのですが、治療を受けることはできますか?」というご質問をいただくこともありますが、もちろん、軽症から中等症の方でも、他院でなかなか治らないという方は沢山受診されています。現在は混みあっているため、予約待ちの期間が長くなっていますが、来年4月以降は、新しい皮膚科の先生を迎い入れ、診療日を増やす予定にしています。

アキュテイン(イソトレチノイン)によるニキビ治療症例

肌のクリニックへ来院された20代の患者さんです。この患者さんは、15歳からニキビに悩まされるようになり、近医の皮膚科で保険治療を何年間も保険治療を受けていました。(患者さんご本人には写真を掲載してよい旨の同意をいただいております。)

アキュテイン治療前1アキュテイン治療前2アキュテイン治療前3

1つ1つのニキビも大きいのですが、複数個のニキビが集まって大きな炎症性ニキビになっています。いわゆる集簇性ざ瘡という重症型のニキビですが、当院にはこのくらいの重症度の患者さんが来院されるのは珍しくありません。

アキュテイン治療後1アキュテイン治療後2アキュテイン治療後3

イソトレチノイン治療にて改善させることができましたが、やはりニキビ跡の瘢痕は残ってしまっています。この患者さんの場合は、年齢が若く、比較的肌の回復力が高かったのもあって、瘢痕は残らなかった方ですが、集簇性ざ瘡の場合、もっと大きな瘢痕(凹凸)が残ってしまうことも多いです。

この患者さんの治療はイソトレチノインを1日40mgから開始しましたが、重症例では体重や重症度によって60mg~100mgを服用してもらうこともあり、その分副作用は大きくなるため、注意が必要です。また、保険が効かない自費診療ですので、費用も高くなります。(参考:アキュテイン治療の治療費

現在ニキビができている方へのアドバイスの一つとして、ニキビができている時には絶対に日焼けをしないようにしてください。日焼けすると肌の色が黒くなるため、一時的にニキビやニキビ跡が目立たなくなりますが、瘢痕は残りやすくなります。

肌のクリニック

院長 岩橋 陽介

院長 岩橋 陽介

東京の調剤化粧品とニキビ治療専門皮膚科 肌のクリニック高円寺院の院長ブログ。Twitterではスタッフ全員でつぶやいています。 [詳細]