肌のクリニック院長の肌ブログ

東京でニキビ治療・シミ治療・調剤化粧品・プラセンタ療法外来をしている医師のブログ

症例7 : 大学病院で改善しなかった集簇性ざ瘡(難治性重症ニキビ) に対するアキュテイン治療

time 2016/09/02

症例7

アキュテイン治療のモニターに協力していただいた患者さんです。

【患者】 10代後半男性 【体重】57kg
【現病歴】 4年前よりニキビができ始め、近医の皮膚科で抗生物質、外用剤(ステロイド系を含む)、漢方薬等の治療を3年行っていたが、一時的に良くなることはあっても改善しなかった。2ヶ月前からは炎症がどんどん強くなり、硬結嚢腫が多発するようになったため、近医の皮膚科では手に負えなくなり、大学病院を紹介された。しかし、大学病院でも抗生物質の内服と外用、ベピオゲル、内服ビタミン剤による治療が行われ、近医の皮膚科と同様の治療であり、全く改善しなかった。両親が治療方針に疑問を持ち、インターネットで調べて当院を受診した。
【既往歴】 特記なし
【過去の治療歴】市販のニキビ治療薬(複数種類)、内服ビタミン剤、抗生物質(ミノサイクリン)、漢方薬(複数種類、詳細不明)、外用剤(アクアチムクリーム、ダラシンゲル、ディフェリンゲル、ベピオゲル、コンベック軟膏、スタデルム軟膏、デルモゾールG軟膏)

初診時

アキュテイン治療初診時1症例7

アキュテイン治療初診時2症例7

アキュテイン治療初診時3症例7
※画像の転載を固く禁じます

上は初診時の写真です。硬結を伴った嚢腫で顔全体が腫れています。通常はニキビができにくい目の周辺も大きく腫れあがり、嚢腫が合わさって一塊となる「集簇性ざ瘡」というニキビの最重症例です。ニキビ(尋常性ざ瘡)ではなく、膿皮症に分類されることもあります。悪性のニキビであり、治ったとしても大きな瘢痕を残すことが多いのも特徴です。ここまで大きいと、皮膚の感染が全身に行くことが心配です。初診時にはすでに微熱があり、10日目の採血検査では白血球数が15190、CRP3.37と軽度上昇を認めていました。副作用の程度を見るために、アキュテインは20mg/dayの少量から開始し、ミノサイクリンを中止して、炎症止め目的に、ロキシスロマイシン300mg/dayを処方しました(ミノサイクリンはアキュテインと相互作用を起こしますので中止が必要です)。

2週間後

アキュテイン治療2週間後1症例7
アキュテイン治療2週間後2症例7
アキュテイン治療2週間後3症例7
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上は、2週間後の写真です。眉間のニキビと目の上下のニキビが皮膚の下で一塊となり、目の周囲が腫れ上がっています。本人は目が開かなくてとてもつらそうでした。「あと2週間程度で全部ニキビが出たら治るから、がんばりましょう」と声をかけると、つらいながらも治療に前向きな姿勢でした。副作用の乾燥はひどくなかったため、この時点からアキュテインを40mg/dayへ増量しました。また、保湿用にEGクリーム(再生因子配合クリーム)とEGローション(再生因子配合ローション)を処方しました。診察時には発熱もあり、白血球数16400、CRP4.17と悪化を認めましたが、肝機能等の他のデータは正常値であったため、治療を継続しました。念のため血小板数、FDP、フィブリノーゲンもチェックしましたが、DIC等、重篤な状態になる兆候を認めませんでした。

また、ケロイド、肥厚性瘢痕をできるだけ防ぐために、トラニラスト(リザベン)300mg/日も併せて処方しました。

3ヶ月後

アキュテイン治療3ヶ月後1症例7
アキュテイン治療3ヶ月後2症例7
アキュテイン治療3ヶ月後3症例7
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上の写真は3ヶ月後の写真です。まだ、ニキビ跡の赤みは強く残り、凹凸も認められますが、新生ニキビは激減して、顔全体の腫れはひいてきました。当院へ来院する前にすでに形成されてしまっている瘢痕(凹凸のニキビ跡)については、改善は難しいのですが、集簇性ざ瘡は大きな瘢痕を残すという特徴がありますので、初診時の重症度から考えると、非常にきれいに治ってきていると言えます。当院の調剤化粧品でしっかり保湿をしながら治したことと、トラニラストを併用したことが、きれいに治るのに重要な要因であったと考えています。

