美肌ブログ | 肌のクリニック

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ハンドピュレナは手の老化に効果なし

time 2018/08/16

「手の老化」や「老け手」の予防と改善をするハンドクリーム「ハンドピュレナ」という商品の宣伝がしょっちゅう表示されるので、調べてみました。

結論から言うと、ハンドピュレナは手の老化を治す効果はないのですが、広告手法に問題がないのか?や、有効成分などを含めて、効果が本当にあるのかを検証してみます。

ハンドピュレナは、目のたるみ用のアイクリーム「アイキララ」と同じ「北の快適工房(北の達人コーポレーション:札幌市)」が販売しています。「アイキララは目の下のたるみに効果なし」の記事を書いた際に、いろいろと検索して広告をクリックしたため、同社の製品のハンドピュレナのターゲティング広告に引っかかるようになったのでしょう。広告手法が全く同一のため、商品を見ただけで、どこから販売されているのかすぐにわかりました。

手の老化の原因

肌の構造は、表面から「表皮」、「真皮」、「皮下組織」の3層から成り立ちます。

手が老化すると、血管がボコボコと浮き出たり、シワやたるみができるようになります。これは、加齢によって「真皮」という肌のやや深い部分にある「コラーゲン」や「エラスチン」といった弾力性のある線維の量が減少したり、さらに深い部分の「皮下組織」の脂肪が減少したりするためです。

このことは、ハンドピュレナが手の老化に効果がないことを理解するのに大切なことなので、しっかりと覚えておいてください。

ハンドピュレナの効果を広告から検証

ハンドピュレナの公式サイトからいくつか広告を掲載して、その効果がどのように表現されているかを検証してみます。

老け手にエイジングケア

画像:ハンドピュレナ公式サイト

まずトップ画像は、老化して血管が浮き出た手の写真とともに、「あなたの老け手に本気のエイジングケア」というキャッチコピーが書かれています。

ちなみに、この「エイジングケア」という表現は、化粧品の広告表示として使用できるものですが、「年齢に応じたケア」のことを指しているのであり、「若返り」や「アンチエイジング(抗老化)」の効果を示すものではありません。化粧品に肌を若返らせる効果はないので、若返りや老化防止の効果効能を宣伝することは「アウト」になります。

その観点から見ると、ハンドピュレナの広告には「老け手」「エイジングケア」という文言は出てくるものの、小さい※印で、老け手を「ハリが不足した手」、エイジングケアを「年齢に応じたケア」と注意書きされており、「老化に効果がある」とは書かれておらず、化粧品広告の規制に配慮された表現となっています。

しかし、実際にこの広告を見ると、まるでハンドピュレナが、手の老化を治してしまうような印象を持ちます。化粧品広告では、暗示的であっても効果効能を謳うことは禁じられていますから、微妙な広告であると言えます。

ケアで老化防止


画像:ハンドピュレナ公式サイト

もう少し進むと、上のような画像が出てきます。

この写真は、ただ単に老化した人の手の写真と、若い人の手の写真を、画像加工付きで掲載しているだけなのですが、ケアをしないと、手が血管が浮き出て骨ばった手になってしまうと警告されているように感じる方もおられるかもしれません。

あくまで一般論として述べられていますが、広告の途中に出すことで、ハンドピュレナを使っている人と使っていない人で、手の老化に差が出るような印象を持ってしまう消費者もいるのではないでしょうか。断言しますが、ハンドピュレナで左写真の手が、右写真の手のように変わることはありませんし、手の老化を防止する効果もありません。

肌の「土台」と「底」からエイジングケア

画像:ハンドピュレナ公式サイト(アイキャッチ共通)

更に進むと、ハンドピュレナは、一般的なハンドクリームではなく、手肌の「土台」にハリを与えて、「底」からふっくらさせるクリームであると書かれています。

この「土台」と「底」という表現には※印で「角質層」という注意書きが書いてあります。角質層は、肌の一番上にある「表皮」の中の、さらに一番上にある層です。注意書きがあるため、嘘とまでは言えないかもしれません。しかし、肌の最も表層にある角質層を「土台」や「底」と表現するのは、消費者をミスリードしてしまうため、良い広告表現であるとは言えません。

ちなみに、過去に「肌の奥深くに浸透」という広告表現が流行りましたが、化粧品は角質層を超えるという表現は認められていないため、NGとされました。その後、小さな注意書きで「※角質層まで」という表現が併記されるようになりましたが、併記しても「肌の奥深くに浸透」という表現はNGとなっています。(医薬品等適正広告基準)

ここで、肌の構造と、手の老化の原因を思い出してください。肌は、表皮、真皮、皮下組織の3層から成り立ち、手の老化の原因は、真皮の弾性線維や皮下組織の脂肪の減少によって起こることは、前述したとおりです。

