肌のクリニック院長の肌ブログ

東京でニキビ治療・シミ治療・調剤化粧品・プラセンタ療法外来をしている医師のブログ

フェルラ酸日焼け止めについて

time 2016/03/17

何かおすすめの日焼け止めはありますか?

患者さんからお勧めの日焼け止めを聞かれるといつも困ってしまいます。なぜなら、肌に良い日焼け止めなど存在しないからです。さらに、日焼け止めはニキビの原因にもなりやすいです。ですから、付けなくて良い状況であれば、日焼け止めを付けないことがベストの選択となります。

そうはいっても、アキュテインでのニキビの治療中は、極端に紫外線に対する肌の防御能力が落ちますので、外出時は必須になります。また、光老化(シミやしわ)を考えると、紫外線の害>日焼け止めの害となるため、日焼け止めは使用してもらったほうが良いのです。

そこで、患者さんへお勧めというほどではないにせよ、ある程度気を使っている会社の日焼け止めとして、パックスナチュロンのUVクリームや、オルビスのノンケミカルの日焼け止めなどを挙げることが多かったのですが、やはり患者さんの中には、刺激で赤くなってしまったり、ニキビが出来やすくなる方がおられます。また、使い心地も正直よくありません。

酸化チタンと酸化亜鉛は肌を錆びさせる

日焼け止めの成分は、「紫外線吸収剤」と「紫外線錯乱剤」の2種類があります。紫外線吸収剤は、発がん性や炎症、アレルギーを起こす物質が多く、最近では、紫外線吸収剤自体をコーティングして、肌への影響を抑えたり、紫外線吸収剤自体を配合しない、ノンケミカルをうたった日焼け止めが多く見られます。

ノンケミカルの日焼け止めに必ず含まれているのが、酸化チタンや酸化亜鉛(紫外線錯乱剤)です。酸化チタンや酸化亜鉛は、紫外線にあたるとそれ自体が活性酸素を発生します(光触媒作用)。酸化チタンの場合、化粧品には活性酸素を発生しにくい「ルチル型」が使用されていますが、それでも活性酸素を完全にゼロに抑えることはできません。

現在の主流となっているナノ化された酸化チタンは、酸化チタンの粒子を非常に細かくして、肌に塗った際に白浮きしないようにしたものです。酸化チタンは、粒子が大きいと白く見えますので、透明に見えるほど細かくしています。どれくらい細かいかというと、正常な肌の細胞間の隙間は、40~60nm程度ですが、それよりも細かくすることが可能です。細かければ、毛穴に詰まるどころの問題じゃなく、肌のバリア機能を通過して、生体の内部まで侵入してしまうのではないかと危惧されいています。ナノ化粧品の安全性が完全に確立してないのは、このあたりの問題がクリアになっていないためです。しかし、現時点で出ている報告では、いくら粒子をナノ化しても、肌表面から角質層を通過して、どんどん生体内侵入するということはないとされていますので、過度に心配する必要はありません。また、スプレー式やパウダー式の日焼け止めがありますが、乳液タイプやジェルタイプと異なり、こちらの方が実は問題です。なぜなら、微粒子を鼻や口から吸入してしまうリスクが高いからです。

ナノ化すればするほど、紫外線を反射・吸収する力も高まりますが、 表面積が大きくなる分、光触媒作用は強くなり、活性酸素はより発生しやすくなり、肌への負担は重くなっていきます。そこで、現在では粒子をコーティングして、できる限り活性酸を発生させない工夫もされています。コーティング剤には主に合成ポリマー(シリコーン)が使用されているケースが多いのですが、これも一長一短なところがあります。

ウォータープルーフの日焼け止めがよい?

