美肌ブログ | 肌のクリニック・高円寺院・麹町院

こちらのブログはリライトしてHPへ徐々に移設する予定です。ニキビやニキビ跡、シミ治療、化粧品、プラセンタなど、キレイな肌になるための美容情報を皮膚科医の視点から発信します。化粧品業界や美容業界の問題点にもメスを入れていきます。

アイキララは目の下のたるみに効果は期待できない

time 2018/08/10

当院の患者さんから「目の下のたるみを改善するというクリームを使っているけれど、全然効かない。」と相談されたため、今回記事にしました。商品名を聞いてみると、「アイキララ」という北の快適工房(北の達人コーポレーション)が出しているアイクリームでした。アイキララが目のたるみやクマに効果があるのかを一医師の意見として述べていきます。

北の達人コーポレーションの代表取締役「木下 勝寿」様から当医療法人宛に当記事の削除要請を書面にていただきました。削除はいたしませんが、一部内容を変更しています(2019年1月26日)。

目の下のたるみの原因

まず、目の下のたるみが起こる機序を医学的見地から説明していきます。

下まぶたの「膨らみ」と「たるみ」は、「加齢によるロックウッド靭帯と眼輪筋のたるみ」によって引き起こされます。

ロックウッド靭帯(じんたい)は、ハンモックのように眼球を下から支えている靭帯です。年齢を重ねると、ロックウッド靭帯が緩んできて眼球を支える力が弱くなり、眼球が下がってきます。そうすると、目の下にある眼窩脂肪(がんかしぼう)が前方に押し出されます。

眼窩脂肪の前面は、眼輪筋(がんりんきん)によって支えられていますが、眼輪筋も年齢とともに衰え、結果として、脂肪が前に突出して、目の下が膨らんでしまいます。

上記の写真のように、加齢によって眼球が下にさがる影響で、目の上はくぼみ、目の下はたるんでふくらんできます。

アイキララの広告

アイキララについて早速調べてみると、「私は目の下の膨らみをこれで対策」という広告が出てきます。目の下の「たるみ」や「ふくらみ」を改善できると期待させるキャッチコピーです。

『「目の下の膨らみ」をなおしたい人必見!簡単で安心な必見アイテムとは』という文言で、アイキララを宣伝している広告もありました。(下記画像引用:西日本新聞WEBサイト

その他にも、「目の下がダルダルなら」などの文句で、たるみの改善を思わせるような広告を多数出していました。(下記画像引用:北の快適工房 ads by google)また、男性用として、目の下のクマやたるみの改善を謳っている広告も見られます。

ここまでしっかりと宣伝されると、このクリームは、本当に目の下のたるみを消してくれるのではないか?と期待する消費者の方がいても不思議ではありませんし、効果がある化粧品であると思ってしまうのも無理はありません。

しかし、アイキララに目の下の膨らみやたるみを改善する効果は認められておらず、公式サイトでも目の下のクマを治す、膨らみやたるみに効果があるとは言及されていません。

しかし、公式サイトで謳っていなくても、広告やアフェリエイトサイトなどで効果効能を暗示させている場合は、薬機法違反となる可能性があります。

アイキララの効果効能

化粧品の効能効果はどこが承認するのでしょうか?

それは医薬品、医薬部外品を管轄している「厚生労働省」です。

化粧品や医薬部外品に使用される原料の効果効能を判定するのに、以前はかなり甘かった部分もありますが、現在はしっかりとしたエビデンスが無い限りは、効果効能を認めることはほとんどありません。(といっても、化粧品レベルの効果ですので、厚生省が認めたとしてもあまり期待しすぎないほうが良いのですが。)

エビデンスレベルから効果を検証

アイキララは「医学と薬学」という医学誌に掲載されたので、「医学誌に認められた効果!」と宣伝しているサイトが沢山ヒットします。

ちなみに「医学と薬学」には以前に書いた「シミウス」というシミが消えると大々的に宣伝している化粧品も載っている医学誌です。

参考:「シミウスの効果の嘘と薬機法違反」

アイキララを販売している「北の達人コーポレーション」は、第三者評価機関によって効能効果が証明されていると主張していますが、実際に効果効能を立証する場合、質の高いエビデンス(科学的根拠)が必要です。

エビデンスレベルは、学会ごとに多少の違いはあるものの、下記の日本肝臓学会の分類が参考になります。

Level 内容
1a ランダム化比較試験のメタアナリシス
1b 少なくとも一つのランダム化比較試験
2a ランダム割付を伴わない同時コントロールを伴うコホート研究(前向き研究,prospective
study,concurrent cohort studyなど)
2b ランダム割付を伴わない過去のコントロールを伴うコホート研究(historical cohort study,
retrospective cohort studyなど)
3 ケース・コントロール研究(後ろ向き研究)
4 処置前後の比較などの前後比較,対照群を伴わない研究
5 症例報告,ケースシリーズ
6 専門家個人の意見(専門家委員会報告を含む)