皮膚の一番上の表皮の中の、さらに一番上の層の角質にハンドピュレナが作用しても、手の老化を改善させないことがお分かりいただけるかと思います。

成分から効果を検証

ハンドピュレナの成分から効果を検証してみます。

広告を見ると、老け手を改善する訴求成分として、主に以下の2つを宣伝しています。

スイゼンジノリ多糖体

スイゼンジノリ(水前寺海苔)から抽出された多糖体です。スイゼンジノリには、「サクラン」という硫酸化多糖が含まれています。

サクランの分子量は2000万以上であり、ヒアルロン酸の約6倍の保水性があるため、化粧品原料として用いられています。(推奨配合濃度:0.1%~0.2%)

非常に高分子であるため、角質層への浸透はせず、主に肌の表面で保水するという働きがあります。アレルギー性等なければ、手の保湿やプロテクト成分としては良い成分であると言えますが、スイゼンジノリ多糖体自体に手の老化を改善する作用はありません。

ヒドロキシメトキシフェニルプロピルメチルメトキシベンゾフラン

ドイツのシムライズ社が開発した油溶性の粉末状の化粧品原料です。シムライズ社というと、シムホワイト377という美白原料が有名です。

ヒドロキシメトキシフェニルプロピルメチルメトキシベンゾフランは、「Sym3D(シムスリーディー)」と呼ばれ、唇のボリュームアップ効果があるため、主にリップグロスに配合されている成分です。(推奨配合濃度:0.1%~0.25%)

Sym3Dを皮膚に塗っても、その部分の脂肪が増えたり、ボリュームがアップするといった効果は認められていません。もしも、そんなことが起こるのであれば、危険極まりない成分になってしまいます。

ハンドピュレナの悪い口コミを検索

また、例のごとく、「ハンドピュレナ 効果なし」で検索してみます。この記事を書き始めたのが、7月初旬で、ハンドピュレナの販売が6月14日なので、わずか2週間ほどしか経っていませんでしたが、何十ものサイトがヒットし、ほぼ100%が、ネガティブな内容をポジティブな内容に変えて、ハンドピュレナの購入サイトへ誘導するものでした。

検索して上位に表示された「ハンドピュレナは効果なし?口コミでわかる本当の効果」というサイトを紹介します。このサイトのドメインは「ハンドピュレナ.xyz」というドメインです(このブログで紹介するとすぐに消されてしまいますので、早めに覗いて見てください)。

ハンドピュレナは塗ってすぐに手の甲の血管が目立たなくなると言ったようなその場しのぎの商品ではなく、手の甲の内側のハリと弾力のもとになるコラーゲンを再生させることでケアする商品です。

したがって確実に効果を実感するためには最低でも2、3ヶ月は継続して使用する必要があります。

悪い口コミを寄せいる人は使用期間が1ヶ月以内の人が多く、使用期間が短すぎる印象です。

でました。お決まりの「効果がない人は使用期間が短すぎる!」攻撃です。このサイトが出てきたのは7月なので、ハンドピュレナが発売されてまだ1ヶ月程度でした。それにもかかわらず、「確実に効果を実感するためには、最低2,3ヶ月は継続して使用する必要があります」と書かれています。このサイトの方は、発売前からハンドピュレナを使用していたのでしょうか?他のサイトにも、「ハンドピュレナを使用して4ヶ月目です。友人に手がきれいになってびっくりされました。」などの記載もあり、本当の口コミなのか?どなたが書いているのか?疑問に思う部分が多くあります。

そもそも、ハンドピュレナは手の甲の内側の真皮を再生するなんて効果はありませんから、前提からして間違っているのですが、良い口コミには下記のように書かれています。

手の甲の血管が目立って、老人のような手が嫌でした。

でもハンドピュレナを塗ってみたところ、全体的に手の甲がふっくらしてきて、その分血管が目立たなくなりました。

さらに肌の色も明るくなって若々しい手肌を取り戻すことができました。

医学的にありえない効果です。このようなサイトは、アフェリエイトサイトであったとしても問題です。

化粧品業界の正しい姿

ここからは、一般論です。良い化粧品を真剣に作り、消費者に広める努力をしている企業がある一方で、認められていない効果効能を謳い、消費者を騙したり欺いたりして、自社の商品を売っている企業がごまんとあります。

そのような企業は、一時的に売上はあがるものの、しばらくすると評判が悪くなり、売上が落ちます。一時的にでも莫大な売上をあげることができれば、社名を変更したり、商品名を変更したりして、また新たなターゲットを探して同じような商品を出し続けますが、結局大きくはなれず、大きくなったとしても何十年も存続することはできません。

一つ一つ地道に努力していった結果、消費者の信頼を勝ち得てブランドが育っていきます。

日本の美容業界、化粧品業界は、本当に闇が深く、テレビやインターネットなどは無法地帯と化しています。薬機法などで厳しく規制はされているものの、その規制は実際に取り締まりがされないため、形骸化しています。厚生省や消費者庁は、消費者を守るためにも、もっと真剣に取り組んでいただきたいものです。

書いている人

医師 岩橋 陽介

医師 岩橋 陽介

東京の皮膚科・美容皮膚科「医療法人社団 肌のクリニック」の院長をしています。当院勤務の美容皮膚科医にも時々記事を書いてもらっています。 [医師紹介]

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