美肌ブログ | 肌のクリニック

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ビタミンC誘導体ランキング~その1~

time 2016/06/13

ビタミンC誘導体は年々改良され、浸透性、安定性が高いものも多く登場してきています。ここでは私感も交えて有名どころのビタミンC誘導体の特徴を述べます。

水溶性ビタミンC誘導体

水に溶けるタイプの汎用性が高いビタミンC誘導体です。水溶性ビタミンC誘導体の中で、化粧品によく使わるものをいつくかピックアップしてご紹介します。

APS ・VC-PNa | アスコルビルリン酸Na ★★★★☆

リン酸L-アスコルビルナトリウム。臨床的にニキビ跡の赤み、色素沈着、皮脂分泌の抑制、コラーゲンの生成の促進などの効果が確認されおり、最も古くから皮膚科で使用されているビタミンC誘導体です。

価格も安く、ピュアビタミンCと比較して非常に高い安定性があります。皮膚科でよく調剤されているVC誘導体です。

皮膚科ではニキビの治療目的で5%以上の高濃度で配合されることが多く、逆に5%以下だとあまり臨床的な効果(ニキビに対する効果)は得られにくいかもしれません。実際に二重盲検法で、リン酸アスコルビルNa5%化粧水がニキビに対して有効であることが報告されています。

だたし、5%以上の高濃度では皮膚への刺激性、乾燥性が顕著になってきますので、高濃度配合の化粧水は、敏感肌や乾燥肌の方へは処方しにくい面があります。刺激性と乾燥性がリン酸型ビタミンC誘導体の最大の欠点ですが、アレルギー性はほとんどないと考えられています。しかし、臨床ではその一次刺激性のためか、アレルギー症状に似たかぶれや皮膚の湿疹を起こす例を稀に見ます。

アスコルビルリン酸Naの乾燥性や皮脂抑制作用を利用して、ニキビ肌や脂性肌の方へのさっぱりタイプの化粧水として処方されています。古くから化粧品やニキビ治療に利用されていますので、信頼と実績のあるVC誘導体と言えます。

APM・VC-PMg | アスコルビルリン酸Mg ★★★★☆

リン酸アスコルビルマグネシウム。ピュアビタミンCと比較して、安定性は高く、APSと効果は同じと考えて問題ありません。

APSよりもAPMの方がアスコルビン酸分子量としてのビタミンC含有量が多く、若干水に溶けにくいという特徴があります。

APSと同様に、その刺激性と乾燥性がデメリットになりますが、リン酸マグネシウムのほうが刺激を強く感じるという方もいれば、リン酸ナトリウムのほうが刺激を強く感じるという方もおり、個人差がありますので、ご自分の肌に合う方を使うのが良いでしょう。

AA-2G(AG) | アスコルビン酸2-グルコシド ★☆☆☆☆

L-アスコルビン酸2-グルコシド、アスコルビルグルコシド、ビタミンC2-グルコシド。

アスコルビン酸2-グルコシドは、アスコルビン酸の2位の水酸基にグルコースが1分子結合しています。つまり、ビタミンCにブドウ糖がくっ付いた誘導体です。

グルコシド型のビタミンC誘導体は、熱にも光にも安定ですが、ヒトの皮膚表面にグルコシドを分解する酵素(α-グルコシダーゼ)の発現が低いため、外用ではビタミンCとしての効果を発揮できないとされ、美白にはほとんど効果がないVC誘導体という評価がなされてしまっています。

しかし、3位の水酸基は修飾されていませんので、そのままの形でも還元性を有しており、幾つかの研究報告によれば、グルコシド型のままでも紫外線によるメラニン生成の抑制効果などが認められることがわかっており、全く無意味なビタミンC誘導体というわけではなさそうです。

アスコルビン酸2-グルコシドで白斑の報告が少数ありますが、これはアスコルビン酸2-グルコシド(または、その他の成分や不純物)に対する接触性皮膚炎によって、メラノサイトが破壊されてしまう可能性が指摘されています。カネボウの化粧品で白斑が生じて問題になった「ロドデノール」と同様に、自己免疫が誘導され,メラノサイトが破壊されるという機序です。

患者さんからの質問で、「アスコルビン酸2-グルコシドが、肌表面で分解されずに、肌内部へ入り込んでそこで分解され、メラノサイトのがある基底層の近くで還元力を発揮して、白斑を生じるのではないか?」というご質問がありましたが、アスコルビン酸2-グルコシドが肌内部でグルコシダーゼによって分解されて、基底層付近で還元力を発揮した場合でも、アスコルビン酸とグルコースに分かれて速やかに代謝され、メラノサイトを破壊するほどの力は発揮しませんので、そのような機序では白斑の原因にはなりません。

また、アスコルビン酸2-グルコシドと他の成分との配合変化による接触性皮膚炎や、アスコルビン酸2-グルコシドは全く関係なく、他の成分や不純物による接触性皮膚炎の可能性もあります。報告例が多くないため、皮膚組織の生検を含めて、徹底的に調べられているわけではありませんので、アスコルビン酸2-グルコシド自体が白斑を引き起こすかどうかは、まだはっきりと分かっていません。

