肌のクリニック院長の肌ブログ

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その美白化粧品が効かない理由~ビタミンC編その2~

time 2016/06/16

その美白化粧品が効かない理由~ビタミンC編その1~では、ピュアビタミンC、ASVC、ビタミンC誘導体の問題点を記述しました。今回はビタミンC誘導体についてさらに掘り下げて記述します。

過去の関連記事
その美白化粧品が効かない理由~ビタミンC編その1~

ビタミンC誘導体ランキングその1
ビタミンC誘導体ランキングその2

ビタミンC誘導体(VC誘導体)の選択が重要

ビタミンC誘導体(VC誘導体)には沢山の種類があります。例えば、AA-2G(アスコルビルグルコシド)は、肌上ではほとんどアスコルビン酸に代謝されず、あまり意味のないVC誘導体と言われており、どれを使っても良いというわけではありません。

安定性や浸透性、刺激性、濃度などが重要になってきます。それぞれのVC誘導体の略語や特徴については、ビタミンC誘導体比較ランキングのページを参考にしてください。

ビタミンC誘導体(VC誘導体)の安定性に注意

ピュアビタミンCよりは安定性は高いものの、VC誘導体の安定性にはまだまだ課題があります。市販の化粧品に配合されている場合は、製造日が最大で3年前になることもあり、ビタミンC誘導体がすでに分解・酸化されてしまっていることもあります。そのために、原料メーカーは酸化しにくい、安定性の高いVC誘導体を開発してきた経緯があります。

現在出ているVC誘導体で、安定性の高いものはGO-VC、VC-IP、AA-2G、VC-DG、VC-2G、VC-3G、APIS、VCエチル、APS、APMなどがあります。APPSは安定性が低いため、冷蔵保存で早期に使い切ることが前提となっています。皮膚科で処方する分には、防腐の観点からも数ヶ月以内で使い切るように指示するため、問題は起こりにくいのですが、市販品で使用する場合は注意が必要です。

APPS配合の化粧水には注意

浸透率が高く、人気の高いAPPS(パルミチン酸アスコルビン酸3Na)ですが、最も安定性が悪いVC誘導体です。そのため、APPS配合の市販の化粧水を購入するのはお勧めできません。

APPSの配合推奨濃度は1%~2%ですが、配合推奨濃度が低いのは「安定性が低いため、高濃度で配合できない」という理由があります。APPSを2%以上の高濃度で配合すると、粉末を溶かしてすぐに、水溶液はやや黄色を呈します。

ビタミンCの色はレモン色と思っている方も多いのですが、ビタミンCもVC誘導体も、水溶液中では無色透明です。黄色を呈している時点で、すでに酸化していることを示しています。

着色料を添加してごまかしている化粧水もありますし、APPSの配合濃度があまりに低くて、変色しない化粧水もありますが、いくらPH調整や酸化防止の工夫を行っても、1%以上の配合濃度では、1~2ヶ月が経過すると、黄色がさらに濃くなり、酸化が進んでしまいます。

このような性質のため、市販の化粧水にAPPSを配合しても、消費者の手に渡るころには全く意味のない化粧水となるわけです。そのあたりのことはビタミンC誘導体ランキングその2にも詳しく書いています。

厚生省がAPPSの美白効果を認可していないのは、上記の安定性が悪いという理由からです。厚生省が認めていない限りは、APPS化粧水に美白を謳えないはずですが、実際には美白を宣伝文句としている会社が沢山ありますので、そういった会社のものは信用できません。

作りたてのものを1ヶ月以内で使い切るのであればまだ良いのですが、それでも徐々に酸化はしていくため、APPSの粉末を購入し、毎日使用するたびに、家で自作するのがベストです。厚生省が美白作用を認可していないと言っても、酸化されていないAPPSを使用すれば、きちんとした美白効果は得られます。

APPSの原末はトゥヴェール(クリスタルパウダーという商品です)で購入することが可能です。

ビタミンC誘導体(VC誘導体)の着色

ビタミンC誘導体(VC誘導体)の着色は、酸化されているために起こるのですが、その原因を知っておくことは大切です。粉末状のVC誘導体を水に溶かした際に、すぐに黄色くなってしまう原因は主に三つです。

