肌のクリニック院長の肌ブログ

東京でニキビ治療・シミ治療・調剤化粧品・プラセンタ療法外来をしている医師のブログ

症例5:皮膚科治療や光線療法が無効な重症ニキビへのホルモン療法とサリチル酸マクロゴールによる治療 

time 2015/10/09

症例6

ホルモン剤によるニキビ治療の症例です。長く通院している患者さんですが、ホルモン治療の症例写真がホームページにないため、使用させて欲しい旨をお願いすると「お役に立てるならどうぞ」と快諾していただきました。写真はカルテに貼ってあったものをスキャナで取り込みました。

【患者】 20代後半女性 【体重】50kg
【現病歴】中学生よりニキビができ始め、20歳頃より顔全体にニキビができるようになった。近医で外用剤、抗生物質内服剤、ビタミン剤など一通りの保険治療を受けたが改善を認めなかったため、整体医院で「アーク光線」を週に2回、7ヶ月で50回ほど受けたが全く改善せず、当院へ来院。
【既往歴】 特記なし
【過去の治療歴】外用剤(詳細不明)、内服抗生剤、ビタミン剤、アーク光線

初診時

ニキビホルモン治療初診時1
ニキビ ホルモン治療初診時2
※画像の転載を固く禁じます

上の写真は初診時の写真です。顔全体に炎症性ニキビが多発して、一部嚢胞状となっています。スキャナ画像のため解像度が粗く分かり辛いのですが、細かいものを合わせると無数の赤い炎症性ニキビが顔全体にある状態です。20代後半ということもあり、イソトレチノイン治療は避けてホルモン治療にて治療を開始しました。また、早めにニキビ跡の赤みも消したい希望があり、3ヶ月目からサリチル酸マクロゴールによるピーリングを1ヶ月から2ヶ月に1回程度のスパンで行いました。

8ヶ月後

ニキビ ホルモン治療 8ヶ月後
※画像の転載を固く禁じます

上は8ヶ月後の写真です。新生ニキビはまだ少しできていますが、既存のニキビは消失し、にきび跡の赤みも薄くなっています。この時点では、ホルモン治療のうち抗男性ホルモン剤を中止して、低用量ピルのみの治療にしました。また、サリチル酸マクロゴールピーリングは4回程度行っています。

3年後

ニキビ ホルモン治療 3年後
※画像の転載を固く禁じます

上は3年後の写真です。ほとんど赤みは目立たなくなっており、新生ニキビもほぼゼロの状態です。サリチル酸マクロゴールピーリングはトータル10回で終了しており、この時点ではもう行っていません。また、低用量ピルも弱いものにして落ち着いていたため、一旦治療を終了としました。

治療を終了してから3年ほど落ち着いていたのですが、その後にまた出てきた(初診時ほどは悪化はしていませんでしたが)とのことで、現在治療を行っています。ホルモン治療の再発率はイソトレチノイン(アキュテイン)と比較すると高めであるところがネックですが、非常に安全性が高い点や、胎児に影響を与えることがない点は優れています。また、長期に内服することも可能であり、にきび跡を増やさないためにメンテナンス的に服用することが可能です。

当院の方針としては、1年以内にご妊娠の可能性が少しでもある方や、20代~30代前半でご結婚が近い方、またはその可能性がある方へはホルモン治療をお勧めしています。ホルモン治療の場合、最初の3ヶ月間は20%~30%の患者さんで一時的な悪化が認められることがありますが、その後は徐々に改善していきます。当院での有効率は95%程度と、イソトレチノインに対しても決して引けを取らない治療です。また、イソトレチノインと違い、肌が極度に乾燥するなどの副作用はありません。それぞれのメリット、デメリットについては肌のクリニックのニキビ治療のページやよくある質問のページに掲載していますので、ご参照ください。

ニキビの民間療法?

ちなみに、この患者さんが7ヶ月にも渡って50回も受けたアーク光線というのは、いったい何なんでしょうか。当時も少し調べた記憶がありますが、とてもニキビに効果があるとは思えませんでした。アーク光線治療器は紫外線を放出しますので、むしろニキビ跡の色素沈着を悪化させる可能性があるのではないかと考えます。このアーク光線治療器ですが、医療機器ではないため、主に医療機関以外の整体院などで扱っているようです。整体院のホームページを見ると、ニキビ、アトピー、免疫改善、セルライト除去、自律神経の安定などなど、様々な効果効能を謳っていますが、医療機器でないにもかかわらず病気に対する効果効能を広告することは、医薬品医療機器法第68条違反となります。アーク光線は「厚生労働省認可の治療器」と広告されていますが、これは医療機器として認可されているわけではありません。ただ単に、厚生労働省が製造を許可しているだけで、例えばマッサージ機なども厚生労働省認可の治療器です。

光を浴びることは、確かに自律神経などに一定の効果はありますし、赤外線で深部から温めることで除痛作用を得ることができます。しかし、難治性ニキビの方に対して、このアーク光線を漫然と行うのはいかがなものかと思います。

ニキビの治療には、様々な民間療法が蔓延しています。少しインターネットで検索するだけでも、薬事法違反の広告がわんさか出てきますから、患者さんが迷ったり、騙されてしまったりするのも無理はありません。ニキビ治療に関しては、今後も正しい情報を発信していくことが当院の使命であると考えています。

肌のクリニック

院長 岩橋 陽介

院長 岩橋 陽介

東京の調剤化粧品とニキビ治療専門皮膚科 肌のクリニック高円寺院の院長ブログ。Twitterではスタッフ全員でつぶやいています。 [詳細]