ニキビ跡の赤みを消すために、この時点からサリチル酸マクロゴールピーリングを1ヶ月に1回のペースで開始しました。

なお、CRP(炎症反応)は低下していましたが、基準値よりは高値であり、重症の膿皮症を起こす基礎疾患として、全身性エリテマトーデス(SLE)、サルコイドーシス、γグロブリン血症、リウマチ、ウイルス性肝炎、悪性リンパ腫などのチェックを行いましたが、血液検査上はすべて陰性でした。

8ヶ月後

アキュテイン治療6-5-1 8ヶ月後

アキュテイン治療6-5-2 8ヶ月後

アキュテイン治療6-5-3 8ヶ月後
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上の写真は治療開始8ヶ月後の写真です(写真の時点では、前院から肌のクリニックへ移ってきています。例のごとくオートモードで写真を撮ったので、背景の壁紙やドアが真っ白になると、以前の写真よりもより明るく写ってしまっていますが、修正はかけていません)。まだ赤みはありますが、ピーリングを定期的に行い、調剤化粧品で美白・保湿を行ってもらっていたため、強い赤みは減少しています。ただし、これだけ重症だと、ニキビ跡の凹凸はある程度残ってしまっているのが写真からでもわかると思います。アキュテイン治療は40mg/日を合計6ヶ月間行い、その後10mg/日に減量して、維持療法を行っています。維持療法をしないことも多いのですが、最重症ニキビであったために、少しでも再発率を下げる目的で行いました。

後記

このままの治療方針では息子のニキビは治らないと思った両親がインターネットを調べて、私が重症ニキビの治療を行っていることを知って受診されたのですが、初診時に「今までされていた治療は正しかったのでしょうか?」「使っている治療薬は間違っていたんじゃないでしょうか?」「本当にニキビですか?誤診じゃないんですか?」「大学病院に行ってもまた抗生剤の治療で、全然治りませんでした。」など、前医に対する不満を多くおっしゃられていました。その際は「保険治療で行える範囲には限界があります。過去のことは一旦置いておいて、これからできる治療をして行きましょう。」という説明をしました。

過去の治療についてですが、この患者さんは、数年間ずっと抗生物質を飲んでいました。ニキビ治療における抗生物質は、炎症を鎮めるのに2週間から4週間という短い期間だけ服用する薬で、何年も飲む薬ではありません。長期間服用すればするほど、肌の常在菌叢を壊し、耐性菌を作るため、肌の環境をどんどん悪化させていることになります。肌だけでなく、腸内、口腔内、女性では膣内などの善玉菌も殺してしまいます。善玉菌がいなくなれば、耐性菌やマラセチア、カンジダ等の真菌が悪さをしてきます。悪玉菌を殺菌するつもりが、皮膚を守ってくれている善玉菌まで殺菌してしまい、結果として悪玉菌が耐性を持って生まれ変わり、善玉菌がいない環境でどんどん増殖するという悪循環に陥ってしまいます。

もう一つはステロイド入りの軟膏が問題です。この患者さんは、デルモゾールGという軟膏を何か月も使用していました。ニキビに対してステロイドは全く無効なばかりか、逆にニキビを悪化させる副作用しかありません。その強力な抗炎症作用のために、使い始めて1ヶ月ほどは肌の調子が良くなります。しかし、やめると使う前よりも悪化し(リバウンド現象)、使い続けると免疫を低下させて、感染に対する肌の防御能力がなくなるため、炎症をよりひどく起こすようになります(易感染性)。ニキビにステロイドを処方してはいけないことは、医師の間では常識中の常識なのですが、いまだにたくさんの皮膚科医が処方しています。来院する重症ニキビの患者さんに治療歴を書いてもらうと、過去にステロイドを処方されていた方が多いのには、本当にあきれてしまいます。

病気は誰のせいでもありません。医師の技量や知識の多寡によって、治療効果に差があることは仕方がないことかもしれません。保険診療では治せる範囲が限られているのもわかります。

しかし、3年も治療を行って改善しない重症な患者さんは、漫然と治療を継続するのではなく、早々に他院を紹介するべきだと考えます。出来る限り早く治療をしてあげることで、その後のニキビ跡、瘢痕、色素沈着を少なくすることができるからです。

ニキビを治すことはできても、ニキビ跡の瘢痕を消すことは非常に難しいため、重症ニキビで悩んでいる方は早めに当院を受診してください。保険治療で効果が出なくて困っている皮膚科の先生方は、患者さんに当院をぜひご紹介ください。

肌のクリニック

院長 岩橋 陽介

院長 岩橋 陽介

東京の調剤化粧品とニキビ治療専門皮膚科 肌のクリニック高円寺院の院長ブログ。Twitterではスタッフ全員でつぶやいています。 [詳細]