日本肝臓学会エビデンスレベル分類より

アイキララが掲載された医学と薬学の論文は、公式サイトに号数やページの記載がなく読んでいませんが、アイキララを宣伝しているサイトにまとめが記載されていました。

それによると、アイキララを使用した前後での比較で効果があったとのことですが、対照群を伴っておらず、もちろんランダム化や二重盲検試験ではないため、エビデンスレベルは低いものとなっています。

効果効能を謳って広告することはできないレベルですし、もちろん厚生省からも効果効能を承認されているわけではありません。

アイキララの広告を見ると、目の下のたるみに対して夢のような効果が得られるように思えます。本当このような画期的な効果効能があるのであれば、ぜひ医薬品として登録して、厚労省の承認を得て効果効能を謳っていただきたいものです。

成分から効果を検証

アイキララの全成分を見てみます。

水、DPG、コメヌカ油、パルミチン酸エチルヘキシル、グリセリン、ベヘニルアルコール、トリエチルヘキサノイン、ステアリン酸、ステアリン酸グリセリル、セテス-25、ミリスチル3-グリセリルアスコルビン酸、パルミトイルテトラペプチド-7、パルミトイルトリペプチド-1、クリシン、N-ヒドロキシコハク酸イミド、ステアレス-20、グルコン酸クロルヘキシジン、アンズ核油、アボカド油、カニナバラ果実油、ヒマワリ種子油、ナットウガム、BG、ジメチコン、トコフェロール、コレステロール、シア脂、エチルヘキシルグリセリン、カプリル酸グリセリル

「アイキララ成分内容」(北の快適工房)より

成分表を見ると、ある程度伸びの良い、さっぱりとしたO/Wタイプのクリームであることが分かります。この中で有効成分(※)として配合されている成分は、「MGA(ミリスチル3-グリセリルアスコルビン酸)」です。

※親会社の北の達人コーポレーションが当医療法人に送付した通知書の中で、「アイキララの効果効能は証明されている」という主張をしているため、訴求成分ではなく有効成分と記載しています

ミリスチル3-グリセリルアスコルビン酸

ミリスチル3-グリセリルアスコルビン酸は、アイキララでは「MGA」という略語が使われていますが、通常「VC-MG」と略されます。2位の水酸基をミリスチン酸、3位の水酸基をグリセリンで修飾した、両親媒性のビタミンC誘導体です。(参考:ビタミンC誘導体ランキング~その2~

VC-MGは、ビタミンC誘導体ですから、たるみを取る効果やクマを消す効果は認められていませんし、実際にそのような作用もありません。他のVC誘導体と同様に、コラーゲンの産生を促したとしても、それがたるみを改善させるほど強力なものではありません。

前述した目の下が膨らんでしまう原理を理解すれば、化粧品や医薬部外品が脂肪のたるみを治す効果がない理由がお分かりいただけると思います。

モンドセレクションと化粧品の効果

モンドセレクションを受賞しているから効果が保証されている!と思う方はいらっしゃらないと思いますが、一応書いておきます。

モンドセレクションは、ベルギーの本部に15万円払えば、約8割がもらえる賞です。審査基準は、内容成分に間違いがないか、衛生管理に問題がないかなどで、化粧品の効能効果とは全く関係がありません。

毎年約3000ほどの製品が受賞しており、そのうちの7割を日本製品が占めます。海外ではほとんど無名の賞ですが、日本ではなぜこれだけ沢山の企業がモンドセレクションを取るかと言うと、日本では、モンドセレクションを取っていると売上が伸びるからだと言われています。

アイキララ推奨サイト

アイキララがそうであるとは断言しませんが、一部の化粧品では、悪い評価が拡散されないように、消費者がネガティブな文言で検索された場合に、ポジティブな情報にすり替えるためのブログやアフェリエイト広告を沢山書き、検索で引っかからないように対策がなされています。

薬機法違反の化粧品では、当たり前のようになされているこのような手法は、見る人が見れば「またか」という感じですが、未だに沢山あるのを見ると、いかにその情報に騙されてしまう消費者が多いのかがわかります。

試しに「アイキララ 効果なし」でグーグルで検索してみてください。

出てくるサイトのほとんどが、「アイキララは効果なし?」などの題名で、「効かないのは使用期間が短いから」「使い方が悪いから」などと、消費者のせいにし、「正しく使えば効果はある。個人差があるけれど、効果がある人にはある。」などと、ポジティブな情報へすり替えています。そして、例のごとく、ほとんどのサイトには、アイキララの販売サイトへリンクしています。

酷いサイトだと、「効果なしと言っているサイトは全部ウソ!」などと書かれています。

これらのサイトは、医学的にでたらめの内容が沢山あり、結果アイキララの購入を勧める文章になっています。どなたが書いているのかは不明ですが、アフェリエイトなど、企業が宣伝のためにお金を支払って書かされているとしたら非常に問題です。