粉から作りたてのVC誘導体化粧水が黄色い原因

①VC誘導体を製造する工程ですでに酸化してしまっている可能性があること。

②粉末状VC誘導体自体の酸化。(製造時には酸化されていなくても、酸素に長期間さらされると粉末の状態でも徐々に酸化は進んでいきます。)

③VC誘導体を製造する際に生じる、極微量の未反応のピュアビタミンC(つまり誘導体になりきれなかったビタミンC)が酸化していること。

③のピュアビタミンCが混入していた場合は、VC誘導体よりもずっと酸化しやすいため、例え粉末の状態でも酸化は進んでいます(酸素に触れないようにパックしている場合は別ですが、開封すると酸素に触れますので、それだけで酸化は進みます)。VC誘導体の中に酸化したピュアビタミンCが含まれていれば、粉末を溶かしてすぐに黄色になってしまうというわけです。

粉末状のVC誘導体はある程度安定ですので、製造工程前後でわずかながら酸化が起こったとしても、ほとんどの方の肌に悪影響を及ぼすことはありません。混ざっているピュアビタミンCが酸化していたとしても、ごくわずかですので、あまり気にする必要はありませんが、時間が経って酸化が進んでしまうと刺激を感じる方が多くなります。

そのため、毎回作りたてを使用するのが一番良い方法です。もちろん、粉末状でも酸化は徐々に進みますので、毎回きちんと蓋をして冷蔵保存しましょう。

作った後のVC誘導体化粧水が徐々に黄色くなる原因

一方作りたての時は黄色くなかったのに、時間の経過で黄色くなる原因は主に二つです。市販のVC誘導体の化粧水が黄色い場合は、上の3つの原因に加え、こちらの原因も考慮しなければなりません。

①未反応のピュアビタミンCの酸化が進むこと。

②VC誘導体自体の酸化が進むこと。

未反応のピュアビタミンCの量はそんなに多くないはずですので、化粧水の黄色が強い場合は、VC誘導体自体が酸化されている可能性があります。酸化している化粧水は使用しても意味がないばかりか、肌に悪影響を及ぼす可能性もあります。

APPSは他のVC誘導体と比較して色の変化が早く、APPS自体が酸化されやすく安定性は悪いことは否めません。

比較としてVCエチル(3-o-エチルアスコルビン酸)を50%の超高濃度水溶液を作製した結果、1ヶ月後の色調も無色透明でほとんど変化がありませんでした。通常VC誘導体は、高濃度であればあるほど不安定化し、着色も強くなります。VCエチルは50%という超高濃度でも着色がみられないのは、非常に安定性が高いからです。

VCエチルは、粉末から水に溶かした際にも全く色が付きません。これは、VCエチルの粉末中に未反応のビタミンCがほとんど含まれていないためだと考えられます。

下記の写真は、VCエチル(3-o-エチルアスコルビン酸)、VCグリセリル(3-o-グリセリルアスコルビン酸)、APPSをそれぞれ2%濃度で至適PH緩衝液を作成し、1ヶ月間冷蔵庫で保存した後の写真です。VCエチルは無色透明、VC-3Gもほぼ無色透明、APPSは明らかに黄色を呈しています。

※ちなみに、当院のEGホワイトローションは、ビタミンC誘導体としてVC-3Gを配合していますが、黄色を呈しているのは、VC誘導体が酸化しているからではなく、ヒトプラセンタ(茶褐色)を配合しているためですので、ご安心ください。

ビタミンC誘導体比較

ビタミンC誘導体(VC誘導体)の濃度と浸透性に注意

配合できる濃度は、VC誘導体の種類によって異なります。

前述したAPPSは、安定性の問題から、市販品で1%以上の配合をしているものはありません。APS、APMなどは刺激性の問題から、高濃度で配合するのが難しい誘導体です。

しっかりとした美白効果を得るには、APS(リン酸アスコルビルナトリウム)換算で2%以上の配合量が欲しいところです。また、VC誘導体単体で抗アクネ効果(ニキビ予防・治療効果)を発揮させるには、APSで5%程度必要です。

