肌のクリニック院長の肌ブログ

東京でニキビ治療・シミ治療・調剤化粧品・プラセンタ療法外来をしている医師のブログ

症例2:皮膚科で治らない重症ニキビへのアキュテイン(イソトレチノイン)と調剤化粧品EGクリームによる治療

time 2015/09/19

症例2

モニターにご協力いただいた患者さんです。アキュテイン(イソトレチノイン)によるニキビ治療の途中から、再生因子配合の保湿剤であるEGローション、EGクリームを使用してもらい、その後サリチル酸マクロゴールピーリングの治療を開始しています。

【患者】 20代前半女性 【体重】51kg
【現病歴】 10年前より顔全体にニキビができ始め、近医の皮膚科で抗生物質、内服ビタミン剤、漢方薬の治療を行ったが改善しなかった。1年程前から膿を持った炎症性ニキビができ始め、美容外科でフォトフェイシャルを6回、ケミカルピーリングを12回、ビタミンCイオン導入、エステで鎮静パックや角質取りを継続的に行ったが改善せず、半年前からはさらに増悪してきたとのことで当院を受診。
【既往歴】 片頭痛、便秘症
【過去の治療歴】内服ビタミン剤、抗生物質(詳細不明だが複数使用)、漢方薬(十味敗毒湯など)、外用剤(詳細不明だが複数使用)、ビタミンCイオン導入(美容外科)、フォトフェイシャル(美容外科)、グリコール酸ケミカルピーリング(美容外科)、鎮静パック(エステ治療)、角質取り(エステ治療)

初診時

皮膚科で治らないニキビへのアキュテイン治療前、症例2-1

皮膚科で治らないニキビへのアキュテイン治療前、症例2-2

皮膚科で治らないニキビへのアキュテイン治療前、症例2-3
※画像の転載を固く禁じます

上は初診時の写真です。顔全体、フェイスライン、首まで大きな炎症性ニキビが多発しています。ニキビ跡の赤い色素沈着や凹凸も多数認められます。丘疹嚢胞型ざ瘡ですが、一部硬結嚢腫を認めます。ニキビが新しくできては治って、できては治ってと繰り返していると、ニキビ跡がどんどん残ってしまいます。ニキビ跡の瘢痕や色素沈着を残さないようにするためには、重症の患者さんの場合、できるだけ早く治療することが重要なのですが、当院へたどり着くまでにだいぶ遠回りしてしまったようです。イソトレチノイン20mg/dayより処方開始としました。

1ヶ月後

皮膚科で治らないニキビへのアキュテイン治療1ヶ月後、症例2-1

皮膚科で治らないニキビへのアキュテイン治療1ヶ月後、症例2-2
※画像の転載を固く禁じます

上は治療開始1ヶ月後の写真です。一部ニキビが治っている箇所もありますが、初診時と比較して全体的に悪化しています。特に右側のフェイスラインと首は、初診時にはなかった炎症性ニキビが出現しています。全ての患者さんへ4週間の間は悪化する可能性があることを説明してますが、いざ悪化すると非常に心配して不安になってしまう患者さんも多くいます。しかし、この患者さんは治療に非常に前向きで、診察の際にも全く不安な側面を見せませんでした。1ヶ月目の診察では、アキュテインの副作用で肌が乾燥していたため、肌再生因子EGF(上皮細胞成長因子)とFGF(線維芽細胞増殖因子)の入った保湿用のEGローションとEGクリームを処方しました。

2ヶ月後

皮膚科で治らないニキビへのアキュテイン治療2ヶ月後、症例2-1

皮膚科で治らないニキビへのアキュテイン治療2ヶ月後、症例2-2
※画像の転載を固く禁じます

上は治療開始2ヶ月後の写真です。一過性にできた大きな炎症性ニキビは消失しています。EGローションとEGクリームを1ヶ月使用したことで、肌の乾燥は緩和され、潤っているのが写真でもわかると思います。再生因子は肌の再生を促すため、火傷や褥瘡の治療にも使用されています。ニキビの治りを早くし、瘢痕化するのを抑えてくれます。FGFはケロイドや肥厚性瘢痕に対する有効性が報告されていますが、濃い濃度を注射すると逆にケロイドのような瘢痕を残す場合がありますので、あくまで至適濃度で外用剤として用います。傷もニキビも肌が乾燥していると治癒後に瘢痕が残りやすくなりますので、肌をラップやフィルムで覆って湿潤環境を作り治していくのが、最も瘢痕を残しにくい治し方になります(湿潤療法)。しかし、現実には顔の場合は人目もあるためなかなかそのような治療はできません。当院ではできるだけ肌を乾燥させないように、保湿を念入りに行うことを指導しています。保湿を念入りに行うか行わないかで、その後のニキビ跡の状態が大きく変わってきますので、これは患者さんの努力にかかっています。過去にすでにできてしまっているニキビ跡までは治りませんので、サリチル酸マクロゴールピーリングでニキビ跡の色素沈着を薄くしていくことを提案し、次回からピーリングを毎月行っていくこととしました。

5ヶ月後

皮膚科で治らないニキビへのアキュテイン治療5ヶ月後、症例2-1

皮膚科で治らないニキビへのアキュテイン治療5ヶ月後、症例2-2

皮膚科で治らないニキビへのアキュテイン治療5ヶ月後、症例2-3
※画像の転載を固く禁じます

上は治療開始5ヶ月後の写真です。(若干明るさが変わってしまっていますが、性能が良くないデジカメのオートモードで写真をずっと撮影していると、肌が明るくなると、なぜか全体が明るく写ってしまいます。)

この時点では新生ニキビはほぼ0になっています。しかし、肌の凹凸が残ってしまっていることは、写真からでも良く分かると思います。この患者さんは、EGクリームとEGローションは普段の保湿で使用してもらいつつ、ピーリングはこの時点で2回終了しています。ニキビ跡の強い赤みが薄いピンク色に変わっています。肌全体も白くなってきています。さらに赤みを取っていくため、今後もピーリングの治療を継続していく予定です。

この患者さんは、保険治療だけでなく、その後美容外科やエステなど、当院に来院するまでにだいぶ遠回りしてしまいました。当院へ来院する重症ニキビの患者さんは、いろいろな治療をしてダメなので、ネットで検索してようやく当院へたどり着くという方がほとんどで、当院へ来院した時点では、すでに何年も治らないまま治療を継続しています。

長年ニキビが治らなかった、または、一時的に良くなっても再発を繰り返してしまったことで、凹凸がどんどん増えてしまいます。私は、初診時に患者さんに「ニキビは綺麗に治りますが、今すでにできてしまっている凹凸のニキビ跡はそのまま残りますので覚悟しておいてください。」とはっきりと説明します。ショックを受ける患者さんもおられますが、過度な期待はその後の不満につながりますので、治るものと治らないものをはっきりさせておくのも医師の大切な使命であると考えています。(もちろん凹凸を良くする治療はないわけではないので、そのあたりについても患者さんから聞かれれば答えています。)

もう少し当院へ早く来院してくれれば、もっとニキビ跡を残さないように治療できたのにと、診療をしていて常々感じます。

肌のクリニック

院長 岩橋 陽介

院長 岩橋 陽介

東京の調剤化粧品とニキビ治療専門皮膚科 肌のクリニック高円寺院の院長ブログ。Twitterではスタッフ全員でつぶやいています。 [詳細]