肌のクリニック院長の肌ブログ

東京でニキビ治療・シミ治療・調剤化粧品・プラセンタ療法外来をしている医師のブログ

ピルとスピロノラクトンによるニキビ治療症例

time 2018/03/05

今回は、ホルモン療法によるニキビ治療についてご紹介します。

当院には重症ニキビ患者さんが多く来院されるため、アキュテイン(イソトレチノイン)の治療症例ばかりアップしていますが、女性の患者さんには、アキュテインと同じくらいホルモン治療を行う患者さんがいらっしゃいます。

今回は、低用量ピルとスピロノラクトンを使用したニキビ治療について記述します。ホルモン療法によるニキビ治療は、欧米のニキビ治療としてはスタンダードなものですが、日本ではあまり普及していない治療です。

ニキビ治療症例

20代前半女性の患者さんで、中学生ごろからニキビに悩まされている方です。近医にて保険治療(漢方薬とベピオゲル)を行い、一旦は改善ましたが、社会人になってストレスのためか、再度ニキビが悪化しました。その後、保険治療を行いましたが改善せず、他院で低用量ピル(ファボワール)の処方をしてもらうも、それでも改善しないため、当院へ来院されました。

治療前の写真

顔全体に赤ニキビを多数認めます。写真では見にくいのですが、細かいニキビが無数にできており、ニキビによる肌の凸凹も見られます。

ホルモン治療前ホルモン治療前

治療後の写真

にきびの炎症は引き、コメドや毛穴の詰まりもなくなり、肌質が改善しています。

ホルモン治療後ホルモン治療後

写真の提供については患者さんから同意書をいただいております。

ニキビ治療の経過

すでに他院でピルの治療を行っていたため、今回はピルの種類をニキビ治療用のものへ変更しました。低用量ピルの中にもニキビに対して効果があるものとないものがありますので、きちんとニキビを抑えるタイプのピルを使用することが大切です。

それに加えて、スピロノラクトンという男性ホルモンを抑える薬を処方しました。スピロノラクトンは、男性ホルモンの受容体をブロックすることによって、抗アンドロゲン作用を発揮してニキビを改善させます。少量からではなく、100mg~200mgを連日投与することが必要です。

時々、患者さんの中で良くなったからと自己判断で薬を中止してしまう方がおられますが、急に治療を中断するとリバウンド(再悪化)するため、少しずつ薬を減らしていきます。

ホルモン治療の効果が出るまで平均して3~4カ月ほどかかり、中には6ヶ月間ほどかかる場合もあります。また、初期悪化がおこることもしばしばですので、根気強く治療を継続していく必要があります。

この患者さんも、最初の2ヶ月は改善せず、むしろ一時的な悪化が認められました。しかし、3ヶ月半ほど経つと、新しいニキビは1ヶ月で5~6個までに落ち着き、そこから薬を少しずつ減らしていきました。治療後の写真は1年経過した後の写真です。

ホルモン治療のメリットとデメリット

ホルモン治療のメリットとしては、抗生物質などと比較して副作用が少ないことが挙げられます。強い乾燥などは起こさず、生理痛も軽くなり、規則正しく生理が来るため、PMSがある方や生理不順がある方にもお勧めできます。

また、体の中から男性ホルモンを抑え、ホルモンバランスを整えていくため、しっかりとニキビを抑えてくれます。生理前や排卵期に悪化していたニキビも徐々に改善していきますので、1年を通してきれいな肌で過ごすことができるようになります。

デメリットは、しっかりとニキビを治してくれるお薬ですが、効果を感じるまで時間(平均して3~4ヶ月)がかかることと、副作用が少ないと言っても血栓症のリスクや乳癌、子宮頸がんのリスクなど、注意しなければならない副作用があることです。低用量ピルの副作用のリスクについては、「ピルの副作用にはどんなものがありますか?」もご参照ください。

最大のデメリットは、再発のリスクが高いことです。スピロノラクトンの単剤治療では9割以上の再発率となりますし、ピルを併用してとしても6割程度の再発率となります。そのため、ニキビの病勢(びょうせい:病気の勢い)が落ち着くまでは、2~3年程度かそれ以上の期間内服を継続しなければならないこともあります。

しかし、例え根治に繋がらない場合でも、ニキビが酷くなることを抑えることは、肌にとってはとても良いことです。なぜなら、ニキビができ続けると、ニキビ跡の色素沈着(赤みや赤黒いシミ)や、凹凸が増えてしまい、最終的にニキビが治った後も、ニキビ跡がずっと残ってしまうことがあるからです。

特に凹み(ニキビ跡のクレーター)は、一度出来てしまうと元には戻らないため、たとえ対症療法になったとしてもニキビを抑えることは有意義であると考えられます。

ピルを飲んでいてもニキビが良くなりません

この症例の方もそうですが、他院でピルを処方されたものの、ニキビがあまり良くならないという方がいます。その理由は、大きく2つに分けられます。

1.ニキビに効果的なピルを飲んでいない

同じ低用量ピルの中でも、ニキビに対して効果があるタイプのものとそうでないものがあります。ニキビ治療に効果的なピルは、男性ホルモンを抑えてくれ、女性ホルモンを高めてくれるタイプのピルであることがわかっています。専門的な用語で言うと、低いアンドロゲン活性と高いエストロゲン活性を持ったピルということになります。

ピルの種類について詳しくは「ピルのニキビへの効果と血栓症のリスク」をご参照ください。

2.期間が短い

先に述べたように、ホルモン治療でニキビが改善するまでには、最低3ヶ月以上の期間が必要です。そのため、1~2ヶ月飲んだだけでは効果を認められないばかりか、一時的に悪化する時期になるため、途中でやめてしまう方がいます。

効果を早く出すためにスピロノラクトンなどを併用することも多いのですが、ピル単独の治療の場合、6ヶ月くらいは内服を継続してみてください。それでも改善しない場合は、ピルの変更などが必要となります。

ホルモン治療ができない方

ホルモン剤によるニキビ治療を受けられない方もいます。例えば、タバコを吸われる方は、血栓症のリスクが上がるため、薬を飲むことができません。アイコスなどの加熱式タバコは、リスクがどれほどかわかっていないため、タバコと同様にピルとの併用を当院では禁止しています。

また、35歳以上で片頭痛がある方や、前兆がある片頭痛がある方も、統計上血栓症のリスクが高まることがわかっており、ホルモン治療を受けることができません。その他にも持病などで制約がかかる場合があります。また、内服中は定期的な体重測定、血圧測定、血液検査が必要となりますので、かかりつけの医師の指示に従ってください。

当院のピルとスピロノラクトンを使ったホルモン治療については、「ニキビのホルモン治療」のページをご覧ください。

肌のクリニック 院長

岩橋 陽介

岩橋 陽介

東京のニキビやレーザーによるシミ・ニキビ跡治療などを専門とする美容皮膚科です。医師・薬剤師である涌水DRにも時々記事を書いてもらっています。 [医師紹介]

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