シリコーン自体には、毒性はほとんどありませんが、水をはじく機能があり、また、耐水性が強いという特徴があります。酸化チタンなどのコーティングにシリコンを使用すると、ウォータープルーフになることから、好んで使用されています。ウォータープルーフの日焼け止めは、汗に強く、何度も塗り直さないで済みますが、裏を返せば、非常に落ちにくい日焼け止めということになります。

現在主流の「ノンケミカル!白浮きしない!汗に強い!」とうたわれている日焼け止めは、「弊社の日焼け止めには紫外線吸収剤は入っていませんが、酸化チタンをナノ化して、合成ポリマーでコーティングしています。でも、石鹸じゃ落ちませんよ。」という意味です。

シリコーンによるコーティングは、夏は汗などで化粧が崩れてしまうのを防ぐ効果もありますから、何度も塗り直さなくて済むというメリットがあります。皮脂と女性はメイクの下に日焼け止めを塗ったら、その後塗り直すことができませんから、ケースバイケースで使用されるのが良いでしょう。石鹸で落ちないのが嫌であれば、水酸化アルミニウムやシリカでコーティングされたものであれば、シリコーンよりもずっと落ちやすいため、そちらを選択するのが良いでしょう。ただし、汗などで流れやすくはなります。

従来の紫外線吸収剤も錯乱剤も使わない日焼け止め

紫外線吸収剤の中で、唯一の天然成分である「フェルラ酸」を用いて、何とか日焼け止めが作れないかを試行錯誤してみました。フェルラ酸とは、米ぬかに含まれるポリフェノールです。フェルラ酸は、外用で抗酸化作用、活性酸素除去作用、メラニン生成抑制作用があり、内服では、認知症予防効果、がん抑制作用などがあることが知られています。当院では、フェルラ酸のもつ光保護作用と、美白作用に着目して、従来の紫外線吸収剤と紫外線錯乱材を一切使用しない、日焼け止めを調剤しました。

フェルラ酸+ビタミンC+ビタミンEの効果

次の図は、フェルラ酸0.5%にビタミンCとビタミンEを加えたクリームを皮膚に塗布し、紫外線照射後に、日焼けによって死滅した細胞数をカウントしたグラフです。コントロール(未塗布)と比較して、93%もの日焼け細胞数の減少を認めます。

写真は、皮膚に紅斑(赤み)が起こり始める最小時間の5倍の長さで、紫外線を照射した時の状態です。コントロール(未塗布)では、強い紅斑が認められているのに対し、フェルラ酸クリームを塗布した皮膚には、全く赤みが見られませんでした。

フェルラ酸にビタミンCとビタミンEを混合することによって、非常に強い光保護作用を示すことがわかっています。

フェルラ酸日焼け止め5

出典:Ubiquinone, Idebenone, and Kinetin Provide Ineffective Photoprotection to Skin when Compared to a Topical Antioxidant Combination of Vitamins C and E with Ferulic Acid, Journal of Investigative Dermatology. 06/2006; 126(5):1185-7

フェルラ酸日焼け止めの特徴

従来の紫外線吸収剤ゼロ 紫外線錯乱剤ゼロ
さらっとした軽い付け心地で、白残りせず、化粧下地に最適
ニキビができにくい処方で、保湿クリームとしても優秀
水や洗顔料で簡単に洗い流すことができる
SPFの推測値は4前後

フェルラ酸日焼け止め

フェルラ酸2%、進化型ビタミンC誘導体1%、ビタミンE 1%を配合した新しい日焼け止め。化粧下地にもお使いください。

  • フェルラ酸日焼け止め
    内容量 / 30ml
    使用期限 / 処方日より冷蔵:3ヶ月 常温:1ヶ月
    ※冷蔵保存でお早めにお使いください。
    使用感 / さらっと
    無香料 無着色 アルコールフリー
    有効成分 / フェルラ酸 アプレシエ(進化型ビタミンC誘導体|APPS)
    αトコフェロール(ビタミンE) その他天然オイル配合
    処方価格(税抜) / 2,980円

※30分以内の外出、通勤、通学など、日常生活レベルの紫外線防止剤としてお使いください。(以前10前後と表示しておりましたが、ロットによってSPFアナライザーでは4~6程度のため、実際は4程度と考えられ、あまり強くありません。PA値は出ていませんので、近々もう少し高いSPF値で、使い心地の良いものを処方できるように、開発中です。)

調剤化粧品の一覧については、当院のHP「調剤化粧品一覧」をご覧ください。

肌のクリニック

院長 岩橋 陽介

院長 岩橋 陽介

東京の調剤化粧品とニキビ治療専門皮膚科 肌のクリニック高円寺院の院長ブログ。Twitterではスタッフ全員でつぶやいています。 [詳細]