アイキララの口コミ

アイキララの実際の口コミはを検索してみました。アットコスメの「北の快適工房 / アイキララ クチコミ」をご覧ください。2つクチコミを引用させていただきました。

たるみを本気で悩んでる消費者をバカにしすぎ。広告の謳い文句、誰もが手を出しやすい金額を設定し、チリも積もればな商売ですかね?
これが私の答えです。

全然効果ないです。キャッチフレーズ兼PR文、全部ウソ。
3本使わないと効果がわからない(出ない?)と言う事で
使いましたが、まるっきりゼロ状態です。

この他のクチコミを見ても、アイキララが目の下のたるみに効くと思って購入し、実際に効果がなかった方が沢山いることがわかります。

記事を書いた2018年8月での約2年間での口コミ数は63件、平均評価は2点台だったですが、2018年10月~2019年1月のわずが3~4ヶ月で口コミ数が370件も増加しており、殆どが良い評価で平均点も4.7まで上がっています。

アマゾンのアイキララの口コミも記録しておきます。2019年3月8日時点で、41件のレビューで平均点2.6点です(さらに高レビューの2つは文章が全く同じ)。これが、どのようになるのか今後注目してみてください。

目の下のたるみを治すクリームなんてない

シミウス効果なし?」の記事でも書きましたが、ネットを見ると、「シミが消える!」「イボが取れる!」「目のたるみが治る!」などの薬機法違反の化粧品や、消費者を騙す嘘の広告があまりに溢れすぎていて、全く取り締まりもされていません。

それだけ沢山あると、さすがに消費者も賢くなると思うのですが、騙されて何度も同じような化粧品を買ってしまう方もいます。日本の化粧品業界は本当に自浄作用がありません。

目の下のふくらみの改善方法

目の下の膨らみを良くするには、外側からの治療ではなかなか難しいものがあります。当院では、目の下のクマに対してレーザー治療を行っていますが、あくまで「色素沈着タイプのクマ」です。化粧品レベルより肌のハリは出るものの、膨らみを治すほどの効果はないことは、診察時に十分に説明しています。

手軽にできる方法としておすすめしているのが、「眼輪筋のトレーニング」です。体も顔も一緒で、鍛えている人は若々しく、そうでない人はたるんでしまいます。インターネットで検索すると、様々な表情筋のトレーニング方法が出てくると思いますので、ぜひチャレンジしてみてください。

眼輪筋のトレーニングは、たるみにある程度効果は期待できますが、靭帯まで鍛えられるわけではありません。靭帯は骨と骨とつないでいるものなので、トレーニングできる部位ではないからです。トレーニングでも改善しない場合は、やはり整形手術になります(当院では行っておりません)。

整形手術には、眼窩脂肪を取り除く「ハムラ法」や、たるんだ皮膚を一部切除する「しわとり術」などがありますが、手術に伴うリスクもありますので、ご自分でしっかりと調べることをおすすめします(当院では行っておりません)。

薬機法違反の可能性がある広告

ここからは一般的な薬機法違反の可能性がある広告について記載しています。

最近芸能人の写真を利用した「フェイク広告」が問題になっています。フェイク広告とは、テレビなどの画面をキャプチャーして、芸能人がテレビでその商品を絶賛しているように見せる広告です。「ホンマでっかTVに紹介!」「ためしてガッテンで絶賛!」などと嘘を並べ、芸能人の写真を無断で使用しており、悪質です。

そのようなフェイク広告以外にも、「シミが消えた!」「目のクマが消える!」「たるみが取れる!」「イボが取れる!」「ニキビが完治!」など、薬事法の範疇を超えて宣伝する化粧品が跡を絶ちません。そのような広告している化粧品は薬機法違反の可能性だけでなく、優良誤認となります。買った化粧品の該当広告ページは必ず保存しておくことをおすすめします。優良誤認の疑いで消費生活センターでご相談ください。もしも、広告会社が勝手に行っていたものとしても、発注元に責任がありますので、優良な企業であれば、返金対応をしてもらえる可能性もあります。

化粧品で認められていない効能効果を謳っているものは、それが明示的であれ、暗示的であれ、薬機法違反の可能性があります。公式サイトでは広告していないと逃げても、消費者を装ったサイト(ステマサイトやアフェリエイトサイト)で宣伝しているものも違法です。

化粧品の承認されている効果効能、広告の範囲は厚生労働省により定められており、以下のサイトで見ることができます。

医薬品等適正広告基準~効能効果編~(東京都福祉保健局)

問題がある広告、PRページ、サイトを見つけたら、厚生労働省に報告してください。

厚生労働省のサイトは以下になります。消費者の声が大きくなればなるほど、化粧品業界や広告業界は正されていくはずです。(下記は厚生労働省のサイトで、電話、メールで問い合わせ可能です)。

医薬品医療機器等法違反の疑いがあるインターネットサイトの情報をお寄せください!

また、最後になりますが、当記事をツイートして頂いたり、リンク付きで紹介していただけると、問題がある化粧品広告を是正するよい機会になるため、記事が良いと思った方は、ぜひお願いします。

書いている人

岩橋 陽介

岩橋 陽介

東京の皮膚科・美容皮膚科「医療法人社団 肌のクリニック」の医師・院長をしています。 [医師紹介]

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