美肌ブログ | 肌のクリニック

ニキビやニキビ跡、シミ治療、化粧品、プラセンタなど、キレイな肌になるための美容情報を皮膚科医の視点から発信します。化粧品業界や美容業界の問題点にもメスを入れていきます。

ニキビのできる原因とメカニズム

time 2018/08/31

当院では、重症型のニキビの方に対して、積極的に治療を行っています。ニキビ治療外来では、初診の患者さんとお話しすると、多くの方から、「私のニキビの原因は何でしょうか?」と質問をいただきます。

ニキビの原因については、以前の記事「ニキビの原因とは」に詳しく記載されていますが、基本的には体質や遺伝であるとお伝えしています。

ただ、体質であるとお伝えしても、具体的なメカニズムを気にされる方も多いので、今回はニキビが出来る機序についてお話しします。

ニキビができるメカニズム

まず、ニキビは、毛孔(もうこう)の異常な角化(かくか)から始まります。

角化とは、肌の内側の基底層(きていそう)が毎日新しい角化細胞をどんどんと作り、後から作る新しい角化細胞に少しずつ押し上げられて、肌の一番表面にある角質層(かくしつそう)で、角層細胞(かくそうさいぼう)に変わり、垢となって剥がれ落ちる減少です。

新しい角化細胞が角層細胞に変わり、皮膚から剥がれ落ちるまで4週間以上の周期で繰り返され、このことを肌の「ターンオーバー」と呼びます。

異常角化

毛孔の出口は、漏斗のような形をしており、毛包漏斗部(もうほうろうとぶ)と呼ばれます。毛包漏斗部は肌表面から見える開口部であり、いわゆる「毛穴」です。

通常、肌のターンオーバーが正常であれば、古い角層細胞が剥がれて、次から次へ新しい細胞に置き換わるため、毛穴はつまりにくいのですが、角化が異常となって、剥がれ落ちるべき古い細胞がそのまま残ると、角層が厚くなって、「毛穴のつまり」が起こります。

この毛穴の異常角化によって、ニキビの初期段階である「面皰(めんぽう)」が形成されます。面皰よりも、「コメド」という呼び方の方が、馴染みがあるかもしれませんね。ニキビができにくい化粧品に、ノンコメドジェニック処方という記載がされていますが、「コメドができにくい処方設計で作られた化粧品」という意味です。(ニキビを治す化粧品という意味ではありません。)

毛穴の角化については、様々な研究が行われていますが、過増殖型のケラチンの過剰発現や、サイトカイン、ホルモンの影響、アクネ菌の産生するバイオフィルムなど、様々な原因が指摘されています。

コメドの種類

コメドには種類が2つあり、白色コメドと黒色コメドがあります。

違いとしては、白色コメドは毛穴が閉じている状態で、中が詰まった状態。黒色コメドは毛穴が開いて、中の皮脂が酸化して黒く見えている状態です。

一般的には白色コメドは「白ニキビ」、黒色コメドは「黒ニキビ」と呼ばれることもありますが、医学的にはコメドとニキビは別の状態で、コメドにアクネ菌が感染を起こして、炎症が起こった状態をニキビと呼びます。

コメドは、目で見て確認できる前から、実際には微小面皰(びしょうめんぽう)と呼ばれる、目には見えないコメド(病理学的面皰)が出現しています。病理学的面皰は、病理学的に目には見えないレベルで毛孔が詰まっている状態です。

肉眼的には確認できない状態でも、肌の一部の組織を採取すると病理学的面皰が約30%に認められるといわれています。また、コメドは、よく見るとほとんどの人の肌にあります。ぽちっとした毛穴のつまりで、小さく白く(または黒く)見えるため、鏡でご自分の顔をチェックしてみると見つけられるかもしれません。

赤ニキビと黄色ニキビ

コメドは、アクネ菌が感染を起こすと炎症を起こし、赤く腫れて紅色丘疹(こうしょくきゅうしん)となります。この状態が「赤ニキビ」です。その後、膿をもつと黄色見えるため、「黄色ニキビ」と呼ばれます。