VC-2G | 2-O-グリセリルアスコルビン酸 ★★☆☆☆

ビタミンCの2位の水酸基にグリセリンを結合させた新規のビタミンC誘導体です。APS、APMはリン酸ナトリウム塩やリン酸マグネシウム塩の形になっているため、刺激や乾燥の問題があり、その使用感の悪さがデメリットとしてありました。

VC-2Gはリン酸ナトリウムの代わりに、保湿成分であるグリセリンを結合させているため、他の水溶性ビタミンC誘導体の欠点である刺激や乾燥が抑えられていることが最大のメリットです。

安定性は高く、浸透性や持続性についてはリン酸型と同程度とされています。ビタミンC含有量は66%と多く、刺激や乾燥を抑えながら、ビタミンC誘導体を使用したいという方へお勧めです。

高いプロトン解離性を持つ3位の水酸基が修飾されていないため、水溶液にした際にイオン化して酸性度は高くなります。水溶液中でのイオン化によって、高濃度で配合すると、多少の刺激性が問題になることがあります。ただし、APSやAPMと比較すると、高濃度配合しても刺激が少ない誘導体であるとも言えます。。また、3位の水酸基が修飾されていないことで、そのままの形でも還元作用を示します。

VC-2Gの化粧品原料は粉末なのですが、後述するVCグリセリルよりも、製造過程で未反応のビタミンCが多く含まれており、その点で刺激性が高くなることが考えられます。

また、グリセリンとアスコルビン酸の2位の水酸基はエーテル結合していますが、皮膚上の酵素でグリセリンとアスコルビン酸に分解されるかどうかがまだわかっていません。VC-2Gはメラニン抑制作用があることがわかっていますが、分解されない場合は、アスコルビン酸2-グルコシド同様に美白作用としては強くないのかもしれません。

アニオン性のため、APSやAPMと同様にイオン導入をすることができます。

VC-3G ・VCグリセリル| 3-O-グリセリルアスコルビン酸 ★★☆☆☆

ビタミンCの3位の水酸基にグリセリンを結合させた新規のビタミンC誘導体です。3位の水酸基がエチル基に置換された「VCエチル」にちなんで、「VCグリセリル」と記述しています。

VC-2Gと同様、保湿成分であるグリセリンを結合させ、リン酸ナトリウムを含まないため、刺激や乾燥が少なくなっています。高いプロトン解離性を示す3位の水酸基を修飾することにより、水溶液中での多量のイオン化も抑えられていますので、その点でも刺激性が低下しています。

2位の水酸基が修飾されていないことにより、そのままの形でも還元作用を示します。当院で、還元作用を簡易的にテストしましたが、同濃度ではVCグリセリル>VC-2Gでした。

弱アニオン性であり、カルボマーなどの他の化粧品成分との干渉も起こしにくく、安定して化粧品へ配合ができることもメリットです。VC-2Gと同様にビタミンC含有量が66%と多く、高濃度で配合しても刺激性が少ないことから、化粧水やジェル、クリームの用途はもちろん、イオン導入には最も向いているビタミンC誘導体の一つです。

皮膚上でアスコルビン酸とグリセリンに分解されると、保湿性も美白力も両方兼ね備えた素晴らしい誘導体と言えるのですが、こちらもVC-2Gと同様、皮膚上の酵素で分解されるかは未知の部分があります。

VCグリセリルの化粧品原料は、水・グリセリンが配合された30%溶液なのですが、未反応のビタミンC(ビタミンC誘導体になれなかったビタミンCのことです)が僅かながら原料中に残留しており、そのビタミンCが酸化されて微黄色を呈しています。

その酸化されたビタミンCに反応する方がいるためか、刺激や赤みが出てしまう患者さんがおられました。パッチテストでも紅斑を認めて陽性でしたが、これがアレルギー性によるものか刺激性によるものかは不明です。2位の水酸基が修飾されていないことで、そのままの形でも還元作用を発揮しますので、刺激性がないわけではありません。

刺激性が比較的少ないVC誘導体ですが、VC誘導体で赤みやかぶれが出やすい方は、やはり避けたほうが良いでしょう。

VC-DG | ビスグリセリルアスコルビン酸 ★★☆☆☆

2位と3位の水酸基にグリセリンを結合させた新規のビタミンC誘導体です。VC-2GやVCグリセリルよりもさらに安定性が増し、刺激も少なくなっています。

ノニオンのため、他の成分との相性も良いのですが、水溶液中ではイオン化しないため、イオン導入をすることはできません。グリセリンが2つ付いている分、ビタミンC含有量は49%と落ちます。また、2位と3位の水酸基が修飾されているため、そのままの形では還元性を有しませんので、即効性は期待できません。

研究試験ではメラニンの還元性を認めるとのことですが、VC-2GやVC-3G同様に、皮膚上の酵素で分解されて還元性を発揮するかどうかは、まだ未知の部分があります。

化粧水だけでなく、クリームやジェルなど、様々な化粧品に対応でき、使い勝手の良いビタミンC誘導体です。

VCエチル | 3-O-エチルアスコルビン酸 ★★★★☆

ビタミンCエチル。3位にエチル基を結合した新規のビタミンC誘導体で、他のビタミンC誘導体と異なる特徴をいくつも持っています。即効性・持続性・安定性・浸透性を兼ね備えており、その効果は頭一つ抜けています。