APPSであれば1%でも浸透性が高いために、美白には十分です。

APPSには抗アクネ効果もありますが、ビタミンC誘導体ランキングその2で書いているように、時間経過で酸化されてしまった場合は、逆にニキビの原因になる可能性もあるので要注意です。APPSは前述した安定性の問題に加え、ビタミンC含有量が31%と低いというデメリットもあります。

また浸透率が100倍と謳ってはいますが、それは表皮内でのアスコルビン酸濃度をAA-2G(アスコルビルグルコシド)と比較した試験の結果です。AA-2Gは肌では最もアスコルビン酸に変換され難い誘導体ですから、最も浸透しない(アスコルビン酸に変換されない)誘導体と比較して「100倍」であるということを念頭に置く必要があります。

同じく両親媒性のGO-VCやAPISもAPPSと同様に浸透率が高いため、低濃度でしっかりとした効果を発揮しますが、まだ新しい誘導体で、安全面の確立など様々な課題があり、高濃度配合はできません(GO-VCの推奨配合濃度は0.05%~0.1%)。

VCエチルは水溶性であり両親媒性ではありませんが、真皮への浸透率が高いという特徴があり、有効性は非常に高いのですが、APSと同様に高濃度では刺激を感じる方がいます。ただし、APSやAPMよりは刺激はずっと少ない誘導体です。

浸透性に関してAPSを基準として、各メーカーが浸透率を数値化してくれれば比較も容易にできるのですが、メーカー同士の暗黙の了解なのか、そういった比較データが出て来ません。これが消費者を混乱させている一因であると感じます。

私感では、浸透性はAPPS>VCエチル>>APS=APMであり、美白効果は、成分の劣化がないと仮定した場合、APS3~4%=APM3~4%≒APPS1%≒VCエチル1%程度だと考えます。実際のヒト皮膚試験では、VCエチル1%はAPM3%より紫外線照射に対するメラニン抑制(美白効果)が高いことが示されていますから、VCエチル1%>APM3%の図式は成り立ちます。

VCエチルがAPPSよりも浸透性が劣るのに、同じ濃度で効果を発揮すると考える理由は、ビタミンC含有量が86%とAPPSの2.8倍あり、APPSが2つの酵素による分解を経てビタミンCに変換されるのに対し、VCエチルはそのままの状態で効果を発揮できるからです。(医薬部外品として、VCエチルは1%濃度で美白効果が認められていますが、APPSは認められていません。)

市販品のVC誘導体配合の化粧品は、そのほとんどが濃度を開示しておらず、いったい何%入っているか不明です(ちなみに医薬部外品は、有効濃度が定められています)。

長年医療に携わっていると、有効成分の濃度を開示していないというのは常識外のように感じてしまうのですが、そもそも化粧品には「有効成分」という概念が存在せず、有効成分表示をすることができません。(薬用化粧品などの医薬部外品は有効成分が存在します。)

化粧品は有効成分ではなく訴求性分という概念になります。保湿などの目的を除き、そもそも肌に効果があるものではありませんので、訴求成分の濃度をきちん開示しないことが当たり前になっているのでしょう。

「当社のVC誘導体は200%UPの高濃度!」など、訴求成分が高濃度であることを前面に押し出して宣伝している化粧品メーカーは実に多いのですが、からなず小さく「※当社従来品と比較して」などと書かれていて、がっかりしてしまう消費者の方も多いのではないかと思います。

それだけ大々的に宣伝して濃度を開示できないのは、もともとの濃度が「かなり薄い」からに他なりません。実際に当院で幾つかのVC誘導体入りの化粧品を購入し、簡易的なヨウ素滴定試験で濃度を推測しましたが、市販品のVC誘導体入りの化粧水のほとんどが、1%以下しか配合されていませんでした。

きちんと濃度開示しているメーカーもありますので、ビタミンCの効果を求めるのであれば、そういったメーカーから購入するか、ご自分で原末から作るか、お近くの皮膚科で、濃度調整されたものを処方してもらうことをおすすめします。

肌のクリニック

院長 岩橋 陽介

院長 岩橋 陽介

東京の調剤化粧品とニキビ治療専門皮膚科 肌のクリニック高円寺院の院長ブログ。Twitterではスタッフ全員でつぶやいています。 [詳細]