炎症が強くなると膿瘍(のうよう)を形成することもあり、皮下で膿が溜まって大きくしこりになったニキビは、「膿疱性ざ瘡(のうほうせいざそう)」と呼ばれます。そして、膿疱性ざ瘡が多数でき、皮下で繋がって一塊になったニキビを「集簇性ざ瘡(しゅうぞくせいざそう)」と言います。

ちなみに、ニキビが発生しやすい部位は顔・胸・背中ですが、これは脂腺性毛包(しせんせいもうほう)がこの部位にあるためです。脂腺性毛包とは、発達した皮脂腺(油を分泌する器官)が多数ある毛包のことで、毛穴が詰まりやすいため、ニキビのできやすい好発部位となります。

ニキビと男性ホルモン

一般に、ニキビは、皮脂量が多い方に認める傾向がありますが、皮脂腺は男性ホルモンと関連しています。

男性が男性ホルモンを分泌しているのはご存知かと思いますが、女性も副腎と卵巣からデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)が分泌され、DHEAは代謝されて男性ホルモンに変換されます。

男性ホルモンは皮脂腺の5α還元酵素によってDHT(ジヒドロテストステロン)に変換され、皮脂の分泌を亢進します。

皮脂の成分としては、リノレン酸の減少や過酸化脂質の増加が指摘されています。そのため、スキンケアとしてはビタミンCのような抗酸化・抗炎症効果の高い成分を使用するのがお勧めです。

また、メイクを落とさずに一晩寝たら翌日悪化してしまった、などのエピソードは多くの方からお聞きしますが、酸化した成分を肌に放置すると、毛孔を詰まらせるだけでなく、炎症の引き金になる可能性が高いので、どんなに疲れている日でも、きちんと洗顔を行いましょう。

ただし、過剰な洗顔も、肌のバリア機能を破綻させ、ニキビの増悪因子になりますので、あまり擦らずに、優しい洗顔を心がけてください。

ストレスとニキビ

更に、ニキビにはストレスが強く影響しています。

ストレスを受けると、視床下部からCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)が分泌され、下垂体前葉からACTH(副腎皮質刺激ホルモン)の分泌が促進されます。

ACTHにより、副腎皮質からコルチゾールの分泌が促進され、成人では副腎アンドロゲンの分泌も促進されます。この視床下部-下垂体-副腎皮質系(HPA axis)のホルモンの受容体が脂腺細胞にあり、脂質産生を亢進させてしまうため、ストレスを抱えないことが重要になります。

ストレスには、仕事や人間関係の悩みなどの精神的なストレスだけでなく、暴飲暴食、寝不足、喫煙などの身体的なストレスがあります。

ふと自分の生活を振り返ってみた時に、自分の心や身体にストレスをかけているような生活習慣などはないでしょうか?

ニキビへのストレス⇔ストレスからニキビ、という悪循環を断つために、まずはストレスを手放すことから始めてみましょう。

以上、今回は副院長の涌水がニキビのメカニズムについてお書きしました。

ニキビは複合的な要因が複雑に関わって発症する疾患です。遺伝的な要因が大きく関係しており、当院の治療を含めて、全ての原因を取り除いてくれるような魔法の治療薬は、現在のところ、残念ながら存在しません。

ただ、生活習慣の改善や、スキンケアの工夫だけでも、改善の方向に持っていくことは出来るかもしれません。

それでも、なかなか改善が難しい場合は、当院では重症型のニキビの治療に力を注いでいますので、是非ご相談にいらしてくださいね。

書いている人

医師 岩橋 陽介

医師 岩橋 陽介

東京の皮膚科・美容皮膚科「医療法人社団 肌のクリニック」の院長をしています。当院勤務の美容皮膚科医にも時々記事を書いてもらっています。 [医師紹介]

肌のクリニック【公式HP】

「肌のクリニック」公式HPへ