酵素反応を必要としない

通常、ビタミンC誘導体がビタミンCへ変換されるには、生体内で酵素によって分解されることが必要です。ビタミンCエチルは、酵素反応を必要とせず、そのままの形で皮膚内で即ビタミンCとして作用します。ビタミンCエチルが即効型と言われる理由はここにあります。

72時間という持続性

通常の水溶性ビタミンC誘導体は、6~8時間かけて徐々に分解されてビタミンCへ変換され、代謝されます。それに対し、ビタミンCエチルは、そのままの形でもビタミンCと同様に作用し、最終的には72時間かけてビタミンCへ変換されて代謝されます。即効性と持続性を併せもったビタミンC誘導体です。

VCエチルの安定性

通常、ビタミンCやビタミンC誘導体は熱に弱く、すぐに酸化してしまいます。しかし、ビタミンCエチルは40℃のPH5の緩衝液中で、90日が経過しても95.9%と非常に高い残存率を示します(PH調整されていない40℃の水溶液中でも86%の残存率)。弱アニオンのため、他の成分との干渉もほとんどなく、高い安定性を誇っています。

VCエチルの浸透性

ビタミンCエチルをモルモットの皮膚に塗布し、角質層と真皮層への移行を24時間追跡した試験では、真皮層へ1%以上移行したことが示されました。ビタミンCエチルは、水溶性であるにもかかわらず皮膚からの浸透性に非常に優れています。

VCエチルのメラニン単量体の重合抑制作用

メラノサイト(メラニン産生細胞)内で、チロシナーゼ酵素の働きによって、チロシンがメラニンへ変換されて作られますが、もう一つの経路として、表皮基底層に存在するジヒドロキシインドールカルボン酸やその関連化合物等の「メラニン単量体」が、紫外線A波にあたることによって「重合」して、メラニンになります。ビタミンCエチルは、このメラニン単量体が重合化するのを抑制し、UVAによる皮膚の黒化を防ぎます。

つまり、紫外線に当たった際にすぐにできるシミではなく、後からじわじわと出てくるシミを抑制する効果が期待できます。

VCエチルのビタミンC含有量の多さ

分子レベルでのビタミンC(アスコルビン酸)の比率が高く、他の水溶性ビタミンC誘導体と同じ濃度で配合した場合は、最もビタミンCの含有量が多くなります。純粋なビタミンC(アスコルビン酸)を100%とすると以下のようになります。

1.APS(アスコルビルリン酸ナトリウム) : 55%
2.APM(アスコルビルリン酸マグネシウム) : 61%
3.AA-2G(アスコルビン酸2-グルコシド) : 52%
4.VC-2G(2-0-グリセリルアスコルビン酸) : 66%
5.VCグリセリル・VC-3G(3-o-グリセリルアスコルビン酸) : 66%
6.VC-DG(ビスグリセリルアスコルビン酸) : 49%
7.VC-IP(テトラヘキシルデカン酸アスコルビル) : 16%
8.APPS(パルミチン酸アスコルビン酸3ナトリウム) : 31%
9.GO-VC(グリセリルオクチルアスコルビン酸) : 44%
10.VCエチル(3-o-エチルアスコルビン酸) : 86%

単純計算では、ビタミンCエチル5%溶液は、APSの8%溶液、APPSの14%溶液に相当するビタミンCを含有していますが、前述した安定性や浸透性の高さを考えると、さらにそれ以上の効果があると考えられます。

VCエチルの欠点・問題点

ビタミンCエチルは、イオン化による刺激は少ないのですが、その還元作用の強さから、刺激、乾燥、赤みを感じる方はいます。アレルギーの問題に関しても、ビタミンCエチルで接触性皮膚炎が発生したとの報告があります。原料メーカーへも念のため確認したのですが、メーカーへの報告は現在のところないとの回答でした。

しかし、当院ではVCエチルで顔が赤くなってしまうという方は結構おられます。最初は、他の成分が原因かと思いましたが、水+VCエチルの水溶液にも赤みを起こしてしまうことや、パッチテストでも陽性をきたすことから、VCエチルが原因であると考えています。

APSやAPMなどと比較すると刺激が少ないと考えていましたが、APSやAPMで問題なくもて、VCエチルで刺激を感じてしまう方もおり(刺激性というよりアレルギーの可能性もあります。)、その点が問題点と言えます。

安定性は非常に高いのですが、PH5以下でないと徐々に分解が進んでしまうことがわかっています。

上記の評価は新しい知見が出る度に変更します。油溶性ビタミンC誘導体と両親媒性ビタミンC誘導体の評価は次回に続きます。

ビタミンC誘導体ランキングその2

書いている人

医師 岩橋 陽介

医師 岩橋 陽介

東京の皮膚科・美容皮膚科「医療法人社団 肌のクリニック」の院長をしています。当院勤務の美容皮膚科医にも時々記事を書いてもらっています。 [医師